読みもの
2018.08.14

日めくりオントモ語録/ロリン・マゼール

イラスト:駿高泰子

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歳を取れば演奏も良くなるもの、と思い込んでいるのが世の定めというものですが、私はそういう自己満足に陥らないようにつねに己を戒めている。

――ロリン・マゼール「レコード芸術」2013年8月号より

若い後進たちに、指揮者として、作曲家として刺激を与え続けたマゼールの言葉。「歳を取ったら下手になる、くらいの気持ちで厳しく考えるようにしているのです」と続けるが、「しかし、歳を重ねることで音楽をより客観的にみられるようになっているのは事実ですし、技術も身につく。音楽的な解釈も、一生懸命に勉強してきたわけだから自ずと広がっている。そのうえで、少しずつでも進歩できるように、心がけているわけです」と、決して満足せずに挑戦し続ける姿勢を窺わせた。

「レコード芸術」2013年8月号表紙
ロリン・マゼール (Lorin MAAZEL 1930-2014)

1930年、パリ郊外のヌイイ=シュル=セーヌ生まれ。アメリカ人指揮者・ヴァイオリニスト・作曲家。父親はユダヤ系ロシア人、母親はハンガリーとロシアのハーフ。5歳頃からヴァイオリンを、7才頃から指揮を学び始める。8歳でニューヨーク・フィルと共演し指揮者デビュー。10代半ばまでにはほとんどの全米メジャー・オーケストラを指揮。ピッツバーグ大学で語学・数学・哲学を学びながらピッツバーグ交響楽団のメンバー、弦楽器四重奏団のメンバーとして演奏活動を行なう。51年にフルブライト奨学金を得てイタリアに渡り、53年にカターニア・ベッリーニ劇場で指揮しヨーロッパ・デビュー。60年に《ローエングリン》でバイロイト・デビュー。63年にザルツブルク音楽祭デビュー。ベルリン放送響首席指揮者(1964-75)、ベルリン・ドイツ・オペラ音楽監督(65-71)、クリーヴランド管音楽監督(72-82)、フランス国立管首席客演指揮者(76-87)、同管音楽監督(88-90)、ウィーン国立歌劇場音楽監督(82-84)、バイエルン放送響首席指揮者(93-2002)、ピッツバーグ響音楽顧問(84-88)、同響音楽監督(88-96)、ニューヨーク・フィル音楽監督(2002-09)、スペイン・バレンシアのソフィア王妃芸術館歌劇場音楽監督(05-11)を歴任。2012年より3年契約でミュンヘン・フィル音楽監督を務めている。イスラエル・フィルとウィーン・フィルの名誉会員であり、ベルリン・フィルからはハンス・フォン・ビューロー・メダルを授与されている。09年からアメリカ・ヴァージニア州キャッスルトンに音楽祭を創設し、若手音楽家を育成している。ドイツ・グラモフォン、フィリップス、デッカ、EMI、ソニー・クラシカル、RCAなどのメジャー・レーベルに膨大な録音を残している。

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