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2022.07.12

クロノス・クァルテットが結成50周年を前に19年ぶりの来日公演 

サンフランシスコを拠点に1973年に結成、現在もなお全世界で年70公演を超える演奏活動を繰り広げ、これまでに60タイトルを超えるアルバムをリリースしてきたクロノス・クァルテットがこの秋、19年ぶりに来日公演を行なう。9月~10月に京都・東京・埼玉・神奈川・盛岡の5都市で5公演が予定されている。

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

クロノス・クァルテット©Lenny Gonzalez

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クロノス・クァルテットの歩んできた道

クロノス・クァルテットは、1975年のショスタコーヴィチの死去を境に、現代作品の紹介と弦楽四重奏のためのレパートリーの拡充を活動の主たる目的として、世界中の作曲家に次々と新作の委嘱を重ねてきた。

その中には、20世紀を代表する作曲家やミニマル・ミュージックの作曲家も多く、編曲や共作を含め1000曲を超える。

また、現代の作品の演奏のみならず、ジャズやタンゴ、映画音楽などのほか、ワールド・ミュージックにも積極的に取り組んでおり、特に過去もっとも話題となったジミ・ヘンドリックスの《紫のけむり(Purple haze)》以降、ポピュラーのアーティストとのクロスオーバーにも意欲的に取り組んでいる。

デイヴィッド・ハリントン(芸術監督&ヴァイオリン)、ジョン・シャーバ(ヴァイオリン)、ハンク・ダット(ヴィオラ)の3人のメンバーは変わらないが、2013年から4代目チェリストとしてサニー・ヤンが参加。オーディション選考の際には、演奏からインスパイアされるか、お互いに学ぶことがあるか、という観点で選ばれたという。

来日公演の4つの聴きどころ

今回の聴きどころは4つ。1つめは、《ブラック・エンジェルズ》で、1970年にアメリカの作曲家ジョージ・クラムが当時すでに起きていたベトナム戦争にインスパイアされて作曲。弦楽器だけでなく電気変調した音や打楽器、声なども含めた強烈なメッセージに、デイヴィッド・ハリントンがクァルテット結成時に衝撃を受け、その後のグループの方向性に大きな影響を与えた。

2つめはクロノス・クァルテットの声がけによってスティーヴ・ライヒが作曲した2曲の弦楽四重奏曲で、《ディファレント・トレインズ》は、あらかじめ録音されたサウンド(弦楽四重奏の演奏、話し言葉の断片、電気的に加工された汽車の音、等)と、弦楽四重奏によって演奏される作品。また、《トリプル・クァルテット》は、三群の弦楽四重奏のために書かれ、演奏会ではあらかじめ用意した二群の弦楽四重奏の録音と同時にライブで演奏される。

3つめはミニマル・ミュージックの創始者の一人とされるテリー・ライリーの80分を超える大作《サン・リングズ》の日本初演。NASAからの要望で2002年に作曲され、ライブで演奏される「弦」と「合唱」、前もって録音・編集された「スペースサウンド」とヴィジュアル映像が融合した作品。

2020年10月に行なわれる予定だった公演がコロナ禍でかなわず、合唱団 やえ山組が神奈川県立音楽堂で収録、クロノス・クァルテットがスタジオで収録したものを合体させて1つの映像パッケージを完成させた経緯があり、今回ついに両者の共演が実現する。2年前から日本で暮らす87歳のテリー・ライリーが、もしかしたら聴きにくるかもしれないという噂も。

《サン・リングズ》を演奏するクロノス・クァルテット©Wojciech Wandze

4つめはクロノス・クァルテットが2015年から始めた画期的な教育プログラム「フィフティ・フォー・ザ・フューチャー(50 for the Future)」で、弦楽四重奏のレパートリー拡充と、さらなる演奏法の開拓、次世代の演奏家や聴衆につなげていくための方策が盛り込まれている。

クロノス・クァルテットが世界中から選んだ音楽家/作曲家男女各25名に弦楽四重奏を中心とした作品を委嘱し録音、特設サイトにスコア、パート譜、録音した音源をアップし、誰もがダウンロードし演奏できるシステムが構築された。

その上、世界各地でクロノス・クァルテットがワークショップを開催し、若い弦楽四重奏団にメンバーが直接指導する機会も創出する。「これまで25,000以上のダウンロードがあり、25作品がウェブサイトに上がっている。さらに7作品がもうすぐアップされる予定で、来日までに50作品がサイト上にそろうのでは」(エグゼクティヴ・ディレクターのジャネット・クーパートウエイト氏。6月29日に行なわれたオンライン記者会見におけるコメント)。

今回の公演では、唯一の日本人作曲家として選ばれた望月京の作品《Boids》のほか、このプロジェクトから生まれた10作品が取り上げられ、日本から女性4名によるタレイア・クァルテットの出演が予定されている。

クロノス・クァルテット JAPAN 2022 公演日程

■9月24日(土)ロームシアター京都 サウスホール 18:00開演
クロノス・クァルテット《ブラック・エンジェルズ》&《ディファレント・トレインズ》

■9月28日(水)東京オペラシティ コンサートホール 19:00開演
クロノス・クァルテットplays ライヒ《ディファレント・トレインズ》&《トリプル・クァルテット》~オール・アバウト・クロノス・クァルテット~

■9月30日(金)彩の国さいたま芸術劇場 大ホール 19:30開演
クロノス・クァルテット《ブラック・エンジェルズ》

■10月1日(土)神奈川県立音楽堂 17:00開演
クロノス・クァルテット/テリー・ライリー:《サン・リングズ》日本初演

■10月2日(日)盛岡市民文化ホール 小ホール 17:00開演
クロノス・クァルテットplays ライヒ《ディファレント・トレインズ》

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