メタバース上にオペラハウスを作ってしまうというプロジェクト

このオペラにメタバースがどのように絡むのかは今後のお楽しみになるが、仮想空間上にオペラハウスを作ってしまうというプロジェクトは、オペラ・ファンだったら興味津々のもの。

他のジャンルではすでに2.5次元ミュージカル『アマネ♰ギムナジウム』が今年の5月に発表され話題を呼ぶなど、リアル演劇とテクノロジー(メタバース)のマッチングが成功しているだけに、オペラの分野でもイマジナリーな展開が予想される。

今回のプロジェクトに関して、武井涼子は次のように語る。

「Web3と言われるブロックチェーン技術は、芸術の発展に大きく寄与する可能性を持っています。メタバースのオペラハウスには、リアル体験に近い点もあります。例えば、画面と自分が一対一となってしまう配信チャンネルと違って、リアルの劇場がそうであるように、みんなと一緒に作品を見る体験もできます。もちろんメタバースならではの体験も追及していきたいと考えています。

まだやりたいことをすべてやるには技術的に難しい面もありますが、今から始めることで、より良いものをなるべく早く提供できるようにしたいのです。今回のニーノ・ロータのオペラ上演を動画の素材として、2023年に“こけら落とし”を行ないます」とコメントしているいわば今回のリアル上演はメタバースオペラのファーストステップといえるものだ。

舞台には人気テノール山本耕平をはじめとして、田村由貴絵(メゾ・ソプラノ)、飯田裕之(バリトン)、後藤春馬(バス・バリトン)ら芸達者の名手が登場。監修とピアノ伴奏は、本公演のためにイタリアから来日するマエストロ、ウバルド・ファッブリ。中村敬一の新演出というのも話題。

オペラだけでなく映画音楽も、『ゴッドファーザー』より「愛のテーマ」、『道』より「ラ・ストラーダ」、『フェリーニのアマルコルド』より「アマルコルド」を室内楽で演奏。イタリア映画、とくにフェリーニのファンにも楽しんでもらえる内容となっている。

クリスマスのひととき、ニーノ・ロータの洒落たオペラと新しいテクノロジーが拓く未知の体験に思いをはせるのも、いいのではないだろうか。

公演情報
ニーノ・ロータのオペラ

日時:2022年12月24日(土)、25日(日)

場所:日経ホール

曲目

第一部:開演16:30

映画『ゴッド・ファーザー』より「愛のテーマ」、オペラ《内気な二人》

第二部:開演19:00

映画『道』より「ラ・ストラーダ(道)」

オペラ《自動車運転教習所》、映画『フェリーニのアマルコルド』より「アマルコルド」、オペラ《神経症患者の夜》

監修・ピアノ:ウバルド・ファッブリ 

演出:中村敬一

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城間 勉
城間 勉

1958年東京生まれ。子どものころからピアノを習ってはいたが、本当にクラシック音楽に目覚めたのは中学生時代にモーツァルトの魅力に触れてから。バレンボイム&イギリス室内...