特集「いい音で聴く!」おすすめポータブルオーディオ その3 DAP/ポタアン/ヘッドフォン

クラシックを聴くオーディオ入門者におすすめ! DAPやポタアンを使えばワンランク上の「いい音」をポータブルで

レポート
2019.09.06

ポータブルでも「いい音」で聴きたい欲望を叶えるべく行なった試聴会。せっかく良質な
イヤフォンでも、再生機器のスペックが低いともったいない!? そこで登場したのがDAP/ポタアン。これさえあれば、噂のハイレゾだってバッチリ聴ける。最後には生形さんがプッシュするワイヤレスでノイズキャンセリング機能付きのヘッドフォンもご紹介。

いい音のためなら財布のヒモをゆるめる!
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター
飯田有抄
いい音のためなら財布のヒモをゆるめる!
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
いい音ナビゲーター
生形三郎 オーディオ・アクティビスト
生形三郎
いい音ナビゲーター
生形三郎 オーディオ・アクティビスト
オーディオ・アクティビスト(音楽家/録音エンジニア/オーディオ評論家)。東京都世田谷区出身。昭和音大作曲科を首席卒業、東京藝術大学大学院修了。東京電機大学理工学部講師...

ポタアンで音楽にパワーを

さて今回は、まず“ポタアン”を取り上げます。

ポタアンって、響きが親しみやすいですね。ポータブル・ヘッドフォン・アンプの略です(「ヘッドフォン」どこいった?)。

スマートフォンなどポータブルな再生機器で音楽を聴くとき、もともと内蔵されたアンプで音が増幅されているわけですが、内蔵アンプは極小ですし、最小限の電力で済むように設計されています。音質的には必要最低限のレベルではあっても、高音質に特化した作りにはなっていません。

そこで、ポタアンを導入することで、音楽再生に特化したパワーを追加できるため、音源が持っている内容や、ヘッドフォンやイヤフォンが本来出せるはずの「鳴り」を、きちんと味わえるというわけです。

スマホとイヤフォンのあいだに繋いで使います。
生形さんがもう少し解説

ポタアンを使うと、内蔵アンプでは駆動しきれない大型ヘッドフォンなども、十分な音量で鳴らすことができます。それに加えて最近では、DAC機能、つまり、デジタルデータをアナログ音声信号へと変換する機能を備えたものもあり、スマホとデジタル接続することで、より良質な音を楽しむことができます。

また、詳しい説明はここでは避けますが、「バランス駆動」と呼ばれる、ヘッドフォンやイヤフォンが持っている性能をより十全に発揮させる駆動方式に対応するものもあります。

第1回で生形さんがお話していたように、昨今ではポタアンと有線イヤフォンとの組み合わせで「遊ぶ」ことが人気のようです。極小のポタアンから、品質にこだわったポタアンまで、大きさも価格もバラエティに富んだ製品から選べます。

ポタアンをプラスして試聴

FiiO Q1 Mark II

FiiO Q1 Mark II オープン価格(実勢価格 15,000円前後)

今回生形さんがオススメしてくれたのは、FiiO Q1 Mark II。たいていのスマホよりもひと回り小さく、形もスタイリッシュ。でもしっかり存在感はあるから、「ポタアンを導入したぞ!」という満足感をも高めてくれそう(ちなみにFiiOにはA1という手のひらよりももっと小さいコンパクトなポタアンもあります)。

左からFiiO A1、FiiO Q1 Mark II、iPhone7。ちなみに左の2つのポタアンは取材後に編集部員が購入した私物。

第2回でご紹介したJVC HA-FW02の有線イヤフォンと接続したところ、ストリーミングの音質の、わずかに毛羽立ったような高音(シャカシャカする感じ)が消え、管楽器の響きもまろやかになりました。ストリーミング音源ではなく、CDから取り込んだ音源を、ポタアンを使用して聴くと、さらに自然で立体的な響きを堪能できました。

試聴音源情報
モーツァルト:クラヴィーア協奏曲第15番変ロ長調 K.450第1楽章

フォルテピアノ:小倉貴久子、ピリオド楽器による室内オーケストラ

アルバム「J.C.バッハとW.A.モーツァルトのクラヴィーア協奏曲」より(ALCD-1176)

