インタビュー
2025.03.27
オーケストラの舞台裏

東京都交響楽団ファゴット奏者・長哲也さん「どんな時もいいリードがあればOK」

ファゴット奏者としてオーケストラの低音を支える長哲也さん。もともとはサックスを続けるつもりだった長さんが、偶然の出会いからファゴットの道を選び、都響の一員となるまでのストーリーとは。ファゴット奏者にとって避けて通れない「リード作り」のこだわりや、音楽家の舞台裏、そして最近ハマっているエスプレッソの話まで、たっぷりと聞きました。

「オーケストラの舞台裏」は、オーケストラで活躍する演奏家たちに、楽器の魅力や演奏への想いを聞く連載です。普段なかなか知ることのできない舞台裏を通じて、演奏家たちのリアルな日常をお届けします。

寺田 愛
寺田 愛

編集者、ライター。女性誌編集、ECサイト編集・ディレクター、WEBメディア編集長、書籍編集長などを経て現在。はじめてクラシック音楽を生で聞いたのは生後半年の頃。それ以...

撮影:齋藤大輔

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高校までサックスとファゴットの二刀流

——音楽を始めたきっかけは。

長哲也(以下、長) もともと幼少期からピアノやエレクトーンを習っていましたが、福岡県北九州市から転校した先の千葉県市川市の小学校に吹奏楽部があり、そこでサックスを始めたのが本格的な管楽器との出会いでした。

2年後に北九州市に戻ることになって、せっかく始めたのだからと1年ごねて地元の楽器店でサックスを習わせてもらうことになりました。その時に双子の兄もトランペットを習うことになったのですが、トランペットの先生が北九州市ジュニアオーケストラで指揮をされていた方で、兄とともに入団を誘われました。それがオーケストラとの出会いで。

——なぜファゴットを選んだのですか?

 サックスを続けたい気持ちもあったのですが、ジュニアオーケストラに入る時に「ファゴットをやってみないか」と勧められて。オーケストラにはサックスの団員はいないですからね。構えがサックスとファゴットは似ているからと言われたのですが、実際に吹いてみると全然違いましたね(笑)。でも、ファゴットの音の温かさや奥深さにすぐに惹かれていきました。

長 哲也 (ちょう・てつや)
福岡県北九州市出身。11歳よりファゴットを始める。東京藝術大学音楽学部器楽科卒業。フランス国立リヨン高等音楽院大学院修了。
東京藝術大学卒業と同時に東京都交響楽団首席ファゴット奏者に就任。第30回日本管打楽器コンクールファゴット部門第2位。同声会賞受賞。第48回北九州市民文化奨励賞受賞。2019年度文化庁新進芸術家海外研修制度研修員(フランス、リヨン)。
2015年東京オペラシティ文化財団主催、リサイタルシリーズ「B→C」に出演。「作曲家の意図を汲み取る均衡感覚に優れた演奏」(音楽の友 2015年8月号)と評される。
2018年フォンテックよりデビューCD「SOLILOQUY(ソリロキー)」をリリースし、「レコード芸術」にて特選盤、朝日新聞「for your collection」推薦盤に選ばれる。
NHK「らららクラシック」やテレビ朝日「題名のない音楽会」、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」等メディア出演多数。
北九州国際音楽祭、東京・春・音楽祭などにも定期的に出演している。
ソリストとして新日本フィルハーモニー交響楽団、藝大フィルハーモニア管弦楽団と共演。
これまでにファゴットを、永江恵子、石川晃、水谷上総、Carlo Colomboの各氏に師事。
現在、東京都交響楽団首席ファゴット奏者。東京音楽大学非常勤講師。

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