ジートン・ワン&ウィリアム・ヤンにインタビュー! ショパンのどの面を表現したい?
第19回ショパン国際ピアノコンクール第3ステージ最終日に登場したジートン・ワンさんとウィリアム・ヤンさんにお話をうかがいました。ファイナル進出を決めたお二人は、ステージに上がる前にどんなことを考えていたのでしょうか。
フランス文学科卒業後、大学院で19世紀フランスにおける音楽と文学の相関関係に着目して研究を進める。専門はベルリオーズ。幼い頃から楽器演奏(ヴァイオリン、ピアノ、パイプ...
ジートン・ワン「ショパンとのつながりは日々深まっている」
——今日、ステージに上がる前はどんなことを考えていましたか?
ワン ステージに上がる前、自分にちょっと自己肯定感を上げるような言葉をかけていました。今日はすでにすごく疲れを感じていたんです。だから「これまで準備してきたことを全部出し切るだけだよ。後悔のないように演奏しよう」と自分に言い聞かせていました。
——第1ステージから今日までを振り返って、これまで弾いた中で一番印象に残っている曲はどれですか?
ワン どの曲にも、それぞれうまくいったところと欠点があって、どれも特別なんです。私はどちらかというと自発的なタイプなので、ステージではその場でいろいろなことを変えてしまうこともあって。だから、もう少し慎重に考えたほうがいいなと思うこともあります。
でも全体的には、どの瞬間も楽しんでいました。私にとってプログラムを組むことは、ひとつの物語をつくるようなものなんです。だから、どの曲もその物語を形づくる大切な要素。どれかひとつを取り出して「これ」と言うのは難しいですね。
ただ、いつも物語の最初と最後の場面では、聴衆の皆さんが私と一緒にいてくれたように感じました。本当に感謝しています。
——出場者としてではなく、ひとりのアーティストとして、ショパンのどのような面をもっとも表現したいですか?
ワン ショパンの初期の作品にあるユーモアにはすごく共感しますし、彼が抱えていた孤独にも共鳴します。
ショパンの作品を演奏するということは、彼が望んだことを観察するだけではなく、自分自身のショパンとのつながりを映し出すことでもあると思います。そして、そのつながりは日々少しずつ深まっていると感じています。
正しいとか間違っているとか、そういうことではなくて、大切なのは自分と作曲家との個人的な関係です。誰がなんと言おうと、自分がそのつながりを感じられるなら、それを信じて進めばいいと思っています。
ウィリアム・ヤン「ショパンの脆さをさらけ出すのはもっとも難しい」
——今日ステージに上がる前は、どんなことを考えていましたか?
ヤン ステージに上がる前は、やっぱり常にプレッシャーを感じますね。演奏の中で、いろんなことがうまくいかない可能性があるっていうのはわかっているので、何が起こりうるかを意識しようとしています。
自信のある部分もあれば、そうでないところもあって、それが自分を落ち着かせる助けにもなるんです。
だから、できるだけ音楽のそばにいて、すべてに集中しようと心がけています。
——第1ステージから今日までを振り返って、ご自身の演奏の中で特に印象に残っている瞬間や曲はありますか?
ヤン うーん、難しいですね。実は、自分の演奏をあとで聴き返すことはほとんどないんです。ステージの上で感じることと、客席で聴くのとでは、実際まったく違うんですよ。録音ではすべてを完璧に捉えることはできませんが、大部分は同じです。だから正直、自分ではどの演奏が一番印象的だったか、よくわからないんです。
出場者としてではなく、ひとりのアーティストとして、ショパンのどのような面をもっとも表現したいですか?
ヤン ショパンの音楽には、いつもとても面白いバランスがあると思います。
力強さや技巧的な一面がある一方で、ショパンは聴き手に対してとても正直で、心の脆さを見せることを恐れない。その「脆さをさらけ出す」という部分こそ、表現するのがもっとも難しいことのひとつだと思います。
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