結婚式で流したいクラシック音楽! 専門家が入場、乾杯などシーン別に選ぶ新定番
6人のONTOMOナビゲーターが厳選した、結婚式にピッタリのクラシック音楽。これから結婚式をあげる人、自分の結婚式を思い出して、友だちの結婚式のサプライズに......あなたのお気に入りの1曲が見つかりますように!
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
1997年大阪生まれの編集者/ライター。 夕陽丘高校音楽科ピアノ専攻、京都市立芸術大学音楽学専攻を卒業。在学中にクラシック音楽ジャンルで取材・執筆を開始。現在は企業オ...
東京音楽大学の作曲専攻を卒業後、同大学院の音楽学研究領域を修了(研究テーマは、マイルス・デイヴィス)。これまでに作曲を池辺晋一郎氏などに師事している。現在は、和洋女子...
武蔵野音楽大学卒業後、ロシア、セルヴィアなど東欧各地におけるリサイタルで活動を開始。第1回E.オブラスツォワ国際コンクールに入賞し、マリインスキー歌劇場において、G....
ショスタコーヴィチをはじめとするロシア・ソ連音楽、マーラーなどの後期ロマン派音楽を中心に、『レコード芸術』『CDジャーナル』『音楽現代』誌、京都市交響楽団などの演奏会...
東京藝術大学大学院修士課程(音楽学)修了。東京医科歯科大学非常勤講師。オペラを中心に雑誌やWEB、書籍などで文筆活動を展開するほか、社会人講座やカルチャーセンターの講...
結婚式に欠かせないクラシック音楽! まずは定番をおさらい
お祝いムードを盛り上げる音楽は、結婚式に欠かせないもの。結婚式でよく聴くクラシック音楽といえば、ワーグナーのオペラ《ローエングリン》の結婚行進曲や、
メンデルスゾーン作曲《真夏の夜の夢》の結婚行進曲。
他にも、エルガーの「愛のあいさつ」、バッハの「G線上のアリア」あたりが鉄板曲でしょうか。
ONTOMOでは、クラシック音楽の知識豊富なナビゲーターの皆さんに、結婚式におすすめの作品をシチュエーション別に選んでいただきました。ピアノ曲、オペラ、現代曲など幅広いジャンルから集まった作品の中から、ぜひあなたのお気に入りを探してみてください。この中から、結婚式の新定番が生まれるかも!?
新郎新婦入場——主役の登場は盛大に? それともしっとりと?
ウォルトン:戴冠式行進曲《王冠》
プリンス&プリンセス気分で入場したいから、エルガーの《威風堂々》みたいな曲がいいんだけど、あれはちょっとベタすぎて、という方、これはどうだろう。ときどきテレビなどでも使われているので、曲名でピンと来なくても、聞けば「ああ、あれか」と思う人は意外に多いはず。ちょっと大層かもしれないけど、いかにもイギリスらしい威厳があっておめでたい感じの行進曲だ。同じウォルトンの《宝玉と王の杖》もどうぞ。(増田良介/音楽評論家)
グリーグ:トロルドハウゲンの婚礼の日
ちょっと行進曲っぽいリズム、明るい入場シーンにぴったり! ピアノ独奏曲なので、コンパクトな会場でのお式にぴったりかも。(飯田有抄/クラシック音楽ファシリテーター)
シューマン:歌曲集《ミルテの花》Op.25 より第1曲「献呈」
すったもんだの末、ようやく恋い焦がれていたクララと念願の結婚が叶うその前夜、シューマンが彼女に捧げた歌曲集《ミルテの花》。「あなたは私の魂 私の心」と高らかに歌い上げる第1曲〈献呈〉は、まさに極上の愛のメッセージです。これほど結婚式にぴったりの音楽はないのでは、と思います。(桒田萌/ライター)
ロッシーニ: カンタータ《テーティとペレーオの結婚》よりプレリュード
このカンタータの題材はギリシャ神話、海の女神テティスと英雄ペレウスの結婚です。のちのトロイア戦争の引き金ともなる「黄金の林檎」が投げ込まれた結婚式としても知られますが、この結婚によりアキレウスが生まれたことから、祝典の題材としても好まれ、ロッシーニもこの作品を王族の婚礼祝いとして作曲しました。優雅さと高揚感に溢れる曲調が新郎新婦の入場にぴったり! 曲の長さも3分でちょうどいい!(鳥木弥生/メゾ・ソプラノ歌手)
ダニーロ・ペレス&クラウス・オガーマン『アクロス・ザ・クリスタル・シー』より「If I Forget You」
「入場」は華々しくというのが定番ですが、しっとりと初々しいのも魅力的。後者の方針でいくのなら、この曲をお薦めします。ラフマニノフの「交響曲第2番」第3楽章を、伝説的な名アレンジャーであるクラウス・オガーマンのアレンジのもと、名ジャズピアニストのダニーロ・ペレスが繊細に旋律を奏でます。(小室敬幸/作曲・音楽学)
乾杯——グラスが重なる音をより華やかに
リヒャルト・シュトラウス:組曲《町人貴族》~9. ディナー「食卓の音楽」
