読みもの
2022.04.21
飯田有抄の「物語るオーディオ」File.02

ソニーの最高級ウォークマンでハイレゾ音源を再生してみる

音楽を楽しむ達人、飯田有抄さんが、物語のワンシーンのようにリスニング風景を写していく連載「物語るオーディオ」。少しだけ深掘りや背伸びをして、新しい音楽の聴き方を探索しませんか?
第2回は、ソニーのウォークマン。カセットテープやMDで育った世代のかた、この変化に驚くなかれ。

写真・文
飯田有抄
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飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター

1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...

写真&動画撮影:飯田有抄
動画編集:編集部

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突き抜けたこだわり! ウォークマンのフラグシップはいかに…

こんにちは。「物語るオーディオ」第2弾です。この連載では、音楽を楽しむ暮らしの中に、オーディオをステキに取り入れていきましょう、というお話をしていくわけなのですが、今回ご紹介するのは、ソニーの最新ウォークマンです!

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え、あのウォークマン? そうです、かつてはお猿さんが小さなプレーヤーを手に、お外でうっとりと音楽を聴いていた……という、世代が違えば何のことかわからない(古いCMです!)、歴史あるあのウォークマンです。

今やお手持ちのスマホと、リーズナブルに買えるようになったワイヤレス・イヤフォンで、だれでも移動がてら音楽を聴けるようになりました。

じゃあ、あえてプレーヤーとしてキチンと作られているウォークマン、今、どこまでどのように進んでいるのか、気になりませんか?

現行製品もリーズナブルなシリーズ(2万円くらい)から、いわゆるハイエンドまでありますが、今回はガツンとハイエンドなフラッグシップ機を体験させていただきました。

シグネチャーシリーズ NW-WM1Z2という製品です(ソニーストアさんで税込396,000円。プルプル……)。

再生中にカセットテープが回っているかのような画像になるギミックあり。ウォークマンの登場したカセットテープ時代、音楽を持ち運べること自体が革新的でしたね……。

これがですね……もう、ある意味、針の振れ切った製品であります! 開発者の方々にもお会いしてお話を聞きましたが、もうみなさん生き生きとしていて、熱意と愛をもって踏み込んで開発された製品なのだということを、キラキラと語ってくださいました!

何がそんなにすごいか。その仕組みよりも先に、一番大切な音! 音楽を聴いた印象をお伝えします。

クラシック音楽をどう鳴らしてくれるのか?

こちら、もちろんハイレゾ音源を再生できるわけなのですが、たとえばマーラーの交響曲第7番第2楽章《夜の歌》(インバル指揮、フランクフルト放送交響楽団)を聴いてみます。

とてもきめ細やかに、管楽器奏者の繰り出す音の濃淡などが耳に心地よく、気品のある響きがしました。迫力だけじゃなくて、繊細さや気品を感じさせてくれる。これ大事。

※以下、Spotifyは参考音源です。実際の試聴は、ウォークマンに保存されたハイレゾ音源で行ないました

コントラバス奏者ジャン・フィリップ・ヴィレアルバム『Les Idees Heureuses』では、弦楽器の音の減衰のプロセスが伸びやかに伝わって、人の手が生み出す体温を感じさせる音、アコースティック楽器の魅力がふわっと包んでくれます。

これはたまらないなぁ! と思うわけです。大編成オーケストラも、すぐそばで演奏してくれているような小編成アンサンブルも、本当にいい聴き心地。

アナログレコードの音質を再現してくれる「バイナルプロセッサー」画面。筆者のお気に入りの機能です。

語りたくなってしまう、完全に音を優先した設計

この「物語るオーディオ」では、カタログを見ればわかるスペック的なお話には踏み込みませんが、こういう音が生み出されるヒミツとして、やっぱり言いたくなってしまうすごいところがあります。

まずびっくりしてしまったのは、ずっしりと重量感のあるボディ。これなんと、純度99.99%の無酸素銅削り出しですって! そこになんと、音のことも考慮された金メッキがなされておるのです。すべての部品が、音のことを最優先に考えた高品質の「はんだ」で接合されているんですって。

それから、今やAmazon Music HDなど、ハイレゾのストリーミング再生できるアプリを使いたいですから、Android OSが搭載されていますが、スマホとちがって、わずかなノイズもブロックするような設計、そして電源強化がはかられているんですって! 完全に音優先。なるほど。ここまでやって、あの音が実現されるのか。

こうなってきますと、いろんなジャンルの音楽を聴いてみたくなるわけです。アコースティックにこだわったクラシックが素晴らしいことはよくわかった。

なので、お借りしたNW-WM1Z2にプリセットされていた音源を、黙って片っ端から聴いてみます。音響的に凝ったテクノや、80年代ポップスのリマスター版、ロックなどなど。私の未知ゾーンであるフォークなおじさまの声も、やけに心に沁みてきます。

参考音源

広がるなぁ。いいプレーヤーを手に取ると、自分の音楽体験を自然に広げたくなってしまいます。

なかなかに高級品ではあるので、本革の専用ケース(別売)もございます。こういうものを、恐る恐るでなく、ガシガシ惜しみなく持ち運んで使うって、なかなかかっこいいことだと思います。音楽を聴くための道具ですから。

とはいえ、本体だけで490gあります(苦笑)。約ペットボトル1本分。どうでしょう、音楽愛の重さ。いかがですか?

筆者が語っている動画はこちら。

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飯田有抄
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飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター

1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...

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