室内楽に取り組むにあたって考えること。そして梅雨に始めた新しい趣味
2022.03.17
生まれ変わる街の景色を眺めながら、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲を聴く
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
先日訪れた、北欧系のカフェレストラン。
シンプルなマグカップが可愛くて、“なんでもないデザイン”って、すごいなぁと思いました。
サッと写真に撮っていたのですが、あとでよく見たら、「Largo」とありました。
音楽用語では「ゆったりと」とか「ゆるやかに」といった意味の、速度記号として使われる言葉です。
まぁコーヒーでも飲んでのんびりしなさいね、というメッセージでしょうか。
さて、ラルゴな音楽作品を一つご紹介します。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第4番の第2楽章Largoです。
ロシア革命から逃れ、祖国を去ったセルゲイ・ラフマニノフ(1873〜1943)。
亡命先のアメリカでは、ほとんど作曲はせず、ピアニストとしての活動がメインでしたが、その頃に残した数少ない作品の一つです。
4つある彼のピアノ協奏曲の中では、あまり知られていない存在かもしれませんが、このラルゴの楽章などは、暗さのある深い表情に満ちています。
1914年に着手、26年に完成するも、38年に大改訂。
それこそ、ゆったりとしたプロセスで作り上げられた作品です。
関連:ラフマニノフの生涯と作品を紹介した書籍