フラメンコギター・徳永兄弟〜ポップスからクラシックまでも自分たちの音楽に変えてしまう底力
編集プロダクションで機関誌・広報誌等の企画・編集・ライティングを経てフリーに。 四十の手習いでギターを始め、5 年が経過。七十でのデビュー(?)を目指し猛特訓中。年に...
フラメンコの本場・スペインで数々のコンクールで優勝・入賞し、フラメンコギターの未来を担う存在として国内外で活躍が期待される健太郎(兄)と康次郎(弟)の徳永兄弟。メジャー第一弾アルバム『ネオ・フラメンコ』について話を伺った。
これが僕たちのフラメンコだ! といえる曲をまず最初に聴いてほしい
ハレオ(かけ声)とパルマ(手拍子)が響く中、瑞々しいギターが駆け抜けていく。徳永兄弟が満を持して放つメジャー第一弾アルバム『ネオ・フラメンコ』は、そのタイトルを体現するようなナンバー「ブレリア・デ・パドレ」で幕を開ける。
「ブレリア」とは、フラメンコを代表する曲種のひとつで、生命力にあふれたエネルギッシュな曲想が特徴だ。ふたりは、本作で初めて彼らの音楽やフラメンコを聴くかもしれないリスナーへのイントロダクションとして、この曲を持ってきたのだ。パコ・デ・ルシアに始まる現代的なフラメンコの流れも汲み、パーカッションも活躍する。
「勢いがあって、フラメンコっぽさも存分に味わえる曲なので、僕たちの音楽を皆さんに紹介するにはこれがいちばんいいと思いました」(康次郎)
「アルバムでは、『これが僕たちのフラメンコだ!』というものをまず聴いていただきたいです。その後に、カバー曲をはじめとする僕たちの新しい世界を楽しんでください」(健太郎)
フラメンコギタリスト・徳永武昭を父に持ち、幼少の頃からフラメンコギターに親しんできたふたりは、中学卒業後にスペインに渡り、セビージャのクリスティーナ・ヘレン・フラメンコ芸術学院に入学。全課程を修了した後は講師としても在籍した逸材だ。
これまで約10年の間、スペインと日本を股にかけて活躍し、フラメンコギターの可能性を追求してきたが、本作を機により中身の濃い活動が期待される。
オーディション番組「ゴットタレント」のスペイン版にも出演。「ブレリア・デ・パドレ」を披露し、満票を獲得!
アルバムは、ピアソラの「リベルタンゴ」やチック・コリアの「スペイン」など、ジャンルを超えて愛される楽曲のカバーが続き、前半のハイライトともいえる「コーヒールンバ」へ。
ふたりが小学生の頃からずっと弾き続けているという大切なレパートリーで、哀愁あるメロディに、疾走するスピード感と溢れるようなリズムで新たな生命を与えている。
「小さい頃に父から教わったので、ずっと『これは父の曲なんだ』と思っていました(笑)」(健太郎)
「アルバムには最近作ったバージョンを収録していますが、実はつい最近まで子どもの頃と同じアレンジで弾いていたんですよ」(康次郎)
新アルバムにも収録されている新バージョンの「コーヒールンバ」
フラメンコを聴いたことがない人にも届けたい
「僕たちはギターを始めたときからフラメンコ一筋。だからどんな音楽を演奏しても自然とフラメンコになるんです」(康次郎)
「本作では、これまでよりも幅広い楽曲にチャレンジすることで、僕たちのフラメンコに改めて自信を持つことができたし、もっと多くの音楽を学びたいとも思うようになりました」(健太郎)
そんな彼らの本領が発揮されたのが、本作の後半に用意されたマヌエル・デ・ファリャの「火祭りの踊り」から、ビゼー《カルメン》〜「アラゴネーズ」、「ハバネラ~闘牛士」へと続くクラシック曲のフラメンコ・アレンジだ。
現代フラメンコギターの偉大な先達であるパコ・デ・ルシアのレパートリーでもあり、彼のバージョンにリスペクトを表しつつ、その先も見据えるダイナミックなアレンジを施した「火祭りの踊り」。
マヌエル・デ・ファリャのバレエ音楽《恋は魔術師》〜「火祭りの踊り」とパコ・デ・ルシアのアレンジ版
そしてフラメンコの躍動感と野性味にあふれた《カルメン》と、クラシック音楽のファンにもおおいにアピールする内容になった。これらのナンバーは、2022年11月から始まるツアーでも披露されるに違いない。
「普段はフラメンコを聴かない方や、『興味はあるけど、どこから聴いたらいいのかわからない』という方にもおすすめできるコンサートにしたいと思います。皆さんがフラメンコに触れるきっかけにしたいですね」(健太郎)
「今回はアルバムからの曲を中心にお届けします。僕たちのオリジナルはもちろん、さまざまなカバー曲を通じて、フラメンコギターの魅力や面白さを知っていただけたらうれしいです」(康次郎)
2022年11/23(水)リリース「NEO FLAMENCO」
2022年
11月30日(水)18:45 名古屋・電気文化会館
全席指定(税込み) 3,500円
出演:徳永健太郎&徳永康次郎 KAN(パーカション)
12月2日(金)19:00 東京・浜離宮朝日ホール
全席指定(税込み) 5,500円
出演:徳永健太郎&徳永康次郎 KAN(パーカション)
12月14日(水)19:00 新潟・りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館
全席指定(税込み) 4,000円
出演:徳永健太郎&徳永康次郎 KAN(パーカション)
2023年
4月1日(土)14:00 大阪・ザ・フェニックスホール
全席指定(税込み) 4,000円(税込み)
出演:徳永健太郎&徳永康次郎 ほか
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