はじめてピアノが楽しいと感じた瞬間

AKBに入って、東京ドームで行なったライブでピアノを弾いたあと、「あっ、楽しい……」と感じたことがありました。それまでは、弾き終わって「楽しい」というのがあまりなくて「終わった、うまくいったかな」というだけだったんです。今では感じ方が変わりました。上手く弾けたから楽しいのではなく、失敗しちゃっても楽しかったり、すごくうまくいったけど「もう少しできたかも」と不完全燃焼なこともあったり。いろいろな感情が湧き起ってきて、これはクラシックだけだと味わえていなかった部分です。

そこから再びクラシックに戻ってみると、クラシックも実は楽しいし、自由なんですよね。それなのに昔は、楽譜通り、先生にいわれた通りに、作曲家の気持ちばかり気にしていて、自分の気持ちは考えていなかった。ショパンの気持ちを考えることも大事ですけれど、こんなにも自分の解釈で考えていいんだと、AKBでの活動を経て気づくことができました。

クラシックが好きな人はアイドルの曲は知らないし、アイドルが好きな人はクラシックの曲も知らないですよね。クラシックのコンサートだとどんな服装で行ったらいいのか、ファンの方に質問されることがよくあるのですが、「ラフな格好で来てください、MCもあるので気楽に」といつもお伝えしています。

イラストー松井咲子
山本美芽
山本美芽 音楽ライター

ピアノ教育とジャズ・フュージョンを軸に執筆。ピアノ教本研究家として全国で講演を行なう。著作に「ひとりですいすいひける!はじめてのピアチャレ」1〜3、「練習しない子のた...