乾杯の音楽は、最初から、ぱっと華やかなのがいい。乾杯のあとに「食卓の音楽」とはそのまますぎるかもしれないが、明るくてお祝いらしい雰囲気があるし、乾杯のあとの食事も楽しくなりそうだ。ちなみに、曲の内容は、ライン河の鮭だのラム肉だのといった食材を、ワーグナーの《ラインの黄金》やら自作の《ドン・キホーテ》(羊を追いかける場面がある)の引用で描写するという気楽なものだ。(増田良介/音楽評論家)
ヘンデル: 組曲「王宮の花火の音楽」から「歓喜」
とにかく華やかで盛り上がります。(室田尚子/音楽ライター)
モーツァルト:大ミサ曲ハ短調 K.427(417a)より「グローリア」
シューマンと同様、モーツァルトも結婚には苦労しました。妻・コンスタンツェとの結婚は、父からの許しを得ないままだったようです。モーツァルトは、「無事、結婚ができたら、故郷の聖ペテロ教会にミサ曲を奉納しよう」と決意。なんとか(無理やり?)実現したのを機に、モーツァルトは故郷・ザルツブルクに帰り、大ミサ曲を捧げました。ソプラノ独唱はコンスタンツェが担当。ここは乾杯ですから、華々しく「グローリア」で決めたいです。(桒田萌/ライター)
ケーキ入刀——甘いケーキに甘い音楽を
チャイコフスキー:《くるみ割り人形》第2幕~お菓子の王国の魔法の宮殿
変に逆らわず、甘いものには甘いものの音楽を合わせてみよう、ということで、この曲はどうだろう。ちょっとケーキ入刀のタイミングが難しいかもしれないが、とてもいい曲だ。《くるみ割り人形》では、「行進曲」や「花のワルツ」など、組曲に含まれる曲が有名だが、基本的には大半が幸せいっぱいの音楽なので、有名でない曲の中にも結婚式にぴったりの曲はたくさんある。(増田良介/音楽評論家)
シューマン=リスト編曲:「献呈」
シューマンが、愛するクララとの結婚前夜に贈ったという歌曲集《ミルテの花》。ゴージャスでスウィートなリストによるピアノ編曲の「献呈」は、美しいケーキを前にした新郎新婦の姿とともに耳にしたい一曲です。(飯田有抄/クラシック音楽ファシリテーター)
ヴェルディ(ニーノ・ロータ編曲):「ワルツ・ブリランテ」(映画『山猫』から)
自分の結婚式で使いました。貴族的で上品なワルツ、かつあまり知られていないものということで。(室田尚子/音楽ライター)
Star vicino(そばにいることは)
「愛する人のそばにいることは愛の一番の喜び。そして、愛する人と離れていることは愛の一番の苦しみ」。1600年代のイタリアで作られたシンプルな歌詞とメロディ、ディスタンス時代!? の現代でも変わらない愛の真実が、結婚する二人の初めての共同作業、純白のウェディングケーキに映えそうです。(鳥木弥生/メゾ・ソプラノ歌手)
手紙・スピーチのシーンで——大切な想いを伝えるお手伝い
シャルル・ケクラン:《素朴な歌》 op.197 第6曲「アダージオ」
ある種のクライマックスともいえる、新郎新婦からご両親への「手紙」のシーン。穏やかで、爽やかで、温かで、言葉を邪魔せず、思い出と未来を大切にしたくなるような、そんなケクランの音楽はいかがでしょう。(飯田有抄/クラシック音楽ファシリテーター)
ラフマニノフ:《12の歌》Op.21より第7曲「ここは素晴らしい場所」
手紙の時間は、今までお世話になった方への感謝の気持ちを伝える大事なシーンです。ここでぴったりなのは、ラフマニノフが「感謝したい相手」に贈った作品。その相手とは、妻のナターリヤです。彼女は、ラフマニノフが長らく自信喪失に陥っていた時期に支えた人物でした。彼はナターリヤと結婚した年に「ここは素晴らしい場所」を含む《12の歌》を書き、彼女に捧げています。 これまで支えてくれた家族や周囲の人々はもちろん、これから共に歩むパートナーへの感謝の気持ちを、音楽とともに伝えたいですね。(桒田萌/ライター)
ハービー・ハンコック『ガーシュウィン・ワールド』より「ラヴェル:ピアノ協奏曲 第2楽章」
両親への「手紙」のコーナーでは、選曲に迷います。その昔、友人の結婚式で「ビートルズの I Want To Hold Your Hand を『glee/グリー』バージョン風に編曲してほしい」とお願いされ、結果的に現在でいうところのポスト・クラシカル風のアレンジをしたことがあります。それがあまりに上手くいったので、マックス・リヒターの〈オン・ザ・ネイチャー・オブ・デイライト〉のような曲も良いかと思ったのですが、ちょっと荘厳過ぎるかもしれません。……ということでもう1案、考えたのが、原曲よりも自由度が高く、適度な意外性もあるこちらです。入場での〈If I Forget You〉との愛称もバッチリ。(小室敬幸/作曲・音楽学)
シベリウス:アンダンテ・フェスティヴォ
