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2025.06.05
名曲解説100

30秒でわかるスメタナ:交響詩《モルダウ》

スメタナ:交響詩《モルダウ》について30秒で丸わかり♪

寺西基之
寺西基之

1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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ボヘミア(チェコ)国民楽派の作曲家ベドルジヒ・スメタナ(1824〜84)は、晩年に聴覚を失いますが、それにめげることなく創作活動に力を入れ、民族主義的な傑作を生み出しました。《モルダウ》もそうした後期の所産で、全6曲の交響詩連作『わが祖国』の第2曲にあたります。

この連作は、ボヘミアの自然と歴史を標題的に描いた愛国的作品で、そのうち《モルダウ》はボヘミアを流れるモルダウ(チェコ名はヴラタヴァ)川をその水源からプラハへ流れ込むまでの道程に沿って描写しつつ、そこに国の歴史を重ねて表現した名作です。

川の2つの水源をフルートとクラリネットで表す序奏に始まり、次第に大きな流れになる様子が厚みを増す管弦楽で表現され、広々した主題がヴァイオリンに歌われます。川が森を通る場面では狩(ホルン)や農民の踊りの情景が描かれ、さらに夜に水面に映る月光やニンフの伝説が夢幻的に描出された後、夜が明け、川はさらに大きな流れとなり急流に転じ、そこに祖国の厳しい歴史が二重写しで表現された後、川はプラハに到達、ヴィシェフラドの要塞の脇を通るところで『わが祖国』の第1曲《ヴィシェフラド》の主題が高らかに現れ、曲の頂点が築かれます。

スメタナ:交響詩《モルダウ》

作曲年: 1874年

演奏時間: 約12分

編成: ピッコロ1、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、テューバ1、ティンパニ、トライアングル、大太鼓、シンバル、ハープ1、弦5部

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