プレイリスト
2023.11.29
ONTOMO MOOK『新時代の名曲名盤』からベスト3を紹介

ベートーヴェン「第九」をサブスク・CDで楽しもう! 音楽評論家が選んだ3枚

川上哲朗
川上哲朗 Webマガジン「ONTOMO」編集部

東京生まれの宇都宮育ち。高校卒業後、渡仏。リュエイル=マルメゾン音楽院にてフルートを学ぶ。帰国後はクラシックだけでは無くジャズなど即興も含めた演奏活動や講師活動を行な...

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年末になるとコンサート、テレビ、商店街のBGMと、至るところで耳にするベートーヴェンの交響曲第9番、通称「第九」。真夏に聴いても、なんとなく年末気分になってくるくらいです。

そんな「第九」を、今年は「録音」で聴いてみませんか? コンサートに出かけられなくても、スピーカーやイヤホンから流れるのは、世界一流の音楽家たちが奏でる極上の音楽。でも、「第九」ほどの有名曲になると、録音は星の数ほどもあり、なにから聴いたらいいかわからないかもしれません。

そこで、今回ご紹介するのは、『レコード芸術』誌上で2020年から2022年に渡って掲載された特集「新時代の名曲名盤500」と、2022年9月・11月号に掲載された特集「新時代の名曲名盤プラス100」を底本とし1冊にまとめたONTOMO MOOK『新時代の名曲名盤500+100』で上位3位に入った3枚。8名の音楽評論家が、それぞれの「ベスト3」に投票し、集計してベスト・ディスクを決めています。

早速、「第九」ベスト3に選ばれたアルバムを見ていきましょう!

第1位:アントニーニ指揮〈2016〉

バーゼル室内o,NFM(国立音楽フォーラム)cho,他〔ソニークラシカル〕

選考者・安田和信さんのコメント

この演奏、作曲者の生前から連綿と続いてきた演奏の伝統を破壊したいという強い衝動である。おそらくこの作品に長く親しんできた聴き手ほど強い拒否感があるに違いなく、それこそがこの演奏のかけがえのなさである。

第2位:エラス=カサド指揮〈2019〉

フライブルク・バロックo、チューリッヒ・ジング=アカデミーほか〔ハルモニア・ムンディ〕

第3位:フルトヴェングラー指揮〈1951〉

バイロイト祝祭o,同choほか〔ワーナー・クラシックス〕

第1位と第2位は近年流行している古楽(作曲された当時の楽器/奏法を用いて演奏する)系の録音、第3位は伝説の名演となりました。

増田良介さんの総評

1位のアントニーニや2位のエラス=カサドの演奏は、もったいぶらず、自然体だ。昔の名盤にはない解放感がある。「第九」とはこういう音楽だという長年の思い込みからすっかり自由になった演奏だ。だが、聴く側の意識はどうだろうか。あらゆるクラシック音楽の中でも、「第九」は特別な曲だ。慣れ親しんだ思い込みは、たとえはかない幻影のようなものであれ、そこから多くの人が生きる力を得てきた泉でもある。そう簡単に、そこから自由になったり捨てたりできるものではない。読者諸氏におかれては、順位だけを見るのではなく、あえてフルトヴェングラー/バイロイト祝祭管盤に1位票を投じた芳岡氏をはじめ、各選者が3票をどう分配したかを見ていただきたい。それぞれの逡巡のあとと、多少大げさに言うと、各選者の音楽観が見えるはずだ。

そう、実は今回紹介できたアルバム以外に、本の中ではそれぞれの選者が一押しする「第九」の名盤が18枚! 紹介されているのです。

気になった方は、ぜひ手に取って、もっとたくさんの「第九」を楽しんでみてくださいね。

川上哲朗
川上哲朗 Webマガジン「ONTOMO」編集部

東京生まれの宇都宮育ち。高校卒業後、渡仏。リュエイル=マルメゾン音楽院にてフルートを学ぶ。帰国後はクラシックだけでは無くジャズなど即興も含めた演奏活動や講師活動を行な...

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