【7月6日】JAZZ WORLD BEAT 2019 出演! ジェントル久保田 インタビュー

大衆音楽としてのジャズを、自分たちの言葉で。Gentle Forest Jazz Bandの日本語スウィングを体感せよ

インタビュー
2019.07.05

2005年に結成以来、1920年~1930年代にアメリカで親しまれていたスウィング・スタイルを発展させ、日本語によるジャズを追求しつづけるGentle Forest Jazz Band。エンターテイメント性の高いパフォーマンスは、ファンを拡大しつづけている。Gentle Forest Jazz Bandの「日本語ジャズ」はいかにして生まれたのか? バンドを率いるヴォードヴィリアン・ジェントル久保田さんにお話を伺った。
来たる7月6日には、めぐろパーシモンホールで開催される「JAZZ WORLD BEAT 2019」に出演。今、日本でもっとも熱いビッグバンドのひとつであるGentle Forest Jazz Bandの活動に注目したい。

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写真:atacamaki photography
取材・文
大久保和則 編集者・ライター
大久保和則
取材・文
大久保和則 編集者・ライター
レコード&CDショップ「六本木WAVE」勤務を経て、雑誌「BAR-F-OUT!」編集部、「マーブルブックス」編集部に在籍。以後、フリーランスに。現在は、バンドからシン...

ジャズは、人間の弱い部分や最悪の部分を見せたり歌ったりする音楽

――僕は、Gentle Forest Jazz Bandの音楽には品と愛嬌があるなと思っているんですけど、まだGentle Forest Jazz Bandを聴いたことがないという「ONTOMO」読者に、自分たちの音楽を言葉で表現したら、どんな形になりますか?

「1920年代から30年代のアメリカで、ジャズが一番大衆に楽しまれていたころのジャズを演奏しているバンド、でしょうか。まだ、いわゆるポップスが誕生していなくて、大衆音楽だったり、ダンスミュージックとして捉えられていた時代のジャズ。その音楽性は、結成当初からずっと変わらないですね」

――変わらない部分がありつつ、キャリアを重ねるにつれてそこに肉付けされてきたのは、どんなところでしょうか?

「今の自分たちを否定せずに、自分たちの感覚をスウィングジャズに落とし込むという意識は、活動を通して強くなってきているかもしれません。昔の音楽をそのままやっても今やっている意味はないし、僕らはその時代を生きてきたわけでもないですからね。ただ、わかりやすく今の感覚が音に入っているというわけじゃなく、隠し味的に実は入っているという。そこは、今の音楽としてみんなに楽しんでもらえる要素の一つになっているかなと思います」

――もう一つ、1920〜30年代のアメリカのジャズにないGentle Forest Jazz Bandの要素としては、日本語の歌というものもあると思います。これまでに、二階堂和美さんや小松政夫さんとコラボレーションしています。

「日本語で歌うジャズって、めちゃくちゃむずかしいんですけど、そこは逃げずに試行錯誤しながらやっている感じですね。ロックでもポップスでも、海外の影響を受けながらも日本語の歌詞を落とし込んで楽曲を作っているじゃないですか。でも、ジャズはあまりそういうアプローチに意識的ではないですよね。

ジャズって、今の人たちにはクールなイメージが強いかもしれないけど、僕が好きな時代のジャズは、むちゃくちゃくだらないことをして、人間の弱い部分、最悪の部分を見せたり歌ったりしていました。そういう魅力を伝えるには、実はこういうことを歌っているんだよって、日本語で、しかも今の自分たちの言葉で伝えるのがわかりやすいと思うんです」

――当時のジャズに惹かれたのは、もちろん音楽的魅力もそうでしょうけど、一方ではそういう人間くさいどうしようもなさ、自由さに魅力を感じた部分も大きいんでしょうか?

「そうですね。アフリカンアメリカンの人たちが南北戦争で解放されて、そこでなんとかのし上がろうとする。そこで潰されたりもするんだけど、超かっこいいジャズという音楽を発明して、それを白人が真似して、その結果、黒人たちにも光が当たって。そういうドロドロした相乗効果でできあがっているのがジャズなので、そこを無視してジャズをやると、つまんない。逆に意識して見ると、ジャズが面白いエンターテイメントになるんです」