感動的な手紙やスピーチのバックに流すなら、シンプルにきれいなメロディの曲がいい。あまり複雑な曲だとそっちに気を取られてしまうし、途中でどんどん盛り上がるような曲だと、言葉がかき消されてしまう。シベリウスの「アンダンテ・フェスティヴォ」は、北欧らしい清潔感のあるしみじみとした曲で、とても美しいし、じゃまにならない。シベリウスには、劇音楽とかを探すと結婚式向きの曲が他にもいろいろありそうだ。(増田良介/音楽評論家)
モリコーネ: 映画『ニュー・シネマ・パラダイス』からメインテーマ
人の心の奥底にある大切なものを思う気持ちを、これほど見事に表現した曲はないと思います。(室田尚子/音楽ライター)
退場——美しい余韻に浸りながら
マスネ: オペラ《サンドリヨン(シンデレラ)》より フィナーレ「王子よ、目を開け! 〜お話はここまで」
言わずと知れたおとぎ話「シンデレラ」をロマンチックで、ちょっぴり風刺の効いた音楽で作曲したのが《ウェルテル》《タイス 》などで知られるフランスの作曲家マスネ。意地悪な継母(お義母さん?)や、姉(小姑?)が出てくる物語は、もしかしたら結婚式にはエスプリが強すぎるかもしれませんが、それくらいのことは笑って済ませるユーモアが結婚生活には必要なはず。世界で一番有名なハッピーエンドに彩られて、2人の大団円を迎えましょう!(鳥木弥生/メゾ・ソプラノ歌手)
フィンジ:エクローグ
「退場」はなんといっても余韻が大事。入場を〈If I Forget You〉で初々しくはじめたのなら、このフィンジで清らかに締めるのがお薦めです。「良い結婚式と披露宴だったなあ……」と噛み締めながら、来場してくださった皆様にお帰りいただけるのではないでしょうか。特に11~12分ぐらいかけて、ゆったりと演奏している録音を推したいですね。(小室敬幸/作曲・音楽学)
リヒャルト・シュトラウス:歌劇《カプリッチョ》~月光の音楽
最後は、感謝の気持ちをこめて、絶美の音楽で気持ちよく帰ってほしい。ということで、この曲を推す。問題は、ちょっと短いということと、二人から求愛された伯爵夫人が、はっきりと答えを出さないまま終わるというオペラの筋が、結婚式の音楽としてはいかがなものかということだ。しかし、前者は繰り返せばすむことだし、後者は《ローエングリン》や《夏の夜の夢》に比べれば、だいぶましということで、気にしなくていいだろう。(増田良介/音楽評論家)
特別のシチュエーションのために......
プーランク:3つのノヴェレッテ FP47 第3曲 ホ短調/ じつはいろいろあったオトナ・カップルによる小さな挙式、新郎新婦から出席した友人に向けたスピーチのシーンでどうぞ!(飯田有抄/クラシック音楽ファシリテーター)
プロの音楽家の結婚式にいくと余興で、余興らしからぬ本格的な演奏に出会うことも。私個人の経験としては、クラシック系ではチェリストの堤剛さん、ポピュラー系では森山直太朗さんの生演奏に出くわしたことがある(もちろん別の方の結婚式です)。ということで、結婚式といえば「余興」をどうするのかが一番気になるのだが(そうそう、結婚式のおよそ1週間前に余興用の編曲を頼まれたこともありました・苦笑)、私が余興でこれを聴けたら素敵だろうなあ……と夢想するのは、コルンゴルトの《から騒ぎ》組曲の第3曲〈庭園の場(間奏曲)〉です。こういう甘く優しい音楽を、静かに共有できるぐらいの規模で、結婚式をするのが理想です。続けて第4曲の〈仮面舞踏会〉を弾いてくれれば、さらにいいですね。(小室敬幸/作曲・音楽学)
新郎新婦お色直し入場のときに、須川展也さんのアルバム「シシュポスの夢」から「ラヴィン・ユー」「ジュ・トゥ・ヴ」「マイ・ラヴ」の3曲をおすすめ。式も中盤でお客様もお酒が入ってきたところで、気分を変えるのにピッタリ。可愛くてオシャレでお色直しに最適です。(室田尚子/音楽ライター)
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
1997年大阪生まれの編集者/ライター。 夕陽丘高校音楽科ピアノ専攻、京都市立芸術大学音楽学専攻を卒業。在学中にクラシック音楽ジャンルで取材・執筆を開始。現在は企業オ...
東京音楽大学の作曲専攻を卒業後、同大学院の音楽学研究領域を修了(研究テーマは、マイルス・デイヴィス)。これまでに作曲を池辺晋一郎氏などに師事している。現在は、和洋女子...
武蔵野音楽大学卒業後、ロシア、セルヴィアなど東欧各地におけるリサイタルで活動を開始。第1回E.オブラスツォワ国際コンクールに入賞し、マリインスキー歌劇場において、G....
ショスタコーヴィチをはじめとするロシア・ソ連音楽、マーラーなどの後期ロマン派音楽を中心に、『レコード芸術』『CDジャーナル』『音楽現代』誌、京都市交響楽団などの演奏会...
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