インタビュー
2022.11.16

フラメンコギター・徳永兄弟〜ポップスからクラシックまでも自分たちの音楽に変えてしまう底力 

取材・文
山﨑隆一
取材・文
山﨑隆一 ライター

編集プロダクションで機関誌・広報誌等の企画・編集・ライティングを経てフリーに。 四十の手習いでギターを始め、5 年が経過。七十でのデビュー(?)を目指し猛特訓中。年に...

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フラメンコの本場・スペインで数々のコンクールで優勝・入賞し、フラメンコギターの未来を担う存在として国内外で活躍が期待される健太郎(兄)と康次郎(弟)の徳永兄弟。メジャー第一弾アルバム『ネオ・フラメンコ』について話を伺った。

兄:徳永健太郎・1991年 新潟市生まれ(左)弟:徳永康次郎・1993年 新潟市生まれ(右) 幼少期より父 徳永武昭のもとフラメンコギターを始める。中学卒業後スペインへ渡りセビージャのクリスティーナヘレンフラメンコ芸術学院に入学。3年間で全課程修了しその後同学院の講師として数年間在籍。

日本フラメンコ協会新人公演奨励賞ギター部門を兄弟共に2年連続受賞。兄は、スペインのセビージャにてCERTAMEN ANDALUZ FLAMENCOS アンダルシアフラメンコギターコンクール準優勝。弟は、2019年にスペインのバルセロナでの国際コンクールで決勝進出し4位に入賞。その他国内外で様々な受賞歴を持つ。その後、「100年に一度の原石」と称され日本とスペインを行き来し様々な舞台にて活躍し現在に至る。

2017年 アニメ「アルスラーン戦記」の主題歌、藍井エイルの「翼」にフラメンコギターで参加。2019年 3rdアルバム「Resonancia〜共鳴〜」がiTunes Storeにて「ワールドトップアルバム・スペイン・第2位」にチャートイン。2020年、Gainax制作、世界初の手描きフル4Kアニメ「砂の灯(監督:山賀博之氏、キャラクターデザイン:貞本義行氏)」に、劇中曲(作曲・演奏)で携わる。また、兄 健太郎がドラマ「ハケンの品格」のサウンドトラックに参加。また、NHK 「旅するためのスペイン語」のオープニングテーマを担当。他BSフジ、BSテレ東、NHKなど様々なテレビ番組に出演する。2014年〜2018年の間に自主制作により3枚のアルバムをリリース。2020年 ベストアルバム『Guitarra Flamenca』をリリース。2022年11月に日本コロムビア株式会社より「NEO FLAMENCO」をリリースしホールツアーを開催する。

これが僕たちのフラメンコだ!  といえる曲をまず最初に聴いてほしい

ハレオ(かけ声)とパルマ(手拍子)が響く中、瑞々しいギターが駆け抜けていく。徳永兄弟が満を持して放つメジャー第一弾アルバム『ネオ・フラメンコ』は、そのタイトルを体現するようなナンバー「ブレリア・デ・パドレ」で幕を開ける。

「ブレリア」とは、フラメンコを代表する曲種のひとつで、生命力にあふれたエネルギッシュな曲想が特徴だ。ふたりは、本作で初めて彼らの音楽やフラメンコを聴くかもしれないリスナーへのイントロダクションとして、この曲を持ってきたのだ。パコ・デ・ルシアに始まる現代的なフラメンコの流れも汲み、パーカッションも活躍する。

「勢いがあって、フラメンコっぽさも存分に味わえる曲なので、僕たちの音楽を皆さんに紹介するにはこれがいちばんいいと思いました」(康次郎)

「アルバムでは、『これが僕たちのフラメンコだ!』というものをまず聴いていただきたいです。その後に、カバー曲をはじめとする僕たちの新しい世界を楽しんでください」(健太郎)

フラメンコギタリスト・徳永武昭を父に持ち、幼少の頃からフラメンコギターに親しんできたふたりは、中学卒業後にスペインに渡り、セビージャのクリスティーナ・ヘレン・フラメンコ芸術学院に入学。全課程を修了した後は講師としても在籍した逸材だ。

これまで約10年の間、スペインと日本を股にかけて活躍し、フラメンコギターの可能性を追求してきたが、本作を機により中身の濃い活動が期待される。

オーディション番組「ゴットタレント」のスペイン版にも出演。「ブレリア・デ・パドレ」を披露し、満票を獲得!

アルバムは、ピアソラの「リベルタンゴ」やチック・コリアの「スペイン」など、ジャンルを超えて愛される楽曲のカバーが続き、前半のハイライトともいえる「コーヒールンバ」へ。

ふたりが小学生の頃からずっと弾き続けているという大切なレパートリーで、哀愁あるメロディに、疾走するスピード感と溢れるようなリズムで新たな生命を与えている。

「小さい頃に父から教わったので、ずっと『これは父の曲なんだ』と思っていました(笑)」(健太郎)

「アルバムには最近作ったバージョンを収録していますが、実はつい最近まで子どもの頃と同じアレンジで弾いていたんですよ」(康次郎)

新アルバムにも収録されている新バージョンの「コーヒールンバ」

フラメンコを聴いたことがない人にも届けたい

「僕たちはギターを始めたときからフラメンコ一筋。だからどんな音楽を演奏しても自然とフラメンコになるんです」(康次郎)

「本作では、これまでよりも幅広い楽曲にチャレンジすることで、僕たちのフラメンコに改めて自信を持つことができたし、もっと多くの音楽を学びたいとも思うようになりました」(健太郎)

そんな彼らの本領が発揮されたのが、本作の後半に用意されたマヌエル・デ・ファリャの「火祭りの踊り」から、ビゼー《カルメン》〜「アラゴネーズ」、「ハバネラ~闘牛士」へと続くクラシック曲のフラメンコ・アレンジだ。

現代フラメンコギターの偉大な先達であるパコ・デ・ルシアのレパートリーでもあり、彼のバージョンにリスペクトを表しつつ、その先も見据えるダイナミックなアレンジを施した「火祭りの踊り」。

マヌエル・デ・ファリャのバレエ音楽《恋は魔術師》〜「火祭りの踊り」とパコ・デ・ルシアのアレンジ版

そしてフラメンコの躍動感と野性味にあふれた《カルメン》と、クラシック音楽のファンにもおおいにアピールする内容になった。これらのナンバーは、2022年11月から始まるツアーでも披露されるに違いない。

「普段はフラメンコを聴かない方や、『興味はあるけど、どこから聴いたらいいのかわからない』という方にもおすすめできるコンサートにしたいと思います。皆さんがフラメンコに触れるきっかけにしたいですね」(健太郎)

「今回はアルバムからの曲を中心にお届けします。僕たちのオリジナルはもちろん、さまざまなカバー曲を通じて、フラメンコギターの魅力や面白さを知っていただけたらうれしいです」(康次郎)

2022年11/23(水)リリース「NEO FLAMENCO」

結成10周年  徳永兄弟コンサートホールツアー2022 フラメンコギター・コンサート「NEO FLAMENCO」
ツアー情報
結成10周年  徳永兄弟コンサートホールツアー2022 フラメンコギター・コンサート「NEO FLAMENCO」

2022

1130日(水)18:45 名古屋・電気文化会館

全席指定(税込み) 3,500円

出演:徳永健太郎&徳永康次郎 KAN(パーカション)

 

 

122日(金)19:00 東京・浜離宮朝日ホール 

全席指定(税込み) 5,500円

出演:徳永健太郎&徳永康次郎 KAN(パーカション)

 

 

1214日(水)19:00 新潟・りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館

全席指定(税込み) 4,000円

出演:徳永健太郎&徳永康次郎 KAN(パーカション)

 

 

2023

41日(土)14:00 大阪・ザ・フェニックスホール

全席指定(税込み) 4,000円(税込み)

出演:徳永健太郎&徳永康次郎 ほか

取材・文
山﨑隆一
取材・文
山﨑隆一 ライター

編集プロダクションで機関誌・広報誌等の企画・編集・ライティングを経てフリーに。 四十の手習いでギターを始め、5 年が経過。七十でのデビュー(?)を目指し猛特訓中。年に...

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