読みもの
2025.01.15
驚異的なクリアさとスピード感に加え、自然な音楽表現も実現

世界初! UTAG(特殊ガラス)スピーカーユニットをクラファンで販売

従来のスピーカーユニットの常識を覆す独創的な設計でフルレンジスピーカーユニットの限界を自ら超え続けてきたマークオーディオグループの 株式会社フィディリティムサウンド は、2025年1月15日(水)より世界初となるUTAG(Ultra Thin Acoustic Glass=特殊ガラス)を振動版に使ったスピーカーユニット「Alpair 5G(読み=アルペア・ファイブ・ジー)」をクラウドファンディングで発売します。

月刊「stereo」編集部
月刊「stereo」編集部 オーディオ誌

1963年創刊の老舗で、唯一の月刊オーディオ誌。クラシック音楽中心の音楽之友社にあって、ロック&アウトドア野郎が多数在籍する異色(異端?)の存在。庶民の心を持ち続け、...

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従来のタブーに挑戦! ガラスを使ったスピーカー

スピーカーユニットといえば、パルプやアルミコーンを使用した物が多く、ガラスを使ったスピーカーというとその特性上、往年のオーディオファンであればあるほど「キンキンする」、「クセが強い」など特に音質に関していいイメージを持っていないという方も多いかもしれません。

しかしながら、今回は平滑性と板厚分布の均一性を持つ 日本電気硝子株式会社(NEG)の超薄板ガラス成形技術と、その異次元の薄さを加工できるほどの3D加工技術を持つ台湾の Glass Acoustic Innovations Co., Ltd(GAIT)とが作り出す特殊ガラスの登場により、今までに感じたことのない音のクリアネスや立体的な再現性が実現するに至りました。さらに、これをマークオーディオがこれまでの経験値を活かした形で製品へと昇華。完成したスピーカーユニット「Alpair 5G」を試聴した月刊ステレオ吉野俊介編集長は、「従来のスピーカーとは別次元。これはうまく活用すると、従来のスピーカーを凌駕する新境地を感じさせるものだ」と評価しました。

マーク・フェンロンからのメッセージ

3社が関わるプロジェクト

今回のプロジェクトには、3社が関わっています。まずは曲がり強度の強い特殊ガラス「Dinorex UTG ®の」素材を製造する、滋賀県大津市を拠点とする日本電気硝子(NEG)。その特殊ガラスをスピーカーコーンに加工する台湾のGAIT。そして特殊ガラスコーンを使って最終的なスピーカーユニットに仕上げるマークオーディオの3社です。

日本→台湾→広州 スピーカーができるまで

素材:日本電気硝子(NEG)が開発した傷や衝撃に強いガラス「Dinorex UTG ®」

今回のスピーカー振動版の素材に採用される特殊ガラスは、最近では折りたたみ式スマートフォンのディスプレイにも採用されている、曲げても割れにくい特殊な極薄のガラスです。「Dinorex UTG ®」というブランド名が冠されたこの素材は、オーバーフロー成形という製法で作られており高い表面平滑性と板厚分布の均一性が特長です。そこに化学強化(イオン交換)および欠陥除去の表面処理を加えて強度を高めたことにより、薄いのに割れにくいという特性を持たせることに成功しました。

加工:GAIT社が繊細な特殊ガラスを複雑な形状に3D加工

台湾の Glass Acoustic Innovations(GAIT)は、この特殊ガラス素材をスピーカーコーンに成型することに特化した会社です。特殊ガラスのスピーカーコーンの成型には特許技術が用いられています。ここで作られる音響的に特性がいい、新素材である特殊ガラスのスピーカーコーンを、世界のスピーカーメーカーに販売することを目的にオーディオショウなどに積極的に出展しています。ハイファイ用途のメーカーの採用は、今回のマークオーディオが初となります。

同社の工場では、紙のように薄い極薄ガラスをスピーカーコーンの形状のモールド(型)に配置し、ベルトコンベアに乗せて700℃に熱せられた小型の炉を通過させ、徐々に冷却していきます。できあがったスピーカーコーンは、強度を高めるために特殊な薬品に浸し、その後、真円度やエッジを電子顕微鏡で測定。厳しい検査をパスしたもののみが出荷されます。

組み立て:マークオーディオの設計哲学を取り込んだ工程

広州にあるマークオーディオの工場では、まずフレームに機械で均等に接着剤を塗り、ダンパーを接着させる作業が行なわれます。マークオーディオではこの接着材の材料と量もまた音を左右する重要なポイントとして、こだわりをもって管理と作業にあたっています。その後、治具とセットになったボイスコイルをおさめて乾燥を待ち、次の工程でUTAGコーンの接着作業に入ります。最後に、ボイスコイルおよびUTAGコーンにセンターキャップを接着し、マグネットに着磁をしたら完成です。

完成したスピーカーユニットを無響室で測定すると、40kHzまでフラットに伸び(測定マイクの保証限界)、低域から高域までの可聴帯域も暴れが少ないという特性が出ました。フルレンジでここまで広帯域かつフラットなものは、いままで記憶にないほど、優秀な特性といえるでしょう。

