音楽家でもあった詩人シューバルトによる詩

シューベルトのピアノ五重奏曲の有名な第4楽章のメロディは、2年前に作られた歌曲から転用されたものだ。「ます」という呼び名も、もとになった歌曲のタイトルに由来している。

歌曲「ます」の歌詞に目を向け、この曲の魅力に迫りたい。

シューベルト:「ます」

シューベルトにインスピレーションを与えた詩は、18世紀ドイツの詩人シューバルトによって書かれた。

シューバルトは政治的な内容の作品を多く残し、若き日のシラーに大きな影響を与えた。偶然ながら、シューベルトと名前が似ている。

音楽家でもあったシューバルトは、文学作品だけでなく、『音楽美学の理念』(Ideen zu einer Ästhetik der Tonkunst)という本も残している。その中に書かれた調性格論は、各調の特徴を「楽しい」や「悲しい」といった心理状態に結びつけて説明したもので、ベートヴェンやシューマンにも多大な影響を与えたという(参考記事:曲にはどうしていろいろな調があるの?スクリャービンやシューマン、ベートーヴェンの捉え方

音楽に造詣の深かったシューバルトは、詩の音色やリズムに相当なこだわりを持っていたはずである。そのこだわりは「ます」の歌詞からも読み取れる。