モダン優勢となった今回のコンクール

2018年の第1回コンクールでは、ダブルメジャーのリッテルが優勝、古楽器奏者の川口成彦とモダンのシフィグートが2位を分け合った。

今回は、優勝者と第2位がモダン、第3位の同率の一人がダブルメジャー、一人はモダンと、モダン優勢のコンクールになった。これは一つには、モダンの奏者もピリオド楽器の奏法やスタイルをつとめて身につけようと努力した結果と思われる。

前回はショパン以外の課題曲はバッハやショパンの周辺のポーランドの作曲家に限定されていたが、今回はモーツァルトの幻想曲やロンドが含まれ、古楽器奏者たちは工夫を凝らしたが、特に《幻想曲ニ短調》など、補筆部分をカットしてアインガングで繋ぎ、他の曲に移るなど、凝れば凝るほど次のラウンドに進めないという皮肉な結果ともなった。

古楽器側の審査員、オルガ・パシュチェンコは、ショパンの時代のバッハやモーツァルトなので、あまり古楽のスタイルにこだわる必要もないのではないかというコメントを残している。もし次回開催されるなら、この辺りの申し合わせも必要になってくるだろう。

ファイナリスト6名たち。左からエリック・グオ、マルティン・ヌーバウアー、カミラ・サハゼスカ、ヨンフアン・チョン、ピオトル・パヴラク、アンジー・チャン
第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール 審査結果

第1位 エリック・グオ Eric Guo(カナダ)
第2位 ピオトル・パヴラク Piotr Pawlak(ポーランド)
第3位 アンジー・チャン Angie Zhang(アメリカ合衆国)
第3位 ヨンフアン・チョン Yonghuan Zhong(中国)

ORLEN財団によるポーランド最高位のピアニストに贈られる賞:ピオトル・パヴラク

ポーランド放送によるマズルカ最優秀演奏賞 :エリック・グオ

青柳いづみこ
青柳いづみこ ピアニスト・文筆家

安川加壽子、ピエール・バルビゼの各氏に師事。フランス国立マルセイユ音楽院首席卒業、東京藝術大学大学院博士課程修了。武満徹・矢代秋雄・八村義夫作品を集めた『残酷なやさし...