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2025.06.09
名曲解説100

30秒でわかるラヴェル:《ツィガーヌ》

ラヴェル:《ツィガーヌ》について30秒で丸わかり♪

寺西基之
寺西基之

1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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ツィガーヌとはロマに相当するフランス語で、この作品はハンガリーのロマの舞曲チャールダーシュの様式で書かれたヴァイオリン曲です。フランス近代の作曲家モーリス・ラヴェル(1875~1937)がこうしたハンガリー風の様式をとったのは、ハンガリーの名ヴァイオリン奏者ダラニのために作曲したからでした。

作曲者自身、ハンガリー狂詩曲風の趣向のうちに名技性を示すことを意図したと述べているように、リストの《ハンガリー狂詩曲》などを意識して書かれていますが、近代的な音感覚で斬新な響きを追求している点がラヴェルらしいといえるでしょう。本来は民俗楽器ツィンバロンの音を模したピアノ・リュテラルという特殊ピアノで伴奏するように書かれていますが、この楽器は廃れてしまったため今日では普通のピアノで演奏されます。またラヴェル自身の手で管弦楽伴奏版も作られています。

曲は、ヴァイオリン独奏のみの長大な即興風の序奏が置かれた後、情熱的な主部となり、いくつかの主題をもとに、華麗な妙技を生かした変化溢れるラプソディ風の発展がダイナミックに繰り広げられていきます。

ラヴェル:《ツィガーヌ》

作曲: 1924年

演奏時間: 約10分

編成: フルート2(第2はピッコロ持替)、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット1、シンバル、トライアングル、タンブル(嬰へ音のみで、通常グロッケンシュピールなどを使用)、チェレスタ1、ハープ1、弦5部

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1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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