インタビュー
2023.10.13
指揮者がソヒエフに変更。相性抜群の組合せで「ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン」が11月に栄えある20回目

ウィーン・フィル来日公演が持つ特別な意義とは? 楽団長フロシャウアーが語る

いよいよウィーン・フィルの来日公演が近づいてきた。それは、単に海外から超名門オーケストラがやってきてコンサートを開催するというだけにはとどまらない、さまざまな教育プログラムをともなった広がりと継続性のある文化交流であり、音楽界における1年のうちでも、もっとも重要な行事のひとつである。

その意義について、ウィーン・フィル楽団長ダニエル・フロシャウアーが動画メッセージを、サントリーホール公式サイトを通じて発信した。また、それに関連してONTOMO編集部も独自取材をおこなったので、以下にそれをご紹介しよう。

林田直樹
林田直樹 音楽之友社社外メディアコーディネーター/音楽ジャーナリスト・評論家

1963年埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバ...

メイン・ビジュアル:ダニエル・フロシャウアー氏が8月にサントリーホール大ホールで動画収録を行なった際、ONTOMO編集部も独自取材を行なった 撮影:各務あゆみ

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ソヒエフは近い将来、ニューイヤー・コンサートの指揮者候補にもなり得ると確信しています

まず、今回急遽代役として日本でウィーン・フィルを振ることになったロシア(北オセチア)出身の指揮者トゥガン・ソヒエフについてのフロシャウアー楽団長のコメントから。

フロシャウアー「私たちが最初にトゥガン・ソヒエフと出会ったのは韓国だと記憶しています。彼の、音楽を伝える稀有な才能は明らかでした。

最近では彼との共演やツアーの機会がますます増えてきています。私たちは、近い将来、トゥガンが最高の指揮者の一人になると信じており、ウィーン・フィルのサマーナイト・コンサートやニューイヤー・コンサートの指揮者候補になり得ると確信しています」

ダニエル・フロシャウアーDaniel Froschauer
1965年、ウィーン生まれ。アーティスト・デビューはウィーン少年合唱団のボーイソプラノ。同時にヴァイオリンで頭角を現し、ウィーンでピンカス・ズッカーマン、アルフレート・アルテンブルガーに師事。ジュリアード音楽院ではドロシー・ディレイ、川崎雅夫に師事。1993年、ウィーン楽友協会ブラームスザールでリサイタル・デビュー。ソリストとしてザルツブルク・モーツァルテウム管、北西ドイツ放送響等と共演。1998年、ウィーン国立歌劇場管弦楽団およびウィーン・フィルハーモニー管弦楽団第1ヴァイオリン、2004年ヴァイオリン・セクションリーダー、2017年から楽団長を務める。使用楽器は、1727年製ストラディヴァリウス“Ex Benvenuti,ex Halphen”。写真が趣味の一つで、ライカM10シリーズを愛用している
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ソヒエフといえば、2022年のロシアのウクライナ侵攻を受けて、ロシアのボリショイ劇場とフランスのトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団から二者択一を迫られ、その両方の音楽監督のポストを辞任する決断をしたことが記憶に新しい。

日本ではNHK交響楽団への客演を通しても、その実力はつとに知られている。

2017年の秋にソヒエフにインタビューしたことがあるが、そこで感じたのは、ひじょうに冷静で知的な人物であるということ。葛飾北斎の晩年の作風に特に惹かれるとのことで、日本文化にも造詣が深い様子がうかがえた。今回の代役が決まって、ソヒエフも大いに張り切っているに違いない。

ウィーンの楽友協会大ホール、通称「黄金のホール」でウィーン・フィルを指揮するトゥガン・ソヒエフ©Terry Linke

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