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2025.10.07
10/6~19「オペラ週間」~世界の主要歌劇場が続々ラインナップ

ステージプラスでウィーン国立歌劇場《フィガロの結婚》の配信映像が無料公開!

クラシック音楽の老舗ドイツグラモフォンの映像配信サービス「ステージプラス(STAGE+)」。実はオペラのライヴ映像も続々と配信されていることをご存知でしたか?
10月6日からは「オペラ週間」と題し、この期間に来日するウィーン国立歌劇場《フィガロの結婚》の舞台映像をなんと無料で楽しめるキャンペーンを開催!
世界の主要歌劇場から貴重な映像資産まで、ステージプラスのオペラ・ラインナップの充実ぶりを、オーディオ評論家の山之内正さんに教えていただきました。

山之内正
山之内正 オーディオ評論家

神奈川県横浜市出身。出版社勤務を経て独立後、オーディオ専門誌を中心に執筆。趣味はコントラバス演奏やオペラ鑑賞。近著に「はじめて愉しむホームシアター」(光文社)、「ネッ...

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アーカイヴ映像が260本超~ステージプラスはオペラにも強い

ドイツグラモフォンの音楽配信サービス「ステージプラス(STAGE+)」が早くもスタートから3年目を迎えた。予想外だったのはオペラのライヴ映像が続々と配信されることで、かなりのハイペースで見ても追いつかないほどタイトルが増え続けている。いったいどのぐらいあるのか知りたくなり、検索メニューの「ジャンル」から「オペラ」を選んでみると、なんと260本を超える作品が見つかった(2025年10月3日時点)

これは視聴が追いつかないのも当然だ。週末ごとに1本ずつ見続けても5年はかかる。演奏会形式の上演も一部含まれるとはいえ、オペラ公演のライヴ映像をここまでたくさん楽しめるプラットフォームは他に見当たらず、ステージプラスがオペラに強いことをあらためて納得した次第だ。

そのステージプラスが10月6日から「オペラ週間」と題し、この期間に来日公演を行なうウィーン国立歌劇場の《フィガロの結婚》を全編無料で楽しめるキャンペーンを開始した。来日公演でも上演するこの演出は2023年3月にプレミエ公演が行なわれた最新のプロダクションで、ベルリンのコーミッシェ・オーパーで評価を確立したバリー・コスキーが演出を手がけている。その経歴からも想像できる通り演劇としての密度の高さと集中力が際立つ舞台で、動きは激しいものの、重要な独唱や重唱の場面では所作を最小限に抑えており、じっくり音楽に集中できる。

ウィーン国立歌劇場が最重要プログラムの一つであるダ・ポンテ三部作をすべてコスキーの新演出で揃えていることからわかるように、彼の演出はとても人気があるのだ。来日メンバーとは歌手陣の一部が異なるが、ハンナ=エリザベット・ミュラーの伯爵夫人、パトリツィア・ノルツのケルビーノは共通の配役で、とくにジェンダーレス的に繊細に演じるノルツの歌唱は聴きどころ。来日公演への期待が高まる。

無料で公開されるウィーン国立歌劇場《フィガロの結婚》の舞台から。演出のバリー・コスキーは、近年欧州の一流歌劇場からバイロイト音楽祭やザルツブルク音楽祭までを席巻する、現代を代表する鬼才。ロココ調の舞台セットと色鮮やかな現代風の衣装で、視覚的にも美しい
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10月からはMETも!世界の主要歌劇場をカバーする豪華なラインナップ

ステージプラスで楽しめるオペラ映像は欧州を中心に世界の主要歌劇場をカバーしており、豪華なラインナップに目が眩みそうだ。ウィーン以外にザルツブルク、バイロイト、ミュンヘン、ベルリン、パリ、ロンドン、マドリード、チューリッヒ、グラインドボーンなど重要な劇場のライヴ映像が揃い、10月からはニューヨークのメトロポリタン歌劇場の映像も新たに見られるようになった。

世界の主要歌劇場や音楽祭をカバーする豪華なラインナップ。10月からは新たにメトロポリタン歌劇場も加わった

各地の劇場や音楽祭をカバーできるのは契約アーティストの充実ぶりで他を圧倒するドイツグラモフォンならではなのだが、レーベルの壁を超えて重要なアーティストが登場することにも注目したい。近日中に配信が予定されているチューリッヒ歌劇場の《ばらの騎士》に元帥夫人役でディアナ・ダムラウが登場するのはその一例だし、メトロポリタン歌劇場の映像が同劇場以外のメディアで公開されるのも珍しいことだ。

