インタビュー
ピオトル・パヴラクが振り返るショパンコンクール

西洋史の重要エピソードを、絵画や音楽で紐解き、今につながるヒントを得る連載。第1回は、現代においても人気を誇るカトリック教会の聖人、アッシジの聖フランチェスコの物語。何ももたないことで、教会権力が腐敗していた時代を変えた、聖人の生涯をみてみましょう。

東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業、同大学院博士課程満期退学(音楽史専攻)。音楽物書き。主にバッハを中心とする古楽およびオペラについて執筆、講演活動を行う。オンライン...
時代の変わり目には「人」がいる。その人生に時代の移り変わりを映し出し、時代を超えて人々の心に記憶される「人」が。
13世紀の初めのイタリアに生きたアッシジの聖フランチェスコ(1182-1226)は、時を経てなおヴィヴィッドな「エコな聖人」である。

フランチェスコの故郷アッシジは、丘の上に広がる典型的な中世の町。だが、異様なのはそのたたずまいだ。街の4分の1ほどが、丘を覆うように建てられた大聖堂、「聖フランチェスコ大聖堂」で占められている。林立する柱に支えられた圧倒的な姿は、周囲の沃野からよく見える。

建物は遺骸を納める下堂と、参詣する人を信仰に誘う上堂からなっていて、下堂でフランチェスコの遺骸に詣でた人は、上堂に描かれた壁画で彼の生涯をたどる。
広々と明るい上堂で参詣者を迎えるのは、人物に生き生きとした表情を与えて「西洋絵画の父」と謳われるフィレンツェの画家ジョット(ジョット・ディ・ボンドーネ/1267?〜1337)が描いた「聖フランチェスコの生涯」だ。









