レポート
2018.10.31
老舗ケーブル屋 オヤイデの音 no.2

写真家・平間至の想いが結実した故郷・塩竈での「GAMA ROCK FESTIVAL」~野外フェスでも美しい音を!

2018年9月22日、オーディオ・ファンであるフォトグラファーの高橋慎一さんが、2012年から宮城県・塩竈市で開催されている地域密着型のロックフェス「GAMA ROCK FESTIVAL」を訪れた。

これは、塩竈出身の写真家・平間至さんが、東日本大震災に見舞われた故郷のため「塩竈の魅力を伝え、街が元気になることを願って」声をあげ、Dragon AshのATSUSHIさんを筆頭に、多くのミュージシャンたちの想いによって作られているフェスティバルだ。そこでは野外では随一ともいえる美しい音づくりが行なわれていた。

「GAMA ROCK FESTIVAL」を主催した人
平間至
「GAMA ROCK FESTIVAL」を主催した人
平間至 写真家

1963年、宮城県塩竈市に生まれる。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、写真家イジマカオル氏に師事。躍動感のある人物撮影で、今までにないスタイルを打ち出し、写真から音楽...

写真・文
高橋慎一
写真・文
高橋慎一 フィルムメイカー
/フォトグラファー/ライター 

東京工芸大卒。雑誌・書籍・CDジャケット等でフォトグラファーとして活動中。音楽之友社では『ステレオ』誌の撮影を担当、徐々にオーディオへと開眼しつつある。2015年にド...

写真上:東日本大震災の翌2012年から毎年「GAMA ROCK FESTIVAL」を主催する写真家の平間至さん(右)とDragon AshのATSUSHIさん

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平間至の写真と音楽への想いを育てた塩竈

塩竈市は宮城県の県庁所在地である仙台市からもほど近い、日本有数の漁港を誇る港町だ。また文化的にも成熟した都市で、伝説的漫画誌「ガロ」の創刊編集長である長井勝一の故郷であり、氏の功績を讃える美術館が市内の図書館に併設されている。

平間至さんは祖父が塩竈市に開業した「平間写真館」の3代目として生まれた。共にクラシック音楽を愛好した祖父、実父の薫陶を受け、音楽への深い造詣をもちながら写真家として大成した平間さん(関連記事)が、故郷でロック・フェスティバルを主催するのは必然だったように思う。彼の写真、音楽、故郷への想いがシンクロし、誕生したのが「GAMA ROCK FESTIVAL」だ。

アコースティックなバンド演奏が多く出演するGAMA ROCKの会場。
地元の名産品の出店も楽しい。
GAMA ROCKと酒のコラボ品も。

タワーレコードのシリーズ広告『NO MISIC, NO LIFE.』の撮影で広く知られる平間さんは、多くのミュージシャンから信頼され親交を結んでいる。その幅広い交友関係から毎年同フェスには、大手プロダクション主催のフェスに負けない重要アーティストが多数出演することとなる。

 

出演したアーティストがライブ後に口を揃えて絶賛するのが、同フェスの音響の美しさだ。

ややもすれば、音響の「美しさ」よりも「確実さ」が要求されるのが音楽フェスの宿命だ。野外会場にステージと音響システムを組み、多数のアーティストが入れ替わりでライブを行なう場にあっては、サウンドの音色を極める以上に、確実に演奏を観客に届けることが優先されるのは、ある意味当然だろう。

しかし「GAMA ROCK FESTIVAL」では、極限までこだわり抜いた美しい音色によるライブサウンドが、確実に観客席へと届けられる。そこにはオーディオ用ケーブルメーカーとして知られるオヤイデ電気の製品と技術スタッフの貢献が大きく関わっている。

平間至が撮影するタワーレコードのシリーズ広告『NO MISIC, NO LIFE.』。
オーディオ用ケーブルメーカー、オヤイデ電気の技術スタッフが、大雨の中でステージをセッティング。
ステージ上のマイクケーブルはすべてオヤイデケーブル
ステージ上のマイクケーブルはすべてオヤイデケーブル。バスドラムなどの低域にはTUNAMI、ボーカルにはPA-02と帯域に合わせて選定されている。

野外フェスでも妥協しない美しい音づくり

オヤイデ電気は「GAMA ROCK FESTIVAL」の第1回から数年間は協賛企業としてサポートし、ケーブルの提供は現在まで継続して続けられている。フェスティバルの野外会場では、楽器から電源ケーブルまですべてオヤイデの製品が使用され、高品質な音づくりの要となっている。天候や気温の変化に左右されるタフな環境である野外ライブで、高級オーディオケーブルが使用されること自体が異例だが、平間さんのフェスにかける情熱とオヤイデのスタッフの技術力により、毎年息を飲む美しい音色によるライブが展開されることとなる。

