【牛田智大 音の記憶を訪う】リーズこぼれ話~コンテスタントたちとの忘れがたい日々
2022.03.17
生まれ変わる街の景色を眺めながら、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲を聴く
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
写真はある日の新宿西口です。久しぶりにフィルムカメラを引っ張り出して、お気に入りのレンズで撮影してみました。
間違いなく令和4年の風景なのに、うっすら黄色味がかったような色合いとややふんわりとした画質のせいか、なんだか数十年前の昭和っぽい雰囲気が漂うから不思議です。時代と時代が交錯するような、不思議な感覚。
何かを表現しようとしたときに、用いた道具がその時代の空気感を印象付ける、ということが起こるんだなぁと実感しました。
クラシック音楽の作品は、数百年も昔に生まれた芸術ながら、時代時代の呼吸を続け、さまざまな様相をみせてくれます。バロック時代の音楽も、演奏される楽器が大きく様変わりすれば、作品はまた違う一面を提示する。バッハのある作品は間違いなく“それ”として存在するけれど、多様な楽器の響きや、時代の気分に沿った演奏を耳にできるのは嬉しいこと。
フィルムで写した新宿の高層ビルの窓の模様を見つめていたら、アンデルシェフスキさんの弾くモダンピアノによるバッハが聴きたくなりました。
自然なのに、どこか温かい。そんな録音です。
平均律クラヴィーア曲集 第2巻 第17番 変イ長調をリンクします。