読みもの
2023.08.04
映画の中のクラシック#2

『ミッション:インポッシブル』で鳴り響く スリルの増幅装置としてのクラシック

往年の名作映画から最近のアクション映画まで、実に多くの映画でクラシック音楽が使われています。なぜ監督はこの曲を選んだのか。その理由を探ることから見えてくる、クラシック音楽の新たな魅力をお伝えします。

山田真一
山田真一 (芸術文化研究者、音楽評論家)

シカゴ大学大学院博士課程修了。芸術組織や文化政策などの講義、シンポジウム、セミナーなどを行なう一方、評論活動ではオーケストラ、オペラを中心に、海外在住経験を生かし、直...

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』©2023 PARAMOUNT PICTURES.

この記事をシェアする
Twiter
Facebook

今年の夏休みの目玉映画の一つ、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』が、現在公開されています。

世界でもっとも稼ぐ俳優の一人、トム・クルーズの主要映画シリーズで、『ミッション:インポッシブル』としては7作目。これまで同様、トム・クルーズ自身による身体を張ったスタントやアクション満載のサスペンス映画となっています。

このシリーズは、ご存じのように1966年から73年までアメリカで放映されたテレビドラマ『スパイ大作戦』(原題は同じ、ミッション:インポッシブル)からヒントを得て制作されているものです。

IMF(インポッシブル・ミッション・フォース)というスパイチームや、指令を受けると消える録音媒体など、『スパイ大作戦』でおなじみの設定が映画でも使われ、第1作から人気となり、トム・クルーズの代表的なシリーズとなりました。

オリジナル・テーマの作曲者はクラシック出身のラロ・シフリン

オリジナルドラマから、もう一つ使われている重要なものが、誰もが一度聴いたら忘れられない『ミッション:インポッシブル』のテーマです。

作曲はアルゼンチン出身のラロ・シフリン。映画『ミッション:インポッシブル』シリーズでは、トムの強い希望で、シフリンのテーマ曲を採用。作品ごとにアレンジして使用されています。

ラロ・シフリンによる『ミッション:インポッシブル』のオリジナル・テーマ

続きを読む

シフリンは、世界的に知られるブエノスアイレスのオペラハウス「テアトロ・コロン」のオーケストラ奏者の父を持ち、何と現役最高のピアニスト・指揮者の一人ダニエル・バレンボイムの父で教育者のエンリケ・バレンボイムにピアノを習い、パリ音楽院などで学んだ経歴を持ちます。

もっとも、早くからジャズに興味を持ち、パリ滞在中からジャズ・ピアニストとしても仕事をし、アルゼンチンではクラシックとタンゴの融合で著名な作曲家ピアソラとも共演しています。

ONTOMOの更新情報を1~2週間に1度まとめてお知らせします!

更新情報をSNSでチェック
ページのトップへ