今年は9月22日に開催された「GAMA ROCK FESTIVAL」。前日朝から降り続いた雨が夜には本降りとなったが、当日朝から晴れ間が差し始め、ライブが本格始動する頃には雨がピタリと止んだ。前日夜、土砂降りの雨の中を会場設営に走り回ったスタッフの想いが通じたのだろう。塩竈港内にあるみなと公園には、ある者はシートを広げた芝生の上で寝転びながらビールを飲み、ある者は塩竈の名産品で作られた屋台料理を、家族とともに頬張りながらステージの演奏に耳を傾ける、そんな思い思いのスタイルでフェスを楽しむ観客たちで大変な盛り上がりとなった。

おおはた雄一さんと坂本美雨さんによるユニット「おお雨」出演時には、そのバンド名が厄落としに一役買ったのか心地よい秋晴れとなった。坂本さんが「この曲はこの会場で歌うのが一番気持ちいい」とのMCで締めた『ネバー・エンディング・ストーリー』で盛り上がりは最高潮に。

確かに、野外フェスと思えない繊細にして芯の太さも兼ね備えた音色は特筆すべき美しさだった。筆者も20年に及ぶライター歴で多くの野外フェスを取材したが、これほど高音質な音響はちょっと記憶にない。

坂本美雨さん
会場内に坂本美雨さんの澄み切った声がクリアに響き渡る。 photo:GAMA ROCK FESTIVAL

民族楽器ディジリドゥ奏者のGOMAさんとドラマー中村達也さんの異色デュオ「GOMALIOS」では、打楽器と民族系管楽器のせめぎ合いが、迫力の骨太サウンドで会場内に響き渡る。女性ボーカルやアコースティックギターの繊細なサウンドからディジリドゥの重低音まで、ライブの空気感を活かしつつ各楽器の個性を浮かび上がらせる音づくりは、オーディオマニアを唸らせるオヤイデの面目躍如といったところだ。

会場に流れるライブサウンドは、野外でありながらオーディオルームに引けを取らないクオリティとなった。

フェスの盛り上がりが最高潮に達したのは、平間さん自らベーシストとして参加するバンド「チープパープル」のステージだ。平間さんが中学生のときに塩竈の学友と結成したこのバンド、もちろんれっきとしたアマチュアだが、演奏のクオリティ、アンサンブルの妙はフェス出演バンドの中でも際立っていた。

中でも驚くのは平間さんのベース奏者としての腕前だ。幼少期から身につけたクラシック音楽の素地と、ロックへの偏愛を感じる玄人はだしのプレイを楽しませてもらった。

そして平間さんのベースの音色の豊かさについても書き記しておきたい。彼のベースアンプにはPA卓と共に仮想アースのMinimusとSilver Minimusが使用されていた。平間さんのアイデアを元にオヤイデの技術陣が設定したこのセッティングが、ベースサウンドをより立体的に、豊かな音色で鳴らすこととなった。

大盛況のなかクロージングを迎えた「GAMA ROCK FESTIVAL」。来年も平間さんと塩竈と音楽の蜜月は続き、それを下支えするオヤイデ電気の存在感はさらに増すこととなるだろう。

平間至さん自らベーシストとして参加するバンド「チープパープル」
フェスのトリは、平間さん率いるディープ・パープルのコピーバンド「チープパープル」。凄まじい演奏だが、各楽器が明瞭に聴こえ絡み合う。 photo:GAMA ROCK FESTIVAL
平間さんの提案でPAミキサーには仮想アース、エントレックMinimusとSilver Minimusを接続。
ケーブルについての問い合わせ
小柳出電気商会

Tel.03-5684-2151

 

オヤイデ電気 秋葉原店

住所 〒101-0021 東京都千代田区外神田1-4-13

営業時間: 10:00~19:00 日曜定休(祝日は営業)

Tel.03-3253-9351

ライブ終了後、チープパープルのメンバーと、今回スペシャルゲストとして参加した塩竈出身の声優、山寺宏一さん(左手前)。
「GAMA ROCK FESTIVAL」を主催した人
平間至
「GAMA ROCK FESTIVAL」を主催した人
平間至 写真家

1963年、宮城県塩竈市に生まれる。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、写真家イジマカオル氏に師事。躍動感のある人物撮影で、今までにないスタイルを打ち出し、写真から音楽...

写真・文
高橋慎一
写真・文
高橋慎一 フィルムメイカー
/フォトグラファー/ライター 

東京工芸大卒。雑誌・書籍・CDジャケット等でフォトグラファーとして活動中。音楽之友社では『ステレオ』誌の撮影を担当、徐々にオーディオへと開眼しつつある。2015年にド...

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