ベルリン・フィルを間近で多角的に聴くことで、音楽の未来を切り拓く若い力を育てる!
TDKは 「創造によって文化、 産業に貢献する」 という考えのもと、社会貢献活動を展開。 2001年より世界を代表するオーケストラの日本公演に協賛するとともに、 音楽を学ぶ学生の方々を対象とした「公開リハーサル」、演奏家が学校へ出張する「アウトリーチコンサート」など貴重な機会を提供し、音楽の新しい未来を切り拓こうとする若い方々を応援しています。
今年の「TDK RISING STARS PROGRAM 2023」では、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団について作曲家の千住 明さんと五感をはたらかせてインタラクティブに学び、ベルリン・フィルのメンバーによる生演奏とトークのスペシャルセッションを体感する、豪華なプログラムが開催されました。千住 明さんとのプレレクチャーでナビゲーターを務めた、飯田有抄さんがこのイベントをレポートします。
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
音楽を志す若い学生たちへのプログラム「TDK RISING STARS PROGRAM 2023」
世界のトップ・レベルのオーケストラが、どんな響きの特長を大切にし、指揮者やプレイヤーにどんな思いがあり、運営面でも先進的な取り組みをしているのか。
この秋来日したベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は、楽員全員がソリスト級の超精鋭オーケストラです。その魅力・伝統・革新性を、音楽を志す若い学生たちにわかりやすく伝え、未来の音楽家たちにオーケストラへの関心を高めてもらおうとするイベントが開催されました。
聴き比べクイズにも挑戦! 第一線で活躍を続ける作曲家・千住明さんとインタラクティブなプレレクチャー
これはTDKが主催する教育プログラム「TDK RISING STARS PROGRAM 2023」の一環として、11月23日(木・祝)、サントリーホールで行なわれたベルリン・フィルの昼公演に先立ち、同ホールのブルーローズ(小ホール)で催された企画です。公募によって招待された学生は約200名。さらにその中から抽選で当選した30名は、本番の公演も聴けるという夢企画なのです。
前半はプレレクチャーです。講師には、作曲家の千住 明さんが登壇し「ここがスゴイ!ベルリン・フィル大解剖!」と題した60分のスペシャル講演。筆者は本イベントのナビゲーターとして参加しました。
このレクチャーがとても画期的だったのは、新システムの導入によって、学生たちが自分のスマートフォンやタブレットから、クイズの解答や質問内容を打ち込み、それが即時ステージ上のスクリーンに表示されたこと! 千住さんとインタラクティブに交流できるスタイルで進められました。
前半は3つのクイズに挑戦です。ベルリン・フィルの輝かしいサウンドの特徴を聴き分けるリスニングクイズや、長年ベルリン・フィルを指揮し“帝王”として親しまれつづけたカラヤンの功績について知るクイズ、さらにベルリン・フィルが世界に先駆けて生配信を実現した「デジタル・コンサーホール」の最先端技術について学ぶクイズも出題されました。
3択から学生たちがどれを選んでいるか、リアルタイムでパーセンテージが表示され、ワクワクするコーナーでした。
さすが将来の音楽家たち!多くの学生たちが正解を選んでいて、それには千住さんも感心。それぞれの正解にちなんで、千住さんから詳しい解説やエピソードが紹介されました。
プレレクチャーの後半は、今年のベルリン・フィル来日公演で、2019年から首席指揮者・芸術監督に就任したキリル・ペトレンコが披露した、A、B二つのプログラムについて千住さんが聴きどころを深掘りしました。モーツァルト、レーガー、ベルクからの選曲が、ドイツ・オーストリアの伝統と現在をつなぎ、そして未来を見据えたプログラミングであることを解き明かしてくれました。
最後の千住さんへの質問コーナーでは、画面上でどんどん質問が打ち込まれていきました。それに千住さんが次々と返答していきます。合奏で重視すべきことは何か?という質問には、「大事なことは小さな声で話しますよね。繊細な音をよく聴き合うことが大切です」などとお話しされました。
ベルリン・フィルのメンバーによる室内楽演奏とトークの、心に残る特別で親密な時間
休憩を挟み、続く60分はベルリン・フィルのメンバーによる豪華なスペシャルセッション! 当初の予定では、学生たちに本番直前のリハーサルを見学してもらう予定でしたが、リハの予定が急遽変更に。そこで、メンバーの室内楽演奏とトークが行なわれることになったのです。
ステージに登場したメンバーは、樫本大進(第1ヴァイオリン)、町田琴和(第2ヴァイオリン)、パク・キョンミン(ヴィオラ)、ルートヴィヒ・クヴァント(チェロ)、ヴェンツェル・フックス(クラリネット)。モーツァルト「クラリネット五重奏曲イ長調K581」全楽章を、伸びやかでエレガントな演奏で聴かせてくれました。
トークセッションは「音楽と夢」がテーマ。「音楽家は子どもの頃からの夢?」という質問に、フックスさんからは「スキー選手になりたかったが、怪我をしたのでスキーストックからクラリネットに持ち替えた」、樫本さんからは「実はチェロを弾きたかった」などユニークな回答も飛び出し、終始和やかで楽しい雰囲気に満ちたセッションとなりました。
日時:2023年11月23日(木・祝)10:45~13:00
会場:サントリーホール ブルーローズ
ご招待:中学生以上で音楽を学んでいる学生の方 230 名
*その中からさらに抽選で、30名を本公演へご招待
出演
プレレクチャー:千住 明(作曲家)、飯田有抄(クラシック音楽ファシリテーター)
ベルリン・フィルのメンバーによるスペシャルセッション:樫本大進(第1ヴァイオリン)、町田琴和(第2ヴァイオリン)、パク・キョンミン(ヴィオラ)、ルートヴィヒ・クヴァント(チェロ)、ヴェンツェル・フックス(クラリネット)
曲目:モーツァルト「クラリネット五重奏曲イ長調K581」全楽章
主催:TDK株式会社
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