2020.08.20
飯田有抄のフォトエッセイ「暮らしのスキマに」File.22
夏の香りは漂う……夕暮れの大気に、永遠の時間に
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
夏の香り、といえばやはり、蚊取り線香でしょうか。
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最近では、ローズの香りとか、カモミールの香りとか、森の香りとか、ラベンダーの香りとか、アロマテラピー的なものもあるようです。
興味本位で使ってみたら、意外と普通の蚊取り線香っぽい匂いだなぁという印象(個人の感想ですよ)だったのですが、むしろそれにホッとしたり。
というわけで、今日は香りをテーマとした曲を選んでみました。
すぐに思い浮かぶのは、クロード・ドビュッシー(1862〜1918)の「前奏曲集 第1集」の第4曲「音と香りは夕暮れの大気に漂う」です。
ドビュッシーの響きはオシャレですから、アロマテラピー的なお香の煙がゆるゆると立ち上る雰囲気とはマッチしますね。
こちらも素敵です。ガブリエル・フォーレ(1845〜1924)作曲の歌曲「消えさらぬ香り」op.76-1です。
詩は、古典や伝説を題材にすることを重視したルコント・ド・リール(1818〜1894)によるもの。「人間の時間、永遠の時間の中で、私の心は不滅の香りで満たされる」と歌われています。
フランスの詩人、劇作家のルコント・ド・リール(1818〜1894)。フォーレのほかにも、ドビュッシーやショーソン、ラヴェルらが彼の詩を音楽にしている。
蚊取り線香のような生活に染み付いた香りとはちょっと違う、もっと大きな世界観での香りを歌ったものでした……。
それにしてもなぜ、火がつかなくなったチャッカマン(線香をつけるときに使う)はいつまでも家の中にあったりするのでしょうか。あと、書けなくなったボールペンも……(笑)
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