さて、調性がないように感じられる音楽は今もつくられていますが、20世紀から今に至るまで、新しい調性や旋法による音楽はさまざまな形で生まれてきていますので、調性のない「現代音楽」はすでに少数派になりつつあるかもしれません。
1960年代に生まれたミニマル・ミュージックはクラシック系の現代音楽に属しますが、新調性や新旋法によっているので、通常は「現代音楽」とは呼ばれません。ミニマル系のサウンドを引きつぎ、旋法的な響きによって全身を感覚的に包み込むような空間をつくり出す環境音楽、ブライアン・イーノのアンビエント・ミュージックも同様です。
また最近注目されている「ポスト・クラシカル」と呼ばれる音楽、例えばヨハン・ヨハンソン、ルドヴィコ・エイナウディ、日系のアンディ・アキホの音楽は、クラシック音楽のアコースティックな響きとエレクトロニックなサウンドを合体させたようなスタイル、生音を大事にしながらデジタルな要素を加えたスタイルを特徴としますが、「現代音楽」とは別の扱いをされているようです。
ヨハン・ヨハンソン『Orphée』
ルドヴィコ・エイナウディ: ふたつの夕暮れ
アンディ・アキホ:カラクレナイ