気分やシチュエーションに合わせてクラシックを楽しむ

いま、クラシックで弾くならドビュッシーの《月の光》。なんでこんなにきれいな曲なんだろうって、自分も弾きながら癒されます。最近ではいろいろな映画に使われていたり、乃木坂46の《逃げ水》にもサビの直前に《月の光》のフレーズが入っているので聴いたことのある方も多いのでは?

子どもの頃はもっと明るい賑やかな曲が好きでしたが、夜、眠る前に母が「いい音楽を聴いて寝なさいね」みたいな感じで《月の光》のCDを流してくれていました。ドビュッシーの《亜麻色の髪の乙女》も、歌うようなメロディと響きが美しくて、好きですね。

印象派でほかには、ラヴェルの《水の戯れ》。子どもの頃に母が練習しているのを聴いていてその不思議な音が少し怖いと感じましたが、いまは透き通った響きが美しくて大好きになりました。

子どもの頃に弾いていたシューマンの《子どもの情景》は〈トロイメライ〉が入っていることで有名ですが、その他の曲も優しいメロディで夢を見ているよう。大好きで、楽しく弾いていた思い出があります。 

お天気が良い日には、バッハの《ブランデンブルク協奏曲》が聴きたくなります。バッハがこんなに素敵な曲をつくっていたことに感動しますね。サン=サーンスの《動物の謝肉祭》は色彩感が豊かで楽しいし、《死の舞踏》もドラマチックで大好きです。

ふだんはポップスや洋楽を聴くことも多くて、その中にクラシックを聴く日もあります。本を読むときのBGMはクラシックやインスト。歌がないピアノやオーケストラの曲が多いですね。歌がない楽器だけの曲は、情報量がほどよいのが心地よいです。

イラストー松井咲子
山本美芽
山本美芽 音楽ライター

ピアノ教育とジャズ・フュージョンを軸に執筆。ピアノ教本研究家として全国で講演を行う。著書「練習しない子のためのピアノレッスン」「ピアノ教本ガイドブック」(音楽之友社)...