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2025.03.28
名曲解説100

30秒でわかるラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ

ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌについて30秒で丸わかり♪

寺西基之
寺西基之

1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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この作品はフランス近代音楽に新しい展開をもたらした作曲家モーリス・ラヴェル(1875~1937)が初期に生み出したピアノ曲です。パヴァーヌは16~17世紀の宮廷舞曲で、ラヴェルは優美で荘重なこの舞曲の性格を生かしつつ、ノスタルジックな叙情に満ちたこの曲を作り上げました。

後年になって彼自身若き日のこの曲について「シャブリエ(=19世紀フランスの作曲家)の影響があまりに顕著で、形式もかなり貧弱」と否定的な見解を述べていますが、その少し前に彼自身の手で管弦楽用の編曲版を作っていることを考えると、この曲に愛着を持っていたことは間違いありません。

“亡き王女のための”という形容は単に韻を踏むためだけに付けたと彼自身が述べています。夢見心地の叙情のうちに、和声の精妙な扱いが生み出す多様なニュアンスを生かした名品で、彼のピアノ曲の中でもとくに親しみやすい作品といえるでしょう。自らオーケストレーションを施した管弦楽編曲版も、音の魔術師といわれた彼特有の精妙な色彩感覚が発揮されています。

ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ

作曲年代: (原曲)1899年;(管弦楽編曲)1910年

演奏時間: 約6分

編成: (原曲)ピアノ;(管弦楽版)フルート2、オーボエ1、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、ハープ、弦5部

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