読みもの
2020.04.28
大井駿の「楽語にまつわるエトセトラ」その1

メヌエット:語源はミニ。ルイ14世が日課にしていた舞曲

大井駿
大井駿 指揮者・ピアニスト・古楽器奏者

1993年生まれ、東京都出身。 パリ地方音楽院、ザルツブルク・モーツァルテウム大学ピアノ科・指揮科卒。 同大学院、ミュンヘン国立音楽演劇大学でピアノ、指揮、古楽の3科...

ジャンドメニコ・ティエポロ《メヌエット》(1756年)

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「ミニ」という言葉で何を思い浮かべますか? ミニサイズ? 車のミニ?

さて、本題のメヌエット。実は 「ミニ」 という言葉から派生して付けられた名前なのです!

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というのも、メヌエットとは3拍子の踊りのための曲で、メヌエットが流行した17世紀に踊っていた人は、身に付けていた帽子やカツラが落ちないように、小さなステップをせわしくこまめに踏みながら踊っていました。そこで「小さい」を意味する “mini (ラテン語起源)/menu (フランス語起源)”、そして言葉のダイレクトさをなくす “-etto/-et”を付けて 、「メヌエット」と名づけられました。

1778年の『フランスにおけるファッションと流行のカタログ(Galerie des Modes et Costumes Français)』より、女性のヘアスタイルがわかる挿絵。このボリューム!カツラが落ちないように、小さなステップにする必要があるのも納得ですね。

もともとメヌエットは、みんなではしゃぐために踊られていた「ブランル」という踊りに起源を持つといわれています。その踊りがだんだんと上流階級で人気が高まり、流行に敏感だったフランスの王様ルイ14世(1643〜1715)が好んで踊り、有名になりました。「へぇ。きっと、高尚な雰囲気なんだろうな」と思いますよね……?

ルイ14世は、毎晩寝る前にメヌエットを12曲踊る というのを日課にしていました。先に述べたように、メヌエットとは小さなステップが多く、実際に踊ってみると、1曲だけでなかなか息切れしてしまいます。ルイ14世はそれを毎日12曲も踊り、くたくたになってそのまま寝ていたそうです。もはやワークアウトですね!

メヌエットの音楽そのものは優雅に聴こえますが、その踊りは大変ハードなものだったようです。

メヌエットを聴いてみよう

1. リュリ:歌劇《アルチェスト》〜 メヌエット
2. バッハ:ブランデンブルク協奏曲第1番 〜 第4楽章 Menuetto
3. モーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》〜第1幕 フィナーレより「メヌエット」
4. グルック:バレエ《アレッサンドロ》〜第5曲「メヌエット」
5. ベートーヴェン:交響曲第8番 〜 第3楽章 Tempo di menuetto
6. ラヴェル:ソナチネ〜 第2楽章「メヌエット」

 

ピエール・ラモー『ダンス教師』(1725年)よりメヌエットの説明とイラスト。ステップの動線を表したライン上に、「手をとって1回ターンする」など、男女別に指示が書かれています。
大井駿
大井駿 指揮者・ピアニスト・古楽器奏者

1993年生まれ、東京都出身。 パリ地方音楽院、ザルツブルク・モーツァルテウム大学ピアノ科・指揮科卒。 同大学院、ミュンヘン国立音楽演劇大学でピアノ、指揮、古楽の3科...

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