生形さんの視点

FiiOは、ポタアンの黎明期からコストパフォーマンスに優れる製品を数多く送り出してきたメーカーです。また、派手な音が多い、この手の製品にあって、聴き疲れの少ない自然な音質が楽しめるので、クラシック音楽をナチュラルな音で楽しむのに適しているでしょう。

FiiO Q1 Mark IIは、DAC付きのポタアンなので、前回の「iPhone変換アダプタ問題」をクリアにしてくれる存在です。つまり、Lightning-to-micro USBケーブルを使ってiPhoneやiPadと接続すると、有線イヤフォンやヘッドフォンを使って良質な音を聴くことができます。Androidスマートフォンとの接続も、全機種ではありませんが対応しています。さらに、先述のバランス駆動への対応のほか、コンピュータと接続しての、よりハイレートなハイレゾ音源の再生も可能です。

DAP=デジタル・オーディオ・プレーヤーでワンランクUP!

この取材の数週間前から、個人的にDAPが気になっていて、大手家電店を訪れた私。お店の人に「DAP(ダップ)は何階ですか?」と聞いたら、「だっぷ…って、何ですか?」と聞き返されてしまったホロ苦い思い出があります。
DAPとは、デジタル・オーディオ・プレーヤー Digital Audio Playerの略。ひところ前までは、多くの人が携帯電話とは別に、音源データを保存した「iPod」を持ち歩いていましたが、いまではすっかり「スマホでストリーミング」する人が増えました。そう、iPodだって、DAPなのです。

でも、今ではわざわざ単独でデジタル・プレーヤーを持つ人は減っているかもしれませんが、実は密かに熱いユーザー層もいるのです。やっぱり、電話機と一緒じゃなくて、音楽再生機は音楽再生機として、単独でほしい。私もそう考えた一人です。

DAPは、機種によっては内蔵アンプも高品質なものがあり、ポタアンを使用せずにイヤフォン・ヘッドフォン直挿しでも、かなり高音質で聴けたりします。そして、なんといってもデータの大きい「ハイレゾ音源」を再生するのに適している。

今やスマホには、画素数の大きな写真をはじめ、さまざまなデータやアプリを詰め込んでいる人が多いですね。クラウドサービスやmicroSDなどを使用したとしても、容量を気にしながらでは好きな音楽をガンガン詰め込めない。DAP導入で気軽に、より高音質な音源を持ち歩けるのは、やっぱり魅力。

今回生形さんにオススメしてもらったDAPはふたつ。SHANLING M0、そしてFiio M6。どちらも入門レベルの扱いやすさ、価格帯です。

SHANLING M0

SHANLING M0 オープン価格(実勢価格15000円~)
カラーバリエーションは5種(中央がレッド、左からパープル、チタニウムグレー、ブラック、ブルー)

SHANLING M0は、とにかく小さい! 手のひらよりも小さくて、可愛い! でもちゃんとタッチスクリーンなのだ。

そして、このカラーバリエーション。手持ちのヘッドフォンの色などと合わせて選べるのも楽しい。こんなに小さいけれど、もちろんちゃんとハイレゾ音源が聴けるのです。

microSDに入れた、生形さんの音源を聴きました。

音源情報

『J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲』

トイピアノ:塚谷水無子 録音:生形三郎(PCD-1812)

塚谷水無子さんのトイピアノによる(!)ゴルトベルク変奏曲のアルバムです。実はこのアルバムの録音を手掛けられたのは、生形さんご自身。トイピアノの可愛らしい響きが、手のひらサイズの物体から、妙にリアルに聴こえてきて、なんだか不思議、そして幸せな気分に。

また、このM0にはBluetoothの受信機能がついており、手持ちのiPhoneに取り込んである音源や、Apple MusicやAmazon prime やSpotifyといったストリーミング音源を、M0本体から再生することもできる。DAPでストリーミングもできるのは、実際のところやっぱり便利です!

