プレイリスト
2019.11.20
秋の特集「トレーニング」プレイリスト その1

クラシック音楽でランニング! ハイ・スピードで30分走り抜く3つの名曲プレイリスト

健康ブームと言われて久しい今日この頃。街にはランニングする人たちが増えていますよね。スポーツに特化したイヤフォンやストリーミングの台頭で、走りながら音楽を聴く人口は増えているはず。
それなら! ONTOMOは「クラシック音楽でランニング」をご提案。編集部が、時代や作曲家で集めたプレイリストをお届けします。

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ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

photo: Burton Holmes' photograph entitled "1896: Three athletes in training for the marathon at the Olympic Games in Athens"

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ランニング・プレイリストを作ろうにも、どうしたらいい!? と運動不足なアラサー編集部員。

いちばん健康的なアラフォー編集長いわく、「20分以上動かないと有酸素運動にならないっていうし、少し前に早朝ランニングしてたんだけど、週3回は走らないと、せっかく活性化した細胞たちがパワーダウンする感じなんだよね、姿勢も保てなくなるし~、でも、ひとりで走ってると時間が長く感じちゃって~、結局3日坊主になりがちだよね~……(つづく)」とのこと。

そこで、テンションが上がって、30分がむしろ短く感じるようなプレイリストを週3回分(つまり3本)作成。これを聴きながらランニングすれば、音楽も知れて、健康も手に入って一石二鳥! 

いざ作ってみると、定番のクラシックの名曲も、組み合わせ次第でランニング向きのプレイリストに仕上がります。好きな曲がある方は、自分のお気に入りを組み合わせて作ってみるのも面白いかも!

みなさんも、生活にランニングとクラシック音楽を取り入れて、心身ともに充実した時間を過ごしてみませんか?

オーケストラのパワーでアドレナリンを!

オーケストラのパワーを感じながら元気いっぱい走るプレイリストをご紹介します。アドレナリンが出て、テンションが上がり、今日のランニングも絶好調!

まずプロコフィエフの《交響曲第5番》第4楽章の冒頭、のびのびとしたメロディで心の準備を。音楽の盛り上がりとともに、体も温まってくる。ビゼーの代表作《カルメン》から、徐々にやる気を駆り立てられていく「ジプシーの踊り」を。《動物の謝肉祭》の「終曲」は、組曲で登場した動物のモチーフが登場するにぎやかで楽しい雰囲気。《ロココの主題による変奏曲》では、速めの4分の2拍子と軽快なチェロ独奏によって、足取り軽く進めてくれます。

ここまで来たら折り返し。少し雰囲気を変えて、バルトークの晩年の傑作《管弦楽のための協奏曲》で気分転換。心身ともに芳しくない状態であったバルトークは、この曲を委嘱されたのをきっかけに生命力を取り戻し、わずか2ヶ月でこの作品を仕上げました。最終楽章は、活力みなぎるダイナミックな曲調で、「頑張って走らなきゃ!」と士気が高まります。そして、最後はアドレナリンと言って取り上げないわけにはいかない作曲家、ハチャトゥリアンの2曲《仮面舞踏会》の「ギャロップ」とバレエ《ガイーヌ》から「レズギンカ」を。リズミカルで爽快な音楽に乗って、ラストスパートを一気に走りきりましょう。

バッハとコンテンポラリーで駆け抜ける

地球上に存在したもっとも偉大な作曲家のひとり、ヨハン・セバスチャン・バッハ。その鍵盤曲のほとんどは、バッハが愛奏したチェンバロやオルガンのために書かれたものです。しかし、現代のピアノで演奏しても俄然しっくりきてしまう。チェンバロとは違う魅力も出てくるのは、やはりバッハの作品が持つパワーなのでしょうか? バッハと現代曲を同時に取り上げたり、得意とするピアニストも多いのです。

バッハの鍵盤作品といえば、技巧的な早弾きの爽快感も魅力のひとつ。そこで、スピード感溢れるバッハ作品と近・現代曲をサンドイッチしたプレイリストを作りました。

最初に登場願ったのは「ピアノでバッハ」の代表、グレン・グールドが演奏するバッハ《6つの小さな前奏曲》第3番。続いて20世紀を代表するハンガリーの作曲家ベラ・バルトークが教育目的で書いた《ミクロコスモス》から「半音階のインベンション III」。アンジェラ・ヒューイットが演奏する《イタリア協奏曲》に続いて、20世紀ロシアの天才プロコフィエフの傑作と名高いピアノ・ソナタ第7番(戦争ソナタ)から7拍子のフィナーレ。《平均律クラヴィーア第1巻》から変ロ長調のプレリュードとフーガの次は、戦後を代表する作曲家ピエール・ブーレーズのピアノ・ソナタ第2番

折り返し地点でアリシア・デ・ラローチャが演奏するのは、映画『シンドラーのリスト』でも印象的に使われていた《イギリス組曲》第2番のプレリュード、《4分33秒》で知られるジョン・ケージのプリペアード・ピアノのための《ソナタとインタリュード》から「ソナタ 5」。マレイ・ペライアの弾く軽やかな《フランス組曲》第5番のジーグに続き、ジョルジュ・リゲティの練習曲集から不気味でスピーディな(そして演奏至難な)「悪魔の階段」。最後はグールドの《9つの小さな前奏曲》第5番でフィニッシュです。

スピーディに鍵盤を走り抜ける爽快感で、気持ちよく走れること間違いなし? 現代音楽はちょっと……と感じている方も、バッハと並べると新しい聴き方が拓けるかも。

モーツァルトの“アレグロ”で集中力アップ・ランニング

モーツァルトの曲には集中力をアップさせる効果があるという話はよく耳にしますが、それって走るのにも効果がありそう? マラソンならタイムが伸びたりして!

というわけで、聴いているだけで心が走り出しそうな、美しく楽しいモーツァルトが書いたアレグロ曲をチョイス。

アレグロ(Allegro)は音楽用語だと「速いテンポ」という意味もありますが、もともとのイタリア語では「陽気に/快活に」の意味。アレグロの後にさまざまな形容が付くことで、少しずつ雰囲気が変わります。

最初は室内楽の生き生きとした名曲から。ヴァイオリン・ソナタニ長調の第1楽章は華やかなアレグロ・コン・スピリート(元気に、生気に満ちた)、弦楽四重奏第22番の4楽章アレグロ・アッサイ(きわめて速く)、4本の楽器とピアノの掛け合いが愉しい五重奏曲はアレグレット(アレグロよりやや遅く、落ち着いている)。

折り返したあとは、オーケストラに編成を拡大! モーツァルトが飼っていたムクドリが歌ったと伝えられる可愛いメロディが印象的なピアノ協奏曲第17番から第3楽章は、ずばりアレグロ。モーツァルト最後の交響曲第41番『ジュピター』の終楽章アレグロ・モルト(非常に)で気持ちよくビッグ・フィニッシュ。聴きながら走って、集中力アップを狙ってみてはいかがでしょうか。

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