超個性派バンド・ジェニーハイ インタビューpart2

クラシック、演歌、ポップス……川谷絵音×新垣隆が語る音楽の原体験

インタビュー
2018.12.04

前編に続き、後編では、川谷絵音と新垣隆の音楽的な原体験から最近注目している音楽、さらには今後のジェニーハイについてを話してもらった。中でも、クラシックやピアノという楽器に対する言及は、ジェニーハイの音楽性はもちろん、音楽家としての2人を知る上でも非常に興味深い内容になった。

インタビューされた人
ジェニーハイ ロックバンド
ジェニーハイ
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ジェニーハイ ロックバンド
BSスカパー!「BAZOOKA!!!」内の企画で、音楽番組や音楽フェスへの出演を目標に、ドラムの小籔千豊、ベースのくっきー(野性爆弾)、ボーカルの中嶋イッキュウ(tr...
聞き手・文
大久保和則 編集者・ライター
大久保和則
聞き手・文
大久保和則 編集者・ライター
レコード&CDショップ「六本木WAVE」勤務を経て、雑誌「BAR-F-OUT!」編集部、「マーブルブックス」編集部に在籍。以後、フリーランスに。現在は、バンドからシン...
左から。Dr担当・小籔千豊、Key担当・ガッキー(新垣隆)、Vo担当・中嶋イッキュウ(from tricot)、Gt&Vo担当・川谷絵音(from ゲスの極み乙女。)、B担当・くっきー(野生爆弾)。BS スカパー!「BAZOOKA !!!」の知名度を上げるため、2017 年7月31日の放送より始動したプロジェクト。音楽番組や音楽フェスなどへの出演を目標に、ドラム担当の小籔千豊、ベース担当のくっきー(野性爆弾)、ボーカル担当の中嶋イッキュウ(tricot)の3 人で結成。その後、3 人からのアプローチにより川谷がプロデューサーに就任。さらに小籔が「俺の知り合いで一番えげつないキーボード」として推薦した新垣隆をキーボードとしてメンバーに迎え、さまざまな天才が集まった超個性的バンドが誕生した。

絵音さんは、モーツァルト(by新垣)

──クラシックやジャズをメインに聴いているリスナーにとって、入り口になるのはやはり新垣さんのピアノでしょうか?

川谷 そこは、ぜひしっかり聴いてほしいですよね。新垣さんは、本当にすごいピアニストなので。でも、クラシックやジャズをメインに聴いている人たちでも、絶対にポップスを聴いた経験があるわけで、あんまりジャンルごとの違いを考えないで聴いてほしいなとは思います。

新垣 絵音さんは、モーツァルトなんですよ。スタジオに入って、そこからその場で4曲も作る。モーツァルトもそういう人だったので、絵音さんも同じタイプなんです。そういうことをもっとたくさんの方にわかってほしいなーって、僕は思うんですけどね。

川谷 さっき、ジャンルごとの違いを考えないで音楽を聴くっていう話をしましたけど、僕の音楽の原体験がそうだったんです。母親はクラシックが大好きで、バレエもオペラも好きで、ピアノを弾く人でもあって。逆に父親は五島列島出身の演歌好きで、でも柔軟だからサザンやミスチルとかも聴いていたので、僕の幼少期はいろんな音楽が一気に流れ込んできた感じなんです。だから、パバロッティを聴いて、モー娘。聴いて、TMレボリューション聴いて、ヨーヨー・マが流れてきて、サザンやミスチルを聴いて、五島列島に行くと演歌が流れていてって、よくわかんない(笑)。とにかく、壁がなかったんですよね。

新垣 僕の母親もクラシックが好きで、ピアノを習い始めたのも母親に連れていってもらったからなんですけど、テレビでは歌謡番組がたくさん放送されていましたし、西城秀樹さんとかかっこいいと思っていました。

──音楽的な原体験に、似ている部分がある気がします。

川谷 そうですね。

新垣 確かに、似ている部分があるのかもしれません。

川谷 以前、『速報!歌の大辞テン』という番組がありましたけど、僕はあの番組を通して昔の歌謡曲に触れる機会が多かったんですよ。番組では最新のヒット曲と過去のヒット曲を紹介していましたけど、いろんな時代の曲を知ることができるいい番組だったと思います。当時は、今の曲だけでいいよって思ったましたけど(笑)。

新垣 当時は、昔の曲は古く感じた?

