広瀬大介流ワーグナーの愛で方~音楽から入れば大丈夫! まずは一部分だけでも聴いてみよう
作曲家の中でも大好きと苦手に分かれがちなブルックナー、ワーグナー、マーラー。ONTOMO編集部員の苦手派のメンバーが、この3人の作曲家を愛してやまない音楽学者の広瀬大介先生に、苦手克服のヒントを教えてもらいました。
ワーグナーは長すぎて……と敬遠していても大丈夫! まずは1幕だけでも聴いて音楽からハマってみよう。
ワーグナーには強烈なファンがいる
飯田 ブルックナーに続いて、今回の苦手克服ターゲットはワーグナーです。彼の長大な楽劇はいろんな意味で規模が大きいですよね。なかなかアプローチしにくいし、ニガテ意識をもっているという人も少なくありません。まずは例によって、編集部メンバーの「ここが苦手だよワーグナー」ポイントを出しちゃってもらいましょう。
編集部M あの……申し上げにくいですが……。
広瀬 いいですよ、もう、気にしないでください(笑)。
編集部M 実は私、アマチュア・オーケストラでワーグナーの曲を弾いたことはあるんです。
広瀬 《ニュルンベルクのマイスタージンガー》第1幕への前奏曲、あるいは《ローエングリン》の第3幕への前奏曲とかですか?
ワーグナー:《ニュルンベルクのマイスタージンガー》第1幕への前奏曲
編集部M そうです。音楽自体は嫌いじゃなかったのですが、広瀬先生に勧められ《パルジファル》を観ましたが、あれがどうも……。
広瀬 ああ、《パルジファル》。いきなり観るのは苦行ですよね……そんなものを勧めてしまって反省してます。
編集部M あとはマインド的に自己顕示欲が強くて、虚栄心みたいなところを、作品を通して築き上げている感じがちょっと……。
広瀬 何も反論できませんね、おっしゃるとおり。だって、自分の楽劇を上演するための劇場を作ってしまう人ですので。やっぱりちょっと、バイタリティがその辺の作曲家とは桁違いなんです。
飯田 現代人が「ついていけない……」って思うのは無理ないかもですが、当時の人々はどうだったんですか?
広瀬 当時も割と同じ。ものすごいファンがいる一方で、ものすごいアンチもいて、双方でいがみ合ってた。だから今と大して変わらないと思います。でも、ハマる人はハマって強烈なファンになる。最大のファンが、ルートヴィヒ2世じゃないですか。
ルートヴィヒ2世(1845〜1886)とは、ワーグナーと同時代のバイエルン国王。若くして即位し、最初に命じたのが、どこにいるかわからないワーグナーを首都ミュンヘンに連れてくることだった。神話や騎士道伝説にのめり込み、ワーグナーを崇拝。財政難にも関わらず、山奥に自分の理想とする城を次々と建築させ、さらにはワーグナーが自分の楽劇を上演するために設計したバイロイト祝祭劇場の建設を支援した。
編集部K 広瀬先生、横顔が少しワーグナーと似ていませんか。
広瀬 今の話の流れからすると、光栄なのかどうかもよくわからない……(笑)。
編集部M どちらかといえばルートヴィヒ2世のほうに似てると思います。
広瀬 身長は全然似ていません。ルートヴィヒ2世は190センチあったから。身長で言うなら私はワーグナーに近いですね。160センチ台。わりと小柄だったと言われています。
関連する記事
-
2024年12月に開催されるクリスマスコンサート一覧
-
音楽が「起る」生活#3 ファウストとトラウベルのモーツァルト、《ばらの騎士》
-
12月の運勢&ラッキーミュージック☆青石ひかりのマンスリー星座占い
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly