聴く、読む、食べる!? 音楽を五感で味わい尽くす場所、ヤマハホール
ヤマハ銀座店の中にあり、333席の親密な空間でアーティストの創造性を刺激してきたヤマハホール。ホールでの鑑賞はもちろん、ビル全体が日本が世界に誇るヤマハ・ブランド、そして「音楽」を、五感で感じさせてくれる場所になっている。
1956年福島県福島市生まれ。早稲田大学卒業。在学中からフリーランスの編集者&ライターとして仕事を始める。1990年頃からクラシック音楽の取材に関わり、以後「音楽の友...
演奏家が間近に! 木の質感を感じる333席
音楽に携わっている人なら、必ず一度は足を踏み入れることになるヤマハ銀座店。ヤマハホールはその7階から9階を占める。ホワイエは7階にあり、客席は8階と9階。そのホールの中に入ってみると気付くのは、ホールの「質感」ではないだろうか。
座席数は333席と少なめなのだが、空間がとても広く感じられ、小さなホールという感覚を持つことはほとんどない。そしてステージ上も客席も、木の雰囲気たっぷりだ。
アコースティック楽器に最適なホールとして設計され、ステージまわりの壁にも楽器製作に使用する高品位の木材を使用している。そして座席はプロダクトデザイナー・川上元美によって設計された専用の椅子が使用された。
客席からステージまでの距離が近く感じるが、ステージ上から客席を眺めてみると、さらにステージと客席の距離が近く感じられる。もし私が演奏家だったなら、きっと他のホールよりも緊張してしまいそうだ。
配信によって地方のファンにもヤマハホールを身近に感じてもらえたコロナ禍
2010年にヤマハ銀座店の改築にともなってリニューアル・オープンしたヤマハホール。2020年春は、その開館10周年の記念すべきシーズンだったのだが、残念なことに新型コロナウイルスの流行によって、予定されていた多くのコンサートが中止、または延期となった。今年もお話を伺った山田美輪子・マーケティング統括部主事は、昨年の状況を振り返ってこう語る。
「しばらくは、コンサート中止の対応などの追われる日々が続きました。でも、こうした状況の中でも音楽の発信は続けていかなければという想いは、ホールのスタッフだけでなく、ヤマハ全体の想いでもありました。緊急事態宣言が解除されて、コンサート再開へ向けて動き出したときに、まずトライしてみたのが、ヤマハホールからの配信ライブでした」
2020年7月12日の20時から、配信ライブトライアルとしてギタリスト・鈴木大介のリサイタルを、無観客でYouTubeで無料配信することから始め、9月11日にはNHK交響楽団のコンサートマスターとしても活躍するヴァイオリンの伊藤亮太郎を中心とした弦楽アンサンブルによるコンサートを無観客で有料配信した。
9月30日には日本を代表するチェロ奏者である宮田大と、ウェールズ弦楽四重奏団によるコンサート(観客あり)を有料配信。さらに10月9日には精力的に日本全国で指揮活動を続ける飯森範親をナビゲーターに迎えた「飯森範親と辿る芸術」公演を開催し、人気ピアニストの金子三勇士を迎えての「偉大なるベートーヴェンの知られざる恋物語」も有料配信された。
「地方にお住まいで、なかなか東京のコンサートには行けないという音楽ファンの方にも好評でした。配信という形でヤマハホールの魅力を知っていただき、いつかはこのホールで、ライブで音楽を聴きたいという方が増えてくださったと思います」(山田)と、配信にも手応えを感じたようだった。
弦・管・ギターによるバリエーション豊かな主催公演
2021年から2022年にかけてのコンサートには、夏までのものが発表されているが、3月27日(土)にはサクソフォンの上野耕平と、ジャズ、ポップス界でも活躍するパーカッションの石若駿、ピアノの山中惇史による注目のトリオ・コンサートが開催される。
ギタリストたちに愛されているヤマハホールらしく、6月4日(金)にはフラメンコ・ギターの旗手・沖仁と、伊集院史郎(パルマ、カホン)によるコンサートが行なわれるが、このコンサートは有料配信も行なわれる。
6月12日(土)には上野耕平の師でもあり、日本のサクソフォン界を牽引してきた須川展也、そして盟友でもある田中靖人、ピアノの小柳美奈子によるコンサートも開催され、その中で珍しく須川、田中ともにバリトン・サックスを演奏するというので、聴き逃せないコンサートになる。なお、このコンサートも有料配信予定だ。