川谷 そうですね。母親が沢田研二さんの大ファンで、タイガースとかも知ってはいたんですけど。

新垣 自分が子どものころから、ジュリーは大スターでしたからね。かっこよかったですよ。

川谷 そのかっこよさを、今になってわかるっていう感じですかね。

新垣 ところで、ギターの始められたのはいつなんでしたっけ?

川谷 大学生のときです。その前には、ヴァイオリンを習いたくなった時期もあったんですけどね。中学生のころなんですけど、母親にヴァイオリンの先生を探してもらって、でも先生が見つかったときには俺のヴァイオリン熱が冷めちゃってて(笑)。俺、めちゃくちゃ熱しやすくて冷めやすい体質なんですよね(笑)。それで、せっかく先生を探してきたからって、母親がヴァイオリンを習い始めて、もう15年も習っているんです。さらにその前には、ピアノを習う可能性もあったんですよね。でも、兄と姉がすでにピアノを習っていたこともあって、俺は絶対にやらないって言って。あと、幼少期に男でピアノを弾くのはかっこ悪いっていう感覚も、なんとなくあるじゃないですか。

ただ、今はピアノやヴァイオリンを習わなかったことを、すごく後悔してますけどね。もしピアノやヴァイオリンをやっていたら、今の自分はいないかもしれない。

新垣 (もともとヴァイオリン少年だった)さだまさしさんみたいになっていたかもしれない(笑)。

川谷 同じ長崎の出身ですしね(笑)。

1988年、長崎県出身。ゲスの極み乙女。、indigo la End、ichikoro、そしてジェニーハイと、服数のバンドで活躍するギタリスト/ボーカリスト/ソングライター。自身のバンド活動以外に、他アーティストへの楽曲提供も行なっている。今年7月期に放送されたテレビ東京系ドラマ『恋のツキ』の映画監督役で俳優デビューも果たした。

楽器の中でピアノが一番好き(by川谷)

──お2人はさまざまな音楽を聴かれていると思うんですけど、最近聴かれた音楽で面白かったのは?

川谷 チリー・ゴンザレスのドキュメンタリー映画(『黙ってピアノを弾いてくれ』)を見たんですけど、もともとヒップホップからスタートして、よくわからない変遷を経て今はピアノを弾いていて。あの人のボーダーレスな感じはすごく面白いなって、ずーっと思っているんです。無人島に持っていくなら、彼の『Solo Piano』だし、僕は楽器の中でピアノが一番好きなんですよね。だから、新垣さんと一緒にバンドがやれることは、すごくうれしかったんですよ。

新垣 僕は、ひたすらゲスの極み乙女。と(ジェニーハイのメンバーである中嶋イッキュウが在籍する)tricotを聴いています。現在進行形で本当にすごいので、びっくりですね。しかも、自分がそのメンバーの人たちと同じバンドで演奏しているっていう。

──せっかくなので、新垣さんの好きなピアニストも伺いたいです。

新垣 たくさんいますけど、ハンガリーのピアニストでラーンキ(・デジェー)という人がいまして、小さいころにピアノを習っていたときは、ラーンキが演奏したストラヴィンスキーやドビュッシーのレコードを聴いて勉強した経験があります。ラーンキを聴いて、自分もこういった音楽がやりたいと思いましたね。

──今後の展開については、すでにイメージしていますか?

川谷 新曲は出したいですね。

新垣 このバンドを続けていきたいです。

川谷 小籔さんは65歳までとか、ドラムが叩ける年齢まではやるって言ってますけど、今はその年齢で演奏活動を続けている人もたくさんいますからね。こないだ、腰が爆発していたんで、ちょっと心配ですけど(笑)。

新垣 小籔さん、すごく練習されますからね。

川谷 くっきーさんはずっとバンドをやっている人なので、努力して続けていくというよりも、続いていくのが普通の感覚なんじゃないかな。すごくニュートラルなスタンスというか。イッキュウは、楽しいからできるだけ続けたいし、せっかく集まったんだから行けるところまで行って、大きいことがやりたいって言っていますね。

新垣 だったら、いつか東京ドームでライブができるぐらいの活動をしていきたいですね!

1970年、東京都出身。作曲家/ピアニスト。4歳よりピアノを始め、高校、大学で本格的に音楽を学ぶ。大学卒業後は、作曲家/ピアニストとして精力的に活動し、今年5月には日韓合作映画『蝶の眠り』の音楽監督を務めた。現在、母校である桐朋学園大学の非常勤講師を務めている。
1st アルバム
『ジェニーハイ』

発売中/通常盤(1500円+税)、初回盤(2000円+税)

 

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