メヌエット:語源はミニ。ルイ14世が日課にしていた舞曲
楽譜でよく見かけたり耳にしたりするけど、どんな意味だっけ? そんな楽語を語源や歴史からわかりやすく解説します! 第1回はメヌエット。どのような踊りなのでしょうか?
1993年生まれ、東京都出身。2022年、第1回ひろしま国際指揮者コンクール(旧:次世代指揮者コンクール)優勝。パリ地方音楽院ピアノ科、ミュンヘン国立音楽演劇大学古楽...
「ミニ」という言葉で何を思い浮かべますか? ミニサイズ? 車のミニ?
さて、本題のメヌエット。実は 「ミニ」 という言葉から派生して付けられた名前なのです!
というのも、メヌエットとは3拍子の踊りのための曲で、メヌエットが流行した17世紀に踊っていた人は、身に付けていた帽子やカツラが落ちないように、小さなステップをせわしくこまめに踏みながら踊っていました。そこで「小さい」を意味する “mini (ラテン語起源)/menu (フランス語起源)”、そして言葉のダイレクトさをなくす “-etto/-et”を付けて 、「メヌエット」と名づけられました。
もともとメヌエットは、みんなではしゃぐために踊られていた「ブランル」という踊りに起源を持つといわれています。その踊りがだんだんと上流階級で人気が高まり、流行に敏感だったフランスの王様ルイ14世(1643〜1715)が好んで踊り、有名になりました。「へぇ。きっと、高尚な雰囲気なんだろうな」と思いますよね……?
ルイ14世は、毎晩寝る前にメヌエットを12曲踊る というのを日課にしていました。先に述べたように、メヌエットとは小さなステップが多く、実際に踊ってみると、1曲だけでなかなか息切れしてしまいます。ルイ14世はそれを毎日12曲も踊り、くたくたになってそのまま寝ていたそうです。もはやワークアウトですね!
メヌエットの音楽そのものは優雅に聴こえますが、その踊りは大変ハードなものだったようです。
メヌエットを聴いてみよう
1. リュリ:歌劇《アルチェスト》〜 メヌエット
2. バッハ:ブランデンブルク協奏曲第1番 〜 第4楽章 Menuetto
3. モーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》〜第1幕 フィナーレより「メヌエット」
4. グルック:バレエ《アレッサンドロ》〜第5曲「メヌエット」
5. ベートーヴェン:交響曲第8番 〜 第3楽章 Tempo di menuetto
6. ラヴェル:ソナチネ〜 第2楽章「メヌエット」
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly