2021.09.23
飯田有抄のフォトエッセイ「暮らしのスキマに」 File.79
マンションの窓から光る「小さな星」たち〜ポンセの音楽とともに
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
都会は騒々しいけれど、夜道の暗さがニガテな人には悪くない環境かもしれませんね。秋は暗くなってから車で走るのも、なかなか気持ちのいいものです。
続きを読む
高層マンションの立ち並ぶ辺りは、オフィス街ともまた違った灯がポツポツと光ります。ビルには変わりないのに、会社の窓から見える灯とは何かが違う。洗練された都会の暮らしであっても、どこか人の生活のにおい、柔らかさ、安堵のようなものが滲みでているような。灯りひとつひとつの下に、誰かのドラマや思いがあって、食べたり、話したり、洗ったり、泣いたり、寝たりしている。
そんな光をみていると、みんないろいろ大変だけど、日々を営んでいきましょう! という、特にテンション高くないエールを送りたくなります。誰かにも、自分にも。
こんな写真にぴったりの録音があります。都会的で、静かで、お洒落で、そんなに張り切っていない(←ここダイジ・笑)。
メキシコの作曲家マヌエル・ポンセ(1882〜1948)の有名曲「エストレリータ(小さな星)」です。
もとは歌曲ですが、ヤッシャ・ハイフェッツ編曲のヴァイオリン版がよく知られています。ベルギーのヴァイオリニスト、アルテュール・グリュミオー(1921〜1986)の弾くしなやかで艶のあるヴァイオリンが染みます。微笑したくなるような、ちょっと泣きたくなるような演奏です。
飯田有抄のフォトエッセイ「暮らしのスキマに」
2022.03.17
生まれ変わる街の景色を眺めながら、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲を聴く
2022.03.10
カモメたちの日常を見て脳内再生された、軽やかなバッハ
2022.03.03
桃の節句に、シベリウスの乙女度高い「花の組曲」を
2022.02.24
恍惚とした都会の天使に、ピアソラの音楽が寄り添う
2022.02.17
ドビュッシーの音楽が描く、心に沁み入る雪の情景
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
新着記事Latest
2023.05.29
坂本龍一が「Funeral」に選んだフランス音楽を解説! “教授”のフランス音楽...
2023.05.29
本当は片手では持ち上げられなそうなスザンナのコイン~《フィガロの結婚》
2023.05.28
マンガでたどるラフマニノフの生涯#5 ラフマニノフ、ロマンスを捧げる
2023.05.26
芸劇×読響が未来の演奏家育成のためのジュニア・アカデミーを開講! 弦楽器のオーデ...
2023.05.26
ヤマハの楽器をヤマハに返そう!「楽器の未来プロジェクト」
2023.05.26
近代フランス“フルート”音楽入門! 風の楽器と新しい感性が生み出した名曲たち
2023.05.25
作曲家は見た目が9割!? 見た目から紐解く作曲家の人と音楽性~ショパンとリスト編
2023.05.23
ヴェルサイユに現れた天才少女~ルイ14世に愛された音楽家ジャケ・ド・ラ・ゲル【前...