世界初100μm超極薄UTAガラススピーカー

きっかけは、フィディリティムサウンドの担当者が、ふとしたことからUTAGの存在を知ったことでした。もともと折り曲がるガラスを主目的に開発された素材ではあるはずのUTAGですが、その特性には驚きを隠せなかったといいます。音の伝達速度はチタンよりも速く、質量はアルミニウムより軽く、しかもペーパーの半分程度の音の損失性。これはスピーカーユニットメーカーにとって見過ごせない内容だったそうです。この特性なら、しっかりとしたスピーカーユニットの設計をすることで今までに経験したことのない音楽再生が期待できる。そう確信をもってマークオーディオの生産部門を動かし、ここに世界初の本格的オーディオグレードUTAGスピーカーの開発がはじまりました。

マークオーディオの資料によると、コーンの素材に求められる主な特性は、軽量・伝達速度・音の損失性(ダンピング)だといいます。ところが、この3要素はそれぞれが相反する特性のため理想的な素材を求めるのは至難の業です。そこで一般的には目的によってペーパーや合金、ポリプロピレンなどが使用されます。

この3要素は楽器の音の再生の要素であるAttack(アタック)、Decay(減衰)Sustain(音の響きの維持)Release(音の終了)で決まりますが、それはAttack=伝達速度&軽量、Decay&Sustain=ダンピングファクターによって決まるからです。

この時間軸の特性はスピーカーの原音再生に非常に重要です。今回のガラスの振動板は、この二つの再生要素に対してかなり理想に近い素材であるといえます。例えるなら、8K画像のような、繊細でカーテンを取り去ったかのような音質が期待できることでしょう。

(1)素材伝達速度比較表

スピーカーの再生音のスピード感、音のキレはこの要素で決まります。上の素材伝達速度の測定値にあるように、チタンやアルミニウムよりも速く、ペーパーコーンより1.8倍速いという数値はピアノタッチやシンバルの再生音に理想的です。

(2)素材の損失係数(DF=ダンピングファクター)比較表

スピーカーに使用されるコーンやフレーム、あるいはエンクロージャーの木材は、その素材そのものが持つ音の減衰特性が音色を決定する要素になります。また、素材そのものが持つ共振周波数が原音再生に色付けされる要素にもなります。(1)の伝達速度とこのダンピングファクターからは、ハイスピードで美しく音が減衰するという今までの「ガラス」の概念ではとても想像できない数値をたたき出していると言えるでしょう。

(3)軽いコーン

スピーカーの中高域特性には軽さは重要です。上の比較表はパルプコーンの平均値を1として比較したものです。今回のUTAGは100μmの薄さですので、相対比はさらに軽くなっています。

(4)極めて素直な減衰特性

上の図はUTAGを使用した減衰特性とポリメタクリルイミド(PMI)フォーム(減衰係数が比較近い素材)との比較です。UTAGはすべての周波数帯域で減衰時間がとてもフラットです。単に減衰力だけではなく、全音楽帯域で綺麗に減衰することを証明しています。これは「Alpair 5G」の再生は色付けが非常に少ないということの裏付けになります。

自然な音楽表現、音楽をどう聴かせるのかというアプローチまで含めてきちんと考えられているスピーカー

オーディオ評論家の岩井喬氏は、実際のスピーカーユニットの音を聴いて次のように評価しました。

「従来のフルレンジスピーカーよりさらに圧倒的な音離れの良さが印象的で、他素材では感じられないリアリティがありました。とくに奥行き感の表現は、これこそが理想的な点音源という感じがしました。楽器それぞれの分離感、純度の高さ、スッと立ち上がり、楽器本来の響きを残したままスッと消えていくのが音楽の表現として自然で、性能だけでなく音楽をどう聴かせるのかというアプローチまで含めてきちんと考えられている完成度の高さを感じました」

試聴・レビュー

マークオーディオ製フルレンジスピーカーユニット「Alpair 5G」概要

・形式:8cmフルレンジ

・インピーダンス:4Ω

・FS : 107.5 Hz

・Le : 0.0423 mH(1kHz)

・Fs : 107.5 Hz

 

・Mms : 1.93 g

・Cms : 1.13 mm/N

・Bl : 2.55 T×m

 

・Qms: 2.74        

・Qes: 0.68         

・Qts: 0.54          

 

・SPL: 85.6 dB

・Sd: 28 cm²

・Rated Input: 10 W

・Vas: 1.26 L

クラウドファンディングで先行販売決定!

本スピーカーユニットを、クラウドファンディングサイト「GREENFUNDING」で先行販売します。ペア想定2万円以内(早割りあり)、キャビネットとのセット販売も予定しています。

試聴ができます!

渋谷スクランブル交差点にあるSHIBUYA TSUTAYA 店内に設けられているGREEN FUNDINGブースでは、期間中にサンプルを設置して試聴ができる状態にしています! 

場所:SHIBUYA TSUTAYA 4階 SHARE LOUNGE内
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町21-6
営業時間 :8:00-22:00
展示期間:2025年1月15日(水)~3月末まで

また、試聴会を順次開催予定です。

フィディリティムサウンド × 共立電子 × stereo 3社共催試聴会

会期:2025年2月8日(土)・9日(日)※時間未定 
会場:大阪・日本橋 共立電子産業株式会社 1F セミナールーム

詳細はイベント用特設サイトをご覧ください。

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