読みもの
2025.05.16
オーケストラ音楽入門としても最適な1枚

CD『音の怪獣~こどものためのいふくべあきら』発売!~特撮や怪獣が好きな全ての人へ

あの「ゴジラ」の音楽を生んだ伊福部 昭の音楽を、未来の世代へ伝えるCDが発売!クラシック音楽の作曲家が手がけた特撮やアニメの音楽は、大人には懐かしさを、子どもには想像力の翼を広げる上質な時間の贈り物となることでしょう。長井進之介さんに伊福部の音楽とこのCDの魅力をご紹介いただきました。

長井進之介
長井進之介 ピアニスト/音楽ライター

国立音楽大学演奏学科鍵盤楽器専修(ピアノ)卒業、同大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学...

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伊福部 昭ってどんな人?~「ゴジラ」のあの旋律を生んだクラシックの作曲家

テレビやラジオ、インターネット……クラシック音楽に触れる機会はさまざまなところにありますが、とくに映像と音楽が見事にハマったものに触れたときの衝撃や感動は、いつまでも忘れられないものになります。

このCDには、まさに映像と音楽による最高のコラボレーションを担った音楽が集められています。作曲者は日本を代表する作曲家の一人である伊福部 昭(1914-2006)。彼の「特撮」、そしてアニメのための楽曲が集められているのです。

「特撮」と聞いてみなさまが思い浮かべる作品は何でしょうか? とくに映画で大迫力の世界を見せ、子どもも大人も熱狂させたのは『ゴジラ』シリーズではないでしょうか。

近年でも「ゴジラ-1.0」(2023年、山崎貴監督作品)や『シン・ゴジラ』(2016年、庵野秀明総監督作品)も大きな話題を集めており、新宿東宝ビルの「ゴジラヘッド」は海外からの観光客にも大人気のスポットとなっています。

日本だけでなく、世界からも愛されるゴジラ。すべてを蹂躙していく歩み、人々を恐怖に陥れる咆哮……あの圧倒的な姿を思い浮かべるとき、ある音楽が一緒に頭のなかに流れてくることはないでしょうか? そう、「ゴジラ、ゴジラ……♪」というあの旋律です。この一度聴いたら決して忘れられない旋律を書いたのが伊福部なのです。

伊福部 昭(1914~2006)は、ほぼ独学で作曲家となった異色の経歴をもち、自身の民族的アイデンティティを追求する力強い作風で多くの管弦楽作品や映画音楽を遺した ©岡本央

クラシック音楽は映画音楽のルーツでもある

そんな彼がとりわけ強く影響を受けたのはロシアの作曲家、ストラヴィンスキー(1882-1971)のバレエ音楽《春の祭典》(1913年)でした。力強いリズム、印象的な旋律、鮮烈な情景描写……これらすべては伊福部の音楽と通じるものがあります。

クラシック音楽というのは、もともと人間の心情や情景、さらには想像上の世界を描き出し、多くの名曲が生み出されてきた楽曲ジャンルであり、映画音楽のルーツとなっています。いま世界にあふれているたくさんの映画音楽や劇伴を書いた作曲家たちも、クラシック音楽や伊福部の作品から影響を受けた名曲を数多く書いています。

一人でも、親子でも……伊福部の音楽の“力”でイマジネーションに満ちた時間を

このCDでは、そんな伊福部の音楽の“力”を改めて感じていただけることでしょう。ゴジラやゴジラと白熱の戦いを繰り広げた怪獣たちの姿、壊れゆく街の様子や、あまりにも強大な存在と戦おうとする人間たち……あらゆるものが鮮やかに浮かび上がってくるのです。

また伊福部が唯一手掛けたアニメ音楽「交響組曲《わんぱく王子の大蛇退治》」(1963年)でも、日本神話などを題材として書かれた物語の神秘的な世界と、大蛇の恐ろしさやそれに打ち勝つスサノオの強さと勇気が感じられます。それらはキャラクター性に富んだ旋律や多彩なリズム、そしてオーケストラの音色の効果的な使用法(オーケストレーション)から生み出されるものです。

その伊福部の音楽が、日本を代表するオーケストラの一つである日本フィルハーモニー交響楽団によって奏でられているのもこのCDの大きな魅力。多彩な音色と表現力、そして緻密なアンサンブルによって音楽が立体的に作り上げられ、楽曲の持つ世界観がより力強く浮かび上がってくるのを感じていただけることでしょう。

「特撮」を愛するすべての方にとっては懐かしさや喜びにあふれたCDとなっていますし、怪獣が大好きなお子さまがいらっしゃる方は、ぜひ親子で楽しんでください。そしてぜひ「今の部分は何を表現しているんだろうね」などいろいろな想像をしながら楽曲を楽しんでいただきたいです。たくさんの発見や楽しさに満ちた時間を過ごしていただけるはずです。

商品情報
CD『音の怪獣~こどものためのいふくべあきら』

発売日:2025年5月21日(水)

演奏:竹本泰蔵指揮/本名徹次指揮 日本フィルハーモニー交響楽団

形態:CD/品番:KICC-1630/定価:¥3,300 (税抜価格 ¥3,000)

収録曲:

「ゴジラ」メインタイトル

「キングコング対ゴジラ」メインタイトル    

「怪獣総進撃」メインタイトル/マーチ/東京大襲撃  

「空の大怪獣ラドン」ラドン追撃せよ

「怪獣大戦争」マーチ

交響組曲「わんぱく王子の大蛇退治」

CD『音の怪獣~こどものためのいふくべあきら』の詳細はこちら

 

長井進之介
長井進之介 ピアニスト/音楽ライター

国立音楽大学演奏学科鍵盤楽器専修(ピアノ)卒業、同大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学...

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