私は過去数年間に渡ってSonarを取材しているが、必ずしも万人に受け入れられるような内容ばかりではない。しかし、好き嫌いは別として、最先端の音楽テクノロジーがそこにあり、実践の場となっている。
デジタルとアナログ、生音と電子音、クラシック音楽とそれ以外の音楽、そういった対比において「どちらに優劣があるのか」ということではなく、それらのギャップを越えて音楽の新しい価値を見出そうとしているのがSonarであるように思える。
90年代前半、音楽フェスティバルやエレクトロニック・ミュージックが今日ほど一般的ではなかった頃に始まったSonarは、現在10万人以上の観客が世界120カ国から集まるイベントに成長した。今年のSonarについて「Sónar 2019: global, intercultural, feminine, queer and radical」という題名がプレスリリースでは付けられていたが、実際のところ今年のSonarにおいてテクノロジーの大きなトレンドとして挙げられていたのは「AI」。今回のSonarはカンファレンスで議論され、また実際にステージでもAIが活用され、大々的にAIの活用を謳う初めての年だったと思う。
AIの音楽への活用、これも ネガティブに誤解されやすい側面がある。次回の記事ではそれについて取り上げたい。