――ジャズがテクニカルだったり、クールだったりっていうのは……。

「それは、あとから生まれたものなので。本当は、今僕が話したような人間の核の部分、人間が作ってきた音楽だっていうことを出しやすいのがジャズじゃないかなって」

ジェントル久保田(リーダー/トロンボーン)
1978年東京生まれ神奈川育ち 高校卒業後庭師になるべく住み込みで修業するも壁にぶち当たり断念。再出発のために22歳で入学した和光大学でトロンボーンと出会う。在学中驚異の練習でトロンボーンを習得するも、高級眼鏡店に就職。眼鏡販売をしながら、2005年自身のエンターテイメント・ビッグバンド Gentle Forest Jazz Bandを結成。2007年親友である浜野謙太の誘いで、在日ファンクにトロンボニストとして加入。2010年高級眼鏡店退職後は、トロンボニスト、司会、ナレーター、俳優として活動をしている。

――人間くさいという意味では、Gentle Forest Jazz Bandのメンバーの人間関係はどんな感じなんでしょうか?

「なんでも言い合える仲ですね。ライブをしながら旅をしている間は毎日一緒にいますけど、毎日のように朝までのんで、ひたすら話しているメンバーが多いです(笑)。もし話題がなくても、ダラダラと一緒にいられるメンバーで構成されているというか。昔のビッグバンドは、一度旅に出ると、だいたい70日毎日休みなしでライブだったそうです。

。それに比べたら、今の自分たちは楽だっていう話を、僕は常々しているんですけどね。10年以上やっていると、そういうことも楽しめるというか」

――大所帯バンドならではの醍醐味を教えてください。

「みんなで好きなことができること、それを聴いてくれる人の前で『ジャズのオーケストラはこれだ!』って演奏できることがうれしいですよね」

喧嘩しても、仲が悪くてもいい。その人のことをわかっているということが重要

――「ジャズ・ワールドビート2019」で、女性だけのビッグバンドのたをやめオルケスタとルーマニアのブラスバンド=ファンファーレ・チォカリーアと共演します。

「すごく楽しみですね。ワンマンより、ある意味で燃えています。2バンドとも、自分たちがやりたいことがあって、ほかにはない個性を持っているので、超本気を出して行くぞってみんなに言ってますね(笑)。

たをやめはポップで明るい感じ、チォカリーアはガンガンにブラスを鳴らしてくる土着的なサウンドだと思うんですけど、僕らはまったく違う音を鳴らそうと思っています。同じ楽器を使っていても、こんなに違うんだっていう音楽的な幅を見せるのが、ここでの僕らの役割かなって」

――8月16日に公開される映画「ダンス・ウィズ・ミー」では、ミュージカルパートの音楽を担当されています。

「80年代から90年代の歌謡曲やポップスを、映像にも反映されるということを考えながら、どういうふうにアレンジしていくかというところで、けっこう苦戦というか、いろいろと考えながら制作を進めていきました。もともとの楽曲は、僕らがやっている音楽とはまったく違うものですけど、大衆に受け入れられた華やかで楽しい部分を、いかにブラッシュアップさせるかがポイントでした。あらためて当時のヒット曲を聴くと、メロディラインがいい曲が多い。それを、うちのバンドの力でどうさらに華やかにするかっていう。監督からのリクエストも多かったですけど、試行錯誤しながらも楽しかったですね。『もっとロックっぽく』と言われたら『これはどうだ!』とか、そういう要求に楽しみながら応えられたのは、やっぱりバンドでディスカッションしながらだったから。僕一人だったら、楽しくはできなかったかもしれないです」

――今のお話もそうですけど、やっぱり楽しめないとつまらない?

「楽しくないことはやらない、というのが基本ですね。まずは楽しんでやって、そこで初めてお客さんに伝わるか伝わらないかのスタートラインに立つと思っていますし。バンドのみんなが楽しんでいるのが、お客さんがそのバンドと仲良くなる入り口だと思いますね」

――だとすると、音楽的な相性も重要だけど、人間としてうまが合うかどうかも大事?

「いや、うまが合わなくてもよくて、“その人のことをわかっている”ということが重要なんです。むしろ、喧嘩しても、仲が悪くてもいいし、実際に仲が悪いやつらもいますけど(笑)、ビッグバンドだと逆にその仲の悪さが面白いんです」

――4人編成のバンドで2人が仲悪かったら大変だけど。

「そうそう。でも、ビッグバンドでは仲が悪いやつ同士を別の誰かが取り持ったりとか、オーケストラにはそういう社会の縮図みたいなところがあって。しかも、そういう関係性をわざとライブでクローズアップさせる(笑)。でも、人間の違いが音楽に表れるのがジャズなので、そういう人間関係も楽しいし、いろんな人がいて、いろんなことをやりだすのが、ジャズの面白さなので」