ラインナップの大半を占める欧州の歌劇場のライヴ映像は、ワーグナーをはじめとする大作が充実し、同じ作品を異なる演出、異なる歌手陣で見比べる贅沢な楽しみ方ができる。《ニュルンベルクのマイスタージンガー》はバイロイト音楽祭だけで1984年、2008年、2017年、2025年の4公演が揃い、2022年のベルリン・ドイツ・オペラの公演ではフロリアン・フォークトが歌うヴァルターの美声を堪能できる。ちなみにフォークトのヴァルターは2008年のバイロイト公演と聴き比べるのも楽しい。

ワーグナーは《ニーベルングの指環》も作品ごとに複数のプロダクションが公開されているので、音楽と演出それぞれの視点で深掘りするのもいいだろう。

同じ演目をさまざまな年代の舞台で見比べるのも、ステージプラスならではの楽しみ方

演出の工夫や舞台の美しさを高画質映像で楽しめることにもオペラならではの楽しみがある。パリ・オペラ座のグノー《ロメオとジュリエット》やアンナ・ネトレプコとユシフ・エイヴァゾフが出演したアレーナ・ディ・ヴェローナの《イル・トロヴァトーレ》(2019年)は精細度の高い4Kフォーマットで配信しており、大画面でオペラを鑑賞する醍醐味を満喫できる。

オペラ・ファン必見 往年の名舞台も充実

最新作に限らず、1950年代から近年まで往年の名舞台の映像が充実していることもステージプラスならではの魅力だ。ザルツブルク音楽祭(1954年)の《ドン・ジョヴァンニ》はフルトヴェングラー最後の映像作品で、リーザ・デラ・カーザやチェーザレ・シエピなど当時頂点に位置していた歌手陣の姿に良質なカラー映像で接することができる。同じくザルツブルク音楽祭の記録では1984年にカラヤンが振った《ばらの騎士》も忘れがたい存在。同作品の決定版ともいうべき名舞台をいつでも再体験できるのは素晴らしいことだ。

アバドの《セビリアの理髪師》(1972年)ではテレサ・ベルガンサの美しい歌唱を堪能できるし、同じ年にベームがウィーンで取り組んだ《こうもり》ではグンドゥラ・ヤノヴィッツが歌うロザリンデが素晴らしい。《こうもり》は1987年にクライバーがミュンヘンで振った公演のライヴ映像もライブラリに収録されている。カラヤンが1960年代から70年代にかけて取り組んだオペラ映画の《カルメン》《蝶々夫人》はオペラ・ファン必見の名作であり、時を超えて作品の本質を伝える普遍的な価値がある。

カラヤン指揮ウィーン・フィル、ポネル演出によるオペラ映画版《蝶々夫人》(1974年制作、日本語字幕付き)。ミレッラ・フレーニの蝶々さんと、プラシド・ドミンゴのピンカートンの輝かしい声と表現が素晴らしく、全編にわたって緊張感をみなぎらせたドラマを展開するカラヤン&ウィーン・フィルの演奏を満喫できる

ここで紹介したタイトルはステージプラスで楽しめる貴重な映像資産の一部にすぎない。ライブラリの充実ぶりは現時点でも目を見張るものがあるが、今後も数多くの貴重な舞台映像が加わることが期待できる。オペラ愛好家にとってステージプラスは宝の山なのだ。

世界的オペラハウスの数百本にのぼるオペラ全曲映像をオンデマンドで!
ステージプラス「オペラ週間」

キャンペーン期間:106日(月)~19日(日)

期間中、ウィーン国立歌劇場《フィガロの結婚》(10月の日本公演で上演されるウィーン国立歌劇場の最新プロダクション[バリー・コスキー演出])が無料で視聴できます。

利用方法:

こちらのリンクから、ステージプラスの「オペラ週間」特設ページにアクセスしてください。ウィーン国立歌劇場の《フィガロの結婚》をクリックし、再生ボタンを押すと、利用者登録ページが開きます。登録完了後、無料映像をご覧ください。

山之内正
山之内正 オーディオ評論家

神奈川県横浜市出身。出版社勤務を経て独立後、オーディオ専門誌を中心に執筆。趣味はコントラバス演奏やオペラ鑑賞。近著に「はじめて愉しむホームシアター」(光文社)、「ネッ...

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