石川直が最後の「ブラスト!」ツアーを前に語る! 打楽器との出会い、恩師、そしてこれから
2017年までに過去11回来日し、計821公演、125万人以上を動員した「ブラスト!」。2019年7月より全国ツアーを行なう『ブラスト!:ミュージック・オブ・ディズニー』は、アメリカ発のマーチングバンドをベースにしたエンターテイメントの「ブラスト!」がディズニーのアニメーション映画、実写映画の名曲を魅せるライブ・エンターテイメント。
「ブラスト!」でおなじみのドラマー、パーカッショニストの石川直さんは、本ツアーをもってチームを離れることを発表。そんな石川さんにラストツアーに向けての心境、これからの展望、打楽器を始めた経緯や恩師の存在までたっぷりとお話しくださいました。
音楽誌、女性誌、情報誌などの編集部を経てフリーに。『sweet』『otona MUSE』で編集・執筆のほか、『SPA!』『oz magazine』など連載多数。日本テ...
音楽で人を幸せにする別の道を目指して
――いきなりで恐縮ですが「ブラスト!」を離れるのはどうしてですか?
石川: もちろん「ブラスト!」のチームと支えて下さったファンの皆さんには感謝の言葉しかありません。でも、気づいちゃったんですよね、自分がやりたいと思うことが。まだ具体的に何をする、ということで辞めるわけではないんですが、方向性は見えてきました。
――「ブラスト!」を続けていると、自分のやりたいことにはアプローチできなかったかも?
石川: 今回のツアーもそうなんですが、「ブラスト!」のツアーに参加すると準備から公演まで、少なくとも半年くらいの時間をとられるんですね。それはそれでとてもいい経験でしたし、楽しかったんですが、もっと自分に向き合う時間が必要だと思い、離れる決意をしました。
――差し支えなければ、どういったことを?
石川: この20年、「ブラスト!」に関わらせていただいて、ずっと温め続けていたのは、アーティストと社会をつなげる、ということなんです。エンターテイメントはお客さんを楽しませて、その人たちに少なからず影響を与えることができる表現方法だと思うんですが、それを「ブラスト!」以外の方法でできないかな、と模索しているんですよ。20年間「ブラスト!」に関わり続けた今の僕だからこそできる何かがあるはず、と。
――たとえばコーチするとか?
石川: それもありますよね。すでに僕は吹奏楽のスクールバンドの指導でコンクールに送り出したりもしているんですが、それだけでは伝えきれないことがあると思ってます。なにせ、日本のスクールバンドは、コンクール至上主義というか、評価至上主義みたいなところもありますから。音楽ってそうじゃなくて、演奏している側も聴いている側も幸せになれるもの。
とかく現代は、恐れや不安、焦りや苛立ちといった負の感情のスイッチが入りやすい時代ですから、エンタメをクリエイトし、ショーやパフォーマンスがメンタル面にいい影響を与えられれば、と思っているんです。そのための準備をしたいと思ったのが、「ブラスト!」を離れる決意を抱かせたきっかけですね。
――残念ですが、石川さんが別の方面で活躍されるのは拝見できますよね。よかった。それにラストを飾るのが、エンタメの最高峰でもあるディズニーの演目というのも運命的ですね。
石川: ディズニーの実写映画とアニメーション映画を取り上げますが、どちらもオリジナルの楽曲とは違うアレンジで演奏するのに、どんな曲でも「あ、これは!」と気づいていただけます。こんなの、他にないジャンルですよ。
今もなお、ウォルト・ディズニーの理念である「誰もが楽しめるものをクリエイトする」というのが脈々と受け継がれているおかげで、「ブラスト!」も新たなステップを踏めたんだと思いますよ。「ブラスト!」でディズニーの楽曲群を披露すると、「音楽は楽しむものだ」ってことを体現できますからね。
教科書を読む必要がないマーチングの授業から
――石川さんが音楽を始められたときのことを教えていただけますか?
石川: うちは5人きょうだいなんですが、きょうだいの中で僕が一番音感がいいことに、母が早くから気づいてくれたのが最初のきっかけですね。たとえば、姉がピアノ教室に通っていて、「トルコ行進曲」を練習しているのをみていたら、自分もピアノをやりたくなったんですけど、すぐに週1で通わせてもらえました。でも、僕は飽きっぽくてね(笑)。すぐに辞めちゃった。
その後、リコーダーも習いましたね。友だちのお父さんが音楽の先生をしてらっしゃったんですが、そこに通って。譜面通りに何かを吹くのではなく、耳で聴いた曲を再現したり。楽譜を読めるようになったのは高校からです。
――子どもの頃からパーカッションの英才教育を受けていたんじゃないんですね。
石川: パーカッションは高校からです。親の仕事の都合で、アメリカの高校に転入したんですが、学年末まで半年くらいの時点で転入というタイミングで。英語もまだまだで、教科書を読み込むのも大変だろうってことで、教科書を読まないでいい授業を選択させてもらえたんです。それがバンドの授業。マーチングですね。そのとき、ちょうどフットボール部の試合シーズンで、応援演奏のかき入れ時だったんですよ。
――そこで打楽器を。
石川: いえ。最初はフルート(笑)。叔母からもらったフルートがあって、音も出すことができたので。でも、経験が浅い生徒は、フロントピットで淡々と演奏するだけでね。自分にはちょっと合わなかった。で、ドラムラインの先輩がものすごくかっこよく見えちゃったんですよ。みんな楽しそうだし、ちょっとイケてて、やんちゃな先輩が揃っていたので、そこに憧れて。それで2年目のときに打楽器を志望しました。
アメリカ生活を楽しくしてくれた恩師の存在、そしてドラムラインへ!
――打楽器はそこで初めてですよね。どうやって練習を?
石川: これは本当に先生のおかげですよ。バンドディレクターのピーター・ハーさんという方なんですが、英語を満足にしゃべることができない日本人ががんばってるのをみて、気にかけていただけたんです。週1回必ず打楽器のレッスンを受けていたんですが、その練習とは別に、彼には週1くらいのペースでラケットボールに誘ってもらったり、学校と打楽器、アメリカの生活を楽しく感じられるようになった恩人です。
――でも、最初はドラムラインに立つことはできませんよね?
石川: もちろん。最初はハイハットやタンバリン、ビブラスラップとかだったかな。打楽器の知識はないし、演奏している見た目もスネアドラムのようなかっこよさはなかった。でも、飽きっぽかった僕が続けることができたのは、何かパーカッションに魅力を感じたからでしょうね。
――スネアに触れてからはもう魅了された、ってわけですね。
石川: そりゃもう。あの当時の先生がたのおかげですね。じゃなかったら、一般のサラリーマンになってたかもしれませんから。
――今も続けていらっしゃる練習はどんなことを?
石川: フィジカルなトレーニングや管理をメインにしています。カラダが壊れてしまっては、人を楽しませることはできませんからね。体調管理が一番! でも、ちょっとお見せしますよ。
ということで、石川さんの練習風景は動画をチェック!
2019年7月10日(水)~9月16日(月・祝)まで全32会場 59公演予定
2019年8月20日(火)から9月1日(日)東急シアターオーブほか、山形、愛知、埼玉、静岡、栃木、茨城、香川、島根、岡山、山口、広島、愛媛、群馬、福島、宮城、千葉、新潟、長野、石川、京都、大阪、山梨、神奈川、兵庫、奈良、長崎、熊本、宮崎、鹿児島、福岡を巡演予定。
Presentation made under license from Disney Concerts (C) Disney All rights reserved
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