
「山田和樹&東京芸術劇場 交響都市計画」始動!
水野修考の大作《交響的変容》に挑む


1941年12月創刊。音楽之友社の看板雑誌「音楽の友」を毎月刊行しています。“音楽の深層を知り、音楽家の本音を聞く”がモットー。今月号のコンテンツはこちらバックナンバ...
2026年4月1日に東京芸術劇場の芸術監督に就任する山田和樹。開館以来初となる音楽部門の芸術監督就任にともない、音楽公演のさらなる発展を目指して、新プロジェクト「山田和樹&東京芸術劇場 交響都市計画」がスタートする。その記念すべき第1弾で取り上げるのは、史上最大の交響曲ともいえる水野修考《交響的変容》。11月11日に東京芸術劇場で行なわれた記者会見で、山田は大規模な公演に向けて意気込みを語った。
世界で活躍する山田とともに「近未来」、「世界への発信」、「クロスオーバー」をテーマに始動する「交響都市計画」。この名称について山田は、「単にコンサートホールに来てほしいというだけでは不十分な現代では、コンサートホールが活動を広げるにあたって、みずからの存在意義や価値を証明していく必要があると思います。この都市で音が響き合い、人が混じり合うという意味が『交響都市計画』に込められています」と、由来を語った。

今回取り上げる作曲家の水野修考は1934年、徳島県生まれ。交響曲、オペラ、ミュージカルなど数々の作品を手掛けており、米寿を迎えた2022年には「交響曲第5番」を発表するなど、20世紀の日本を代表する作曲家の一人として活躍している。
《交響的変容》は、1962年から87年にかけて作曲され、演奏時間約3時間、オーケストラと合唱を合わせて700人あまりを要する、世界最大ともいえる交響曲である。全曲初演は、1992年に岩城宏之の指揮により、幕張メッセイベントホールで行なわれた。その作品の規模の大きさゆえに再演は不可能であるとされてきたが、今回東京芸術劇場のサイズに合わせたアレンジを施し、実現する。
34年ぶりの蘇演に向けて山田は、次のように語った。
「《交響的変容》はとにかくすべてが規格外で、時間と空間を超えていくような未来型の作品であり、枠組みやキャンパスを突き抜けてしまう。私にとって水野修好先生は、音楽界における岡本太郎さんのような存在です。この計画を実行するにあたって多くのかたがたを巻き込める幸せを味わいながら、頑張って観客のかたに仕掛けていきたいと思います」
東京芸術劇場の新しい幕開けとなる今回のプロジェクト。最後に、山田は今後の展望を示した。
「このほかにも再演が難しい作品というのはたくさんあると思うのですが、再演を実現することで、ほかの作品にも光を当てることができるのではないかとも期待しています。《交響的変容》によって芸劇の初心に立ち返るとともに、これからのコンセプトを表すものとして披露したいです。ぜひ第2、3弾にもご期待ください」
日時:2026年5月10日12時
会場:東京芸術劇場
総合監修:水戸博之
出演:山田和樹(指揮)、読売日本交響楽団、東京混声合唱団、栗友会合唱団、林 英哲(太鼓)、武藤厚志(tim)
問合せ:東京藝術劇場 0570-010-296
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