読みもの
2018.08.13

日めくりオントモ語録/エルンスト・オッテンザマー

イラスト:駿高泰子

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一緒に演奏していくことで子どもの成長を見ることができるという楽しみがありますし、また発見や驚きがあります。

―― エルンスト・オッテンザマー「バンドジャーナル」2006年8月号より

息子のダニエルとアンドレアスとの共演したオッテンザマー・クラリネット・トリオでの来日時のインタビューより。「彼らが小さい頃、私は家を留守にすることが多く、日本にいた時間だけでも合計すると3年くらいになります。ということは彼らから3年間『父親』というものを奪ったことになります。そういった意味でも、彼らと『共演』できるということは、私の人生の新しい始まりでもあります。今後は息子たちとの共演を、自分にとって一番大切なものとして前面に出していきたいと思っています」と、子どもたちとの時間を楽しみ、大事にしていることを語った。しかし、親子3人で同じ楽器を共演する難しさも……。「リードや楽器が不都合な時も『パパがやってくれるだろう』となってしまうので、何かと大変ではあります(笑)」と、息子に甘い一面を見せた。

「バンドジャーナル」2006年8月号表紙
エルンスト・オッテンザマー (Ernst OTTENSAMER 1955-2017)

1955年、オーストリア・ヴァレルン生まれ。クラリネット奏者。リンツのブルックナー音楽院で学び、後にウィーン国立音楽大学でペーター・シュミードル教授に師事。79年、同大学を優秀な成績で卒業。在学中の78年、ウィーン国立歌劇場管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団に入団、83年より料楽団の首席クラリネット奏者を務める。86年よりウィーン国立音楽大学で教鞭を執り、2000年より教授となる。ザルツブルク音楽祭をはじめ主要な音楽祭で多くの演奏を行っている。ウィーン・ヴィルトゥオーゾ、ウィーン・ゾリステン・トリオなどの創始者でもあり、国内外で数多くのツアーも行っている。ソリストとしてズービン・メータやサー・コーリン・デイヴィスなどの指揮のもとモーツァルトやウェーバーを演奏するなど、室内楽、指揮、ソロ……と幅広く活躍。昨年、急逝したが、親子で結成したザ・クラリノッツは息子たちが引き継ぎ活動を続けている。

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