刹那的な切り花と、プッチーニの37小節のピアノ曲
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
東京では桜の花がそろそろ満開。桜といえばその儚さも美しいところですが、儚さで言えば、切り花ほど刹那的なものはないですね。
先日、仕事場に大切なお客様がいらっしゃるので、部屋の片隅に切り花をそっと飾りました。春らしいチューリップ。毎日水を替えて3日目の朝、ステンレスの流し台の上にゴトン! とけっこう大きな音を立てて、おっきな花弁が落ちました。あああ……
ちょっと悲しくて、でも不思議な美しさもあって、流し台の花弁を思わず写真に撮りました。
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音楽は時間芸術ですが、お花を愛でる行為も時間とともにあるのだなと、しみじみ思います。切り花のように、短い期間であっても人の心を一瞬で明るくしてくれたり、不思議と印象に残り続けたりする。
1分聴いただけでも、何か心が救われたような感じになる音楽もある。90分という長大な時間をかけて、ようやく届くメッセージがある作品もある。長大といっても90分なんて、人間の一生涯からしたら、短いですよね。切り花の寿命よりずっと短い。
ここでご紹介するのは、ジャコモ・プッチーニ(1858〜1924)が作ったわずか37小節、2分たらずで終わってしまう、小さな小さなピアノ曲「アルバムの綴り」です。
プッチーニといえば、たとえば《ラ・ボエーム》《トスカ》《蝶々夫人》など、数々のドラマティックなオペラのイメージが強いですが、こんな可愛らしい曲も書いていたんですね。
さすがはオペラアリアの名旋律で人々の心を鷲掴みにしたプッチーニ、一瞬にして妖艶で芳しい世界へと連れて行ってくれます。
朗々と歌い上げるメロディが出てくる感じではないところが意外!? フワッと漂い、でも残り香を残して消えてしまう、そんな作品です。
イタリアの作曲家。オペラ作品の数々は、今日でも上演機会が多い。
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