KOBE国際音楽祭2025~神戸国際フルートコンクールを軸に神戸の街を音楽が彩る
神戸で4年に1度開催されるフルートのワールドカップ「第11回神戸国際フルートコンクール」を軸に、街中が音楽で溢れるKOBE国際音楽祭が7月~9月に開催。山と海があり、港がある風光明媚な神戸ならではの国際音楽祭であり、すべての人に開かれた音楽祭でもあります。世界的フルート奏者、エマニュエル・パユの「オープニング・コンサート」で幕を開ける、その多彩なラインナップをご紹介します。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
KOBE国際音楽祭(2025年7月12日~9月14日)は、神戸で4年に1度開催されるフルートのワールドカップ「第11回神戸国際フルートコンクール」を契機に、街中を音楽で盛り上げようと企画された音楽祭。
そのため、核となる「神戸国際フルートコンクール」(8月29日~9月7日・神戸文化ホール)を起点として、「世界の音色が集うまち」、「まちに響く多彩な音楽」、「みんなで創る音楽の出会い」という、街に向かって開かれたコンセプトが並んでいる。
トータルで約100公演!神戸中の音楽ホールが参加するオリジナル・コンサート
この音楽祭の特色は、広場を使った500人のフルート・アンサンブル、街角などで行なわれるパフォーマンス、中高生による吹奏楽や弦楽、合唱などの部活動の披露など、「街を歩こう、街で集おう」という呼びかけと仕掛けに満ちているところ。
フルーティストによる福祉施設の訪問や、障害のある子どもたちのためのコンサートなども用意されており、年齢や障害の有無、経済状況に関わらず参加できる。
そんな音楽で和気あいあいとした街の雰囲気のなかで、神戸中の音楽ホールが参加するオリジナル・コンサートの数々が組まれていることが、この音楽祭ならではの趣向だ。期間中にトータルで約100公演が予定され、いつ訪れても音楽が鳴り響いていることだろう。
パユが神戸国際フルートコンクールへの想いあふれるコンサートを企画
神戸中の音楽ホールで開かれるスペシャル公演シリーズは、第2回神戸国際フルートコンクールで第1位を獲得した世界的フルート奏者、エマニュエル・パユが登場する「オープニング・コンサート」から始まる(7月12日)。
パユのプロデュース企画で、本人はソリストとして神戸市室内管弦楽団と共演するほか、近年の神戸国際フルートコンクールの入賞者である石井希衣、竹山愛によるフルートのソロや室内楽を配するという粋な演出を施した。神戸国際フルートコンクールをサポートしようというパユ自身の特別な想いがあふれているのだ。パユ指名の指揮者アンドレアス・オッテンザマーと神戸市室内管によるモーツァルトの「交響曲第41番《ジュピター》」も楽しみだ。
また、日本を代表するフルート奏者の工藤重典はギターの荘村清志とともに平日お昼に気軽なコンサートを開き、ヘンデルやジュリアーニ、ドップラーなどをトークもまじえてお届けする。神戸の最新ホールの響きも堪能できる公演だ(7月17日)。
そして「第11回神戸国際フルートコンクール」の審査員をつとめる世界トップクラスのフルーティストたちなど、フルートの名手が集結しているのもこの音楽祭ならでは。審査員9名が一堂に会するコンサートもある(9月5日)。
神戸が誇る名手たちも、独自の企画で参加
フルートの古楽器フラウト・トラヴェルソを操り注目の柴田俊幸は、フォルテピアノのアンソニー・ロマニウクと組んでバッハ、坂本龍一、チック・コリア、フィリップ・グラスなどをライブ形式でたっぷりと。灘の酒蔵をいかしたホールに酔いしれよう(8月23日)。
神戸在住の指揮者・延原武春率いるテレマン室内オーケストラという名手たちも参画し、バッハの名作「ブランデンブルク協奏曲」全曲を披露。この作品でもフルートの活躍に耳をうばわれるだろう(7月19日)。
異色なのは、神戸出身のソプラノ歌手・鈴木美登里が率いる声楽アンサンブル、ラ・フォンテヴェルデによる音楽風刺劇『オスペダーレ』(演奏会形式)。作曲者不詳の17世紀イタリアの音楽劇を復刻上演し、2023年の東京での日本初演で大評判となったプロダクションだ。通奏低音演奏には、神戸出身の世界的奏者・鈴木秀美がチェロで出演。楽譜発見の音楽学者・松本直美による聴きどころ解説も冒頭に行なわれる(7月26日)。
震災から30年を迎えた神戸は、被災時や復興の過程で文化芸術が人々の心の癒しとなってきた。被災の年に神戸を勇気づけた、日本フルート界最大のイベント「日本フルートコンベンション」も、期間中に開かれる。
神戸が誇るコンサートホールや街角、自然の中で、フルートや多彩な音楽のシャワーを浴びる、特別なひと夏が過ごせることだろう。
■開催日程
2025年7月12日(土)~9月14日(日)
■日時・会場(本文で紹介されている公演)
エマニュエル・パユ プロデュース KOBE国際音楽祭2025 オープニング・コンサート
7月12日(土)15:00 神戸文化ホール 大ホール
夏の昼下がりコンサート 荘村清志(ギター)&工藤重典(フルート)デュオリサイタル
7月17日(木)14:00 西神中央ホール
テレマン室内オーケストラ J.S.バッハ「ブランデンブルク協奏曲」全曲演奏会
7月19日(土)14:00 神戸朝日ホール
音楽風刺劇『オスペダーレ』(演奏会形式/イタリア語上演・字幕付き)
7月26日(土)14:00 神戸新聞松方ホール
発酵する古楽~柴田俊幸(フラウト・トラヴェルソ)&アンソニー・ロマニウク(鍵盤)ライブ~
8月23日(土)16:00 神戸酒心館ホール
みんなで奏でるフルートオーケストラ~フルート500人アンサンブル~
8月31日(日)16:30 神戸ファッションマート アトリウムプラザ
第11回神戸国際フルートコンクール スペシャルナイト・ガラ~コンクール審査員が総出演~
9月5日(金)19:00 神戸文化ホール 大ホール
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