児玉さんをミュージカル沼に!?

——ドイツでさまざまな経験をされている児玉さんですが、例えばオペラやミュージカルなどはご覧になったことがありますか。

児玉 僕、ミュージカルは観たことがないんです。オペラは、日本で東京芸術劇場で全国共同制作オペラの《ラ・ボエーム》を観たんですけど、それも読売日本交響楽団が聴きたいと思って行きました。

田代 というと、舞台芸術はまだあんまり観てないんだね。

児玉 カールスルーエにはオペラ劇場があるので、これから観てみたいとは思っています。田代さんに伺いたいんですけど、ミュージカルは何から観ればいいんでしょうか。

田代 やっぱり最初に観るのは『レ・ミゼラブル』とか『オペラ座の怪人』のような、誰もが知っている作品がいいんじゃないかな。今、僕が出演している『エリザベート』は、ワンシーズン4ヶ月で年間20万人近くを動員する人気作で、チケットは売り出されるとすぐに全公演が完売してしまうような作品なんですよ。

児玉 え、そうなんですか!?

田代 舞台美術だけでも億単位の予算がかかっているようですが、せっかくなら最初の観劇は豪華な名作や、最高のキャストでミュージカルと出逢っていただきたいです。クラシックも同じで、例えば最初にモーリス・アンドレを聴くのと、よくわからない人の演奏を聴くのとでは、興味の持ち方が全然違うでしょ? 「なんだこれは!」と感性を揺さぶるような体験をしていただきたいです。

児玉 よくわかります。ヨーロッパの演奏会ではみんなスーツやドレスを着て行くんですが、ミュージカルの場合はどういう服装で行けばいいんでしょうか。

田代 今の児玉さんの格好でも全然大丈夫。ミュージカルって一口に言っても、いろいろなジャンルがあります。綺麗めなワンピースやジャケットなどで着飾って劇場に足を踏み入れたいクラシカルな作品から、渋谷を歩いているような今時の若者の格好が似合う、ポップなダンスナンバー中心の構成になっているものまで、本当に多様なので、観るものによって観客の印象も随分違うと思います。

児玉 田代さんが出演されている『エリザベート』は……

田代 比較的クラシカルな作品ですね。僕は皇帝フランツ・ヨーゼフを22歳から68歳までを演じます。公演は全国ツアーで行なわれ、東京で約2か月(65公演)上演後、大阪、博多、北海道で各2〜3週間。主役級の俳優はダブルキャストで、今回の僕の総出演回数は全112公演中約56回になりますね。だから僕にとって『エリザベート』は、稽古開始から大千穐楽まで約6か月間をひとつの作品や役柄に費やす、一大プロジェクトなんです。

児玉 それだけひとつの作品に時間をかけられるのはいいですね。コンチェルトの公演なんかだと、オーケストラとのリハーサルが2日くらいしかないですし。そういう作品にも取り組んでみたいです。オーケストラはそのために編成されたものですか?

田代 そう。オペラと同じくオーケストラ・ピットに入っています。トランペット奏者はハイEとかが出てきて、いつもみんな大変そうですけど(笑)。

児玉 ミュージカルはめちゃくちゃハードだと聞きます。

田代 長丁場なので体調管理もそうだし、一公演一公演、今日生まれて初めてこのシーンでこのセリフを発します、っていう新鮮な気持ちを保つというのがもっとも難しいところですね。でも、100回の練習より10回のレッスン、10回のレッスンよりも1回の本番っていうように、本番をやることで得られるものってすごく大きい。そういう意味ではロングランものは大変ですけど、すごくありがたいです。

後日談:『エリザベート』鑑賞後の児玉さんのコメント

初めてのミュージカルだったのですが、まず物語がとても理解しやすくて、“生で観る映画”のように音楽を楽しめました。すべて日本語だし、音楽的にも自然と身体に入りやすかったのかなと思います。

舞台や衣装が次々と変化し、そのどれもが細かいところまで美しく作られていて、本当に世界に引き込まれました。万里生さんは本当に何十回も見た目が変わっていって、ついていくのが大変なくらいでした(笑)。またぜひ観に行きたいです!