オペラ:実はおなじみのラテン語〇〇の複数形
1993年生まれ、東京都出身。2022年、第1回ひろしま国際指揮者コンクール(旧:次世代指揮者コンクール)優勝。パリ地方音楽院ピアノ科、ミュンヘン国立音楽演劇大学古楽...
日本語では歌劇と呼ばれるオペラ。舞台があって、たくさんの歌手たちが入れ替わっていろいろな曲を歌い、演じます。
たくさんの曲や歌から構成されるのがオペラなのですが、このオペラ(Opera)という言葉はその内容通り、ラテン語で「作品」を意味するOpusの複数形なのです。
そんなオペラの現存する最古の作品は1600年、イタリアの作曲家ペーリが作曲した歌劇《エウリディーチェ》です。その7年後に、モンテヴェルディが歌劇《オルフェオ》を作曲、こちらは今でも頻繁に演奏されます。
ペーリ:歌劇《エウリディーチェ》より第2幕終曲
その後、オペラは大きく分けて2つの種類、オペラ・セリア(ギリシャ悲劇を元にした内容)とオペラ・ブッファ(コミカルでハッピーエンドな内容)に分かれます。
当時のオペラは、今で言えば映画のような感じで、多くの作曲家が大ヒットを夢見てオペラを書いていました。
18世紀のモーツァルトもそのひとりでした。音楽はもちろんのこと、オペラ内のさまざまな曲で見せ場を作ることによって、聴衆たちを驚かせたのです。そして、たまにふざけることもありました。自分の嫌いな歌手が歌劇《コジ・ファン・トゥッテ》のキャストに選ばれたときには、高い音と低い音を交互に歌わせることによって、歌手にニワトリの頭のような動きをさせて、自ら指揮しながらゲラゲラ笑っていたそう……。
19世紀には、オペラの規模やスケールは壮大になります。特にワーグナーは、バイエルン王国の国王ルートヴィヒ2世を魅了し、国王の「ワーグナーの歌劇に出てくるようなお城を作る!」という一声でノイシュヴァンシュタイン城をアルプスに建設。すべての部屋がワーグナーの歌劇をモチーフに作らています。そしてこのお城の建設であまりに費用がかかったため、王国の滅亡の原因のひとつになりました。
演劇としての要素が大きいオペラは、演技力も求められ、プッチーニの《ジャンニ・スキッキ》では、瀕死の老人に扮した主人公がベッドに潜り、ふざけて死にそうな声を出したりします。本当に面白いです。
さらに社会風刺を交えた楽しいストーリーのオペラのことをオペレッタ(喜歌劇)と呼び、19世紀半ばからヨーロッパで人気となります。そしてこのオペレッタがアメリカに渡り、ミュージカルとなりました。
ここでは語りきれない魅力や面白さがあるジャンル。それがオペラなのです。
いろいろなオペラを聴いてみよう
1. モンテヴェルディ:歌劇《オルフェオ》〜第1幕より「山々を離れて」
2. モーツァルト:歌劇《コジ・ファン・トゥッテ》〜第1幕より「岩のように動かず」
3. モーツァルト:歌劇《魔笛》〜第2幕より「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え(女王のアリア)」
4. ワーグナー:歌劇《タンホイザー》〜第2幕より「大行進曲」
5. プッチーニ:歌劇《ジャンニ・スキッキ》〜「証人がやってきた!」
6. ラヴェル:歌劇《子供と魔法》〜「機嫌はどうよ?」
7. ベナツキー:喜歌劇《白馬亭にて》〜第3幕より「
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