――Gentle Forest Jazz Bandの音楽は、1920〜30年代のジャズをベースにしているにもかかわらず、決してノスタルジーにならないのはどうしてだと思っていますか? もちろん、突きつめれば「今を生きている」からということにはなると思うんですが。

「それは、絶対にそうですよね。あとは、演奏しているのがオリジナルナンバーだということが大きいかなと思います。昔のスタンダードナンバーを演奏していたら、やっぱりノスタルジックになってしまいますから」

デューク・エリントン楽団が見ていたジャズの面白さ

――今後、やってみたいことを教えてください。

「そろそろ次のアルバムが出したいなと思っていて、ちょいちょい準備をしています。前作でやりたいことをやり尽くした部分があるんですけど、制作をしながらまた新たにやりたいことが生まれないかなと思っていますね。メンバーの新たな楽しさや焦点の当てどころが、制作をしていると見つかったりするので、それを見つけて、いかにバンドのメンバーが入り乱れて、いろんな面白い部分が出せるバンドになるか。そういう見せ方がもっとできたら。このバンドは誰が出てきても面白いなっていう存在になると思うんです。昔のジャズバンドは、誰が出てきても面白いですからね。笑えるというか、変な人がいっぱいいて、みんな頑張って人とは違うことをやろうとするんで、めちゃくちゃ面白いですよ。もっとそういう部分を、10年以上やってても掘り起こせると思っているので、掘り起こしたいなと思います」

――今、見せ方の話がありましたが、そういった演出面で何か参考にしているものはありますか?

「一番衝撃を受けたのは、布袋寅泰さんのライブですね。ライティングから曲の構成から音響から、すべてが神がかっている。ただ演奏するだけじゃなく、視覚面でも楽しめました。そこは、ジャズというジャンルが一番おろそかにしている部分なんですけど、そのへんもGentle Forest Jazz Bandでできたら面白いなと思いますね。あと、バンドを始める前は、ずっと忌野清志郎さんが大好きで、ライブを見ても本当に面白いんですよ。あの衝撃的な楽しさっていうのは、いつも頭の中にありますね」

――ちなみに、クラシックは聴かれたりするんですか?

「聴かないですね。でも、クラシックにはいい曲が多いので、クラシックを題材にしたジャズをやるというアプローチは、いつかGentle Forest Jazz Bandでもやろうかっていう話はしています。1930年代に、トミー・ドーシーというミュージシャンのバンドが、クラシックをジャズにして爆発的に流行させたんですね。白人がクラシックしか聴かなかった時代に、そうやってジャズを大衆化させたんですけど、今でも楽しい曲ができそうだなって」

――じゃあ、クラシックを聴いている読者に久保田さんがオススメするジャズは?

「やっぱり、トミー・ドーシーはいいと思います。クラシックの曲がダンスナンバーになったりしているので、受け入れやすいと思います。聴きやすいように、本来は16小節になっている部分を8小節に変えたり、マイナーコードのメロディを抜いてメジャーコードだけにしていたり、面白いですよ」

――最後に、現在の久保田さんがもっとも影響を受けたアーティストを教えてください。

「僕は、デューク・エリントン楽団がめちゃくちゃ好きで、あの人が見ていたジャズの面白さに少しでも近づきたいなと思ってバンドをやっているんです。アルバムにも、常にデューク・エリントンに捧げるナンバーを収録しています。本当にたくさんの作品がありますけど、オススメするなら『Such Sweet Thunder』。タイトルナンバーは、シェイクスピアの作品に触発されて書いた曲なんですけど、すごく好きな曲です」

公演情報
JAZZ WORLD BEAT 2019

日時:7月6日(日)16:15(開場)/17:00(開演)
チケット:全席指定
一般6,500円/目黒区民割引6,000円/高校生以下3,000円
※当日券各席種より500円増
会場: めぐろパーシモンホール

◎大ホール(17:00開演)
【出演】
ファンファーレ・チォカリーア(ゲスト:Nourah、白崎映美)
ジェントル・フォレスト・ジャズ・バンド(ゲスト:アモーレ&ルル)
たをやめオルケスタ

◎小ホール(13:30開演)
【出演】
白崎映美 with 伏見蛍
藤本一馬 & 伊藤志宏 Duo
Tokyo Romany(Nourah with Otoji+Ray、Takseema)
nouon Unplugged(山田あずさ、Kevin McHugh、大石俊太郎)

主催:プランクトン
共催:公益法人財団目黒区芸術文化振興財団
後援:在日ルーマニア大使館
企画制作:プランクトン
お問い合わせ:03-3498-2881
URL:http://www.plankton.co.jp/jazz2019

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