そして7月11日(日)は「ベートーヴェン初期の室内楽」として、ピリオド楽器の名手たち、チェロの鈴木秀美、フォルテピアノの小倉貴久子、ヴァイオリンの岡本誠司によるコンサートが開催されるが、ヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタの各1番、ピアノ・ソナタ「月光」、ピアノ・トリオ第1番と、ウィーンに移住して活躍を始めたばかりの若きベートーヴェンの躍動感に溢れる音楽をまとめて聴くことができる。
ホールだけじゃない! 「ブランド体験エリア」でさまざまな角度からヤマハを感じる
ヤマハホールを訪れたとき、いや、ヤマハ銀座店に立ち寄ったときに必ずチェックして欲しいのが、2020年10月に1、2階にオープンした「ブランド体験エリア」だ。
2階はカフェラウンジとして新たにオープンした。音楽文化をモチーフにした、物語性のあるドリンク(ロッシーニの《ウィリアム・テル》をイメージし、リンゴジュースをベースにしたノンアルコールカクテルなどがある!)や、フードを提供するだけでなく、音楽書もたくさん並び、一種のブックカフェ的な雰囲気をもつ。
さらにReal Sound Viewing(リアル・サウンド・ビューイング)というシステムを体験できるが、これが驚異的。事前に収録された演奏データと映像をもとに、実際にカフェラウンジに設置されたピアノ、ウッドベース、ドラムがリアルに演奏するという「バーチャルライブスペース」が出現するのだ。ぜひ一度ご体験あれ。
そして1階にはイベントスペースとカフェスタンドも。25面マルチディスプレイによる映像が流れ、カフェスタンドでは、ヤマハのロゴマークをあしらったラテアートや、楽器の「銅鑼(ドラ)」にちなんだ「どら焼き」などが楽しめる。
音楽は単に聴くものではなく、全身で味わうもの、五感で楽しむもの、そんな音楽の多様な楽しみ方をヤマハ銀座店で体験することができるだろう。
[座席数]333席
[オープン]1953年(2010年にリニューアル)
[住所]〒104-0061 東京都中央区銀座7-9-14
[問い合わせ]Tel.03-3572-3171
https://www.yamahaginza.com/hall/
※「NOTES BY YAMAHA(1F Café Stand/2F Café Lounge)」は、新型コロナウィル感染症対策のための政府方針に伴い、営業時間、営業形態を変更している場合がございます。最新の情報はヤマハ銀座店ウェブサイトをご確認ください。
- 日時: 2021年3月27日(土)16時開演
- 出演: 上野耕平(サクソフォン)、山中惇史(ピアノ)、石若 駿(パーカッション)
- 演奏曲目:
- 上野耕平/De-o-chi
石若 駿/Dejavu #4
山中惇史/SAKURA
藤倉 大/bueno ueno (ドラム版初演)
旭井翔一/サクソフォンとピアノのためのソナタ より 第1楽章
吉松 隆/サイバーバード協奏曲 Op.59
詳しくはこちらから
日時: 2021年6月12日(土) 14時開演
出演: 須川展也、田中靖人(サクソフォン)、小柳美奈子(ピアノ)
演奏曲目:
J.S.バッハ(須川展也編)/無伴奏バイオリン・パルティータ 第3番 ホ長調 BWV 1006 より 第3曲 ガヴォット・エン・ロンドー(須川展也ソプラノ無伴奏)
薮田翔一/Delos(須川展也委嘱作品、世界初演) (須川展也アルト、小柳美奈子ピアノ)
R.クレリス/セレナード・ヴァリエ (田中靖人テナー、小柳美奈子ピアノ)
P.クレストン/サクソフォン・ソナタ Op.19(田中靖人バリトン、小柳美奈子ピアノ)
J-M.ルクレール(J-M.ロンデックス編)/ソナタ ハ長調(原曲)(田中靖人バリトン、須川展也バリトン)
N.ロータ(加藤昌則編)/道(須川展也ソプラノ、田中靖人アルト、小柳美奈子ピアノ)
長生 淳/新作委嘱作品(世界初演)(須川展也アルト、田中靖人バリトン、小柳美奈子ピアノ)
詳しくはこちらから
日時: 2021年7月11日(日) 15時開演
出演: 岡本誠司(バイオリン)、鈴木秀美(チェロ)、小倉貴久子(フォルテピアノ)
演奏曲目:
ベートーヴェン/
バイオリン・ソナタ 第1番 ニ長調 Op.12-1
チェロ・ソナタ 第1番 ヘ長調 Op.5-1
ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 《月光》 Op.27-2
ピアノ三重奏曲 第1番 変ホ長調 Op.1-1
詳しくはこちらから
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