――「ONTOMO」2023.06.05 インタビューより
飯森範親×角野隼斗 今度はジョン・アダムズに挑む、ふたりの音楽から目が離せない!

角野隼斗さんはクラシックピアニストとしてだけでなく、YouTubeチャンネルでは「かてぃん」の名前で、ジャズやアニメソング、ロックなどのさまざまなジャンルの曲を即興でアレンジして配信しています。角野さんの演奏は、伝統と革新が絶妙に融合し、常に新たな音楽の魅力を届けています。
その背景には、彼自身の強い信念と明確なビジョンがあります。

東京大学大学院生のとき、国内最大級のピティナ・ピアノコンペティションで特級グランプリを受賞。それをきっかけにピアニストになることを決意します。
研究者ではなくピアニストの道を選んだのは「新しいこと」を求める角野さんにとっては自然な選択だったのかもしれません。

「そこに根拠と強い想いがあれば、それ以外の選択肢はない」という言葉には、角野さんの揺るぎない信念が詰まっています。音楽の世界では、新しいアプローチや表現方法に対して賛否両論が生まれることは避けられません。伝統的なクラシックの演奏スタイルから逸脱することへの批判や、ジャンルの境界を超えた挑戦に対する懐疑的な声もあるでしょう。

しかし、角野さんはそれらの意見に流されることなく、自分が信じる音楽を追求し続けています。彼の音楽活動を支えているのは、確固たる根拠と情熱。その軸がぶれないからこそ、彼は唯一無二の存在として輝いているのです。

角野さんの言葉は、音楽家に限らず、あらゆる分野で挑戦する人々にとって大きな励みとなります。新しいことを始めると、必ず批判や異論が生まれるもの。しかし、それを理由に立ち止まるのではなく、自分の信じる道を貫くことが大切だと彼は教えてくれます。

角野隼斗さんの活動は、常に進化し続けています。角野さんが生み出す音楽がどのように発展し、新たな価値を生み出していくのか、今後も目が離せません。

角野隼斗(すみの・はやと)

1995年生まれ。2018年、東京大学大学院在学中にピティナピアノコンペティション特級グランプリ受賞。2021年、ショパン国際ピアノコンクールセミファイナリスト。これまでにポーランド国立放送交響楽団、ハンブルク交響楽団、ブダフォク・ドホナーニ管弦楽団、読売日本交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団等と共演。さらにFUJI ROCK FESTIVALへ出演など、活躍の場はクラシックフィールドに留まらない。2020年、1stフルアルバム「HAYATOSM」をリリース、オリコンデイリー8位を獲得。最新作は、マリン・オルソップ指揮、ポーランド国立放送交響楽団とのライブ録音による「ショパン:ピアノ協奏曲第1番」。クラシックで培った技術とアレンジ、即興技術を融合した独自のスタイルが話題を集め、“Cateen(かてぃん)“名義で活動するYouTubeチャンネルは登録者数が140万人超、総再生回数は2億回を突破するなど、新時代のピアニストとして注目を集めている。2024年に世界デビューアルバム『Human Universe』をリリース。アルバムリリースを記念した全国ツアーを開催中。

ONTOMO編集部
ONTOMO編集部

東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...