読みもの
2023.05.30

いつもポケットに「Pianists Corner」! ピアニスト大辞典のアプリ版が登場!

船越清佳
船越清佳 ピアニスト・音楽ライター

岡山市出身。京都市立堀川音楽高校卒業後渡仏。リヨン国立高等音楽院卒。長年日本とヨーロッパで演奏活動を行ない、現在は「音楽の友」「ムジカノーヴァ」等に定期的に寄稿。多く...

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2020年にオープンしたWebサイト「Pianists Corner」は、全世界のピアニストの情報を網羅した大辞典。そのさまざまな機能の一つとして、当時ONTOMOでご紹介したのが、ピアニストのルーツマップだ。ワンクリックで遡るピアニストの系譜に、ハマった人も多いのではないだろうか。

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この度「Pianists Corner」のアプリ版が登場した。世界の8500人のピアニスト・作曲家の情報が網羅され、4500作品、14000本の動画が集合。スマートフォンでより手軽に、作品の聴き比べができるようになった。ダウンロードも無料だ。

創設者のブリュノ・サンジェルマン氏は、かつてCDプロデューサーとして活躍し、当時から音楽家の師弟関係に魅せられていたという。彼は往年の巨匠ばかりではなく、若いピアニストたちの活動にも熱い視線を注いでいる。アプリ版の開設は、パソコンよりも手軽なスマートフォンを好む若いジェネレーションを考慮したためだ。

アプリ「Pianists Corner」を、気の赴くままに試してみる。まず筆者の愛してやまないネルソン・フレイレを検索。

ライブリストの中に、フレイレにしては珍しいスクリャービン「エチュード作品8−12」を見つけた。
1965年のリサイタル映像の一部分だが、お目当ての曲が始まる箇所から視聴できるように設定されているのも嬉しい。21歳のフレイレのヴィルトゥオーゾぶりに、改めて息を呑む。ほとばしる情熱の中にもきりりと気高い彼の音楽、こうして映像でも彼の演奏に触れられる幸せに感謝だ。
同作品の演奏者リストには、ダニール・トリフォノフやミハイル・プレトニョフの名がある。4月にパリのシャンゼリゼ劇場で聴いたプレトニョフは、会場を異次元の世界に惹き込んだ……と、回想しながらクリック。
プレトニョフも若い! 83年の映像だから、26歳か。彼のスクリャービンは妖艶さが漂ったかと思えば、この世の終わりのような悲壮な叫びが地の底から響く。その世界観にしばし呆然としながら、ライブリストに移動した。
最上段にバラキレフ編曲=グリンカ「ひばり」。先日プレトニョフがアンコールで弾いた曲だ! 哀愁の漂う音色さえも、変幻自在でまばゆい……。
「ひばり」の演奏者リストに福間洸太朗さんの名を発見する。こうして、編曲作品による、彼の魅惑的なストリーミングコンサートへと行き着いたのである。

また作曲家と作品から検索しても面白い。このように一挙に、ショパン「バラード第1番」の57人の演奏にアクセスできるのだ。トップページには「Pianists Corner」が注目中のピアニストのラインナップがあり、日本からは阪田知樹さん、角野隼斗さん、藤田真央さんが紹介されている。

言語は英語とフランス語のみだが、今後音楽祭、演奏会情報、マスタークラスやインタビューの映像も充実していくという。ますます進化する「Pianists Corner」は、日本のピアニストの方々の参加を待ち望んでいる。まだ登録されていない方々は、 contact@pianistscorner.comへプロフィール、写真、演奏の動画を送るだけ、もちろん参加手続きは無料だ。

船越清佳
船越清佳 ピアニスト・音楽ライター

岡山市出身。京都市立堀川音楽高校卒業後渡仏。リヨン国立高等音楽院卒。長年日本とヨーロッパで演奏活動を行ない、現在は「音楽の友」「ムジカノーヴァ」等に定期的に寄稿。多く...

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