生形さんの視点

SHANLINGもFiiOと同じく中国のメーカーですが、コストパフォーマンスに優れ、FiiOと良きライバル関係にある存在です。M0は、なんといってもこの小型さが魅力です。カラーバリエーションも含め、かつてのiPod nanoを彷彿とさせ実に愛らしいですね。しかしながら、前回ご紹介したBluetoothの高音質コーデックであるaptXやLDACにも対応するほか、スマホの音声をBluetoothで受信する機能を持っていたりと、機能面も妥協していません。また、こんなに小さいのに、最大約15時間の連続再生や、スタンバイモードで最大30日の待機が可能というロングライフを誇ります。ポケットに入れてもまったくかさばりませんし、DAPを気軽に始めてみたい方に打って付けのモデルです。

FiiO M6

FiiO M6 オープン価格(実勢価格22,000円前後)

Fiio M6も、SHANLING M0ほどではないが、かなりコンパクトで軽い。毎日持ち歩くには心地いいサイズ感。

このDAPの生形さんのオススメポイントは、前回取り上げたBluetoothの規格を「LDAC-音質有線」「LDAC-標準」「LDAC-接続優先」「aptX-HD」「aptX」「SBC」の中から選べるということ! ワイヤレス接続の音質を選ぶなんて、けっこう「通」な感じがする。

実際「aptX-HD」の接続を選択し、前回ご紹介したワイヤレスイヤフォンJVC HA-FW02BTで、モーツァルトの音源を再生したところ(CD取り込み音源)、今回のこの取材中、もっとも柔らかく、自然な印象の響きで聴くことができた。

スマホからミラーリングさせて、Fiio M6から音を聴く。同じストリーミングなのに音質は明らかに違う!
生形さんの視点

操作性、機能、音質、デザイン、価格。それらすべてに優れ、人気なのがM6です。SHANLING M0と同じくスマホの音声をM6で受信することが可能なほか、「FiiO Link」という機能を備え、専用のアプリによって、DAPに触れずともスマホからM6を操作したり、ステータスを確認することも可能です(2019年9月現在、FiiO Link は、Bluetooth接続ではAndroidのみの対応)。これによって、スマホとDAPを持ち換えて操作する、というわずらわしさから解放されます。バッテリーも、連続再生約13時間以上、待機時間は最大26日間と、ロングライフです。

実は、私もM6の上位機種M9を愛用しています。

ヘッドフォンも選択肢のひとつにいかが?

パナソニック RP-HD600N オープン価格(実勢価格24,000円前後)

パナソニック RP-HD610N オープン価格(実勢価格28,000円前後)

今回はイヤフォンをメインでご紹介したが、生形さんにヘッドフォンのオススメ、それもノイズキャンセリング付きのものも一つご紹介いただいた。ノイズキャンセリングといえば、BOSEやSONYの製品が有名だが、生形さんが教えてくれたのは、パナソニックのRP-HD600N / RP-HD610N。実は、これが編集部員もザワつく(気に入った人続出の)逸品。

強めのノイズキャンセリングに特有の耳にツンとくるような感触はなく、かけ心地も響きも自然。何しろカラーが大人っぽくておしゃれでした!

生形さんの視点

よりダイナミックな音が楽しめるヘッドフォン。クラシックを聴く人に特におススメしたいのが、パナソニックのRP-HD610N、RP-HD600Nです。ナチュラル傾向の音質を備えており、生楽器の演奏も違和感なく楽しめます。コーデックはSBCやAACはもちろん、aptX HDやLDACにも対応。

また、屋外使用では欠かすことのできないノイズキャンセル機能も耳にツンと来る感じが少なく、ノイキャンが苦手な人にもおススメです。RP-HD600Nは3種のカラーバリエーションもあり、上質感あるデザインと合わさり、洋服とのコーディネートもしやすいかと思います。

筆者も、オリーブグリーンを愛用しています。

RP-HD600N 飯田さんが着けているのがマルーンブラウン、生形さんは愛用のオリーブグリーン。このほかにはベーシックなブラックと3種のカラーバリエーションも楽しい。
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