読みもの
2025.03.25

第34回出光音楽賞を金川真弓、北村陽、宮里直樹が受賞──クラシック界を担う新星たち

将来のクラシック音楽界を担う若き音楽家を顕彰する「出光音楽賞」の第34回受賞者が決定した。今回選ばれたのは、ヴァイオリニストの金川真弓、チェリストの北村陽、テノール歌手の宮里直樹の3名。それぞれが高い音楽性と将来性を評価され、今後のさらなる飛躍に期待が寄せられている。

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

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受賞者には賞金300万円が贈られ、今後は授賞式および「出光音楽賞受賞者ガラコンサート」(日時・会場未定)が開催予定。その模様はテレビ朝日系「題名のない音楽会」にて放送される。

出光音楽賞は、同番組の25周年を記念して1990年に創設され、以来、将来有望な若手音楽家を毎年表彰してきた。クラシック音楽の第一線で活躍する逸材たちの登竜門としても広く知られている。

深い情感と洗練を併せ持つ──金川真弓(ヴァイオリン)

1994年、ドイツ・フランクフルト生まれの金川真弓は、国際コンクールで数々の受賞歴を誇る実力派。ロン=ティボー国際音楽コンクールやチャイコフスキー国際コンクールなどで上位入賞を果たし、近年ではジョルジュ・エネスク国際コンクールで優勝を飾った。

ストラディヴァリウス「ウィルヘルミ」(1725年製)を使用し、その豊かな響きと気品ある演奏は聴く者を魅了する。国内外の主要オーケストラとの共演、現代音楽への積極的な取り組みなど、多方面で活躍している。現在はベルリンを拠点に演奏活動を続け、教育や社会貢献活動にも積極的だ。

受賞理由:

深みのある表現力と豊かな響きが際立ち、演奏には情感と気品がある。多彩な魅力にあふれ、有望な才能の持ち主。

世界が注目する若きチェロの星──北村陽(チェロ)

2004年生まれ、兵庫県出身の北村陽は、今もっとも勢いのある若手チェリストの一人。13歳でチャイコフスキー国際コンクール(若い音楽家のための部門)を制して以来、国際舞台で目覚ましい活躍を続けている。

2024年にはパブロ・カザルス国際賞とジョルジュ・エネスク国際コンクールで立て続けに優勝。日本人初となる快挙も成し遂げ、世界から注目を集めた。堂々とした音色と安定した技巧、そして情熱的な音楽表現で、聴衆の心をとらえる。現在はベルリン芸術大学と桐朋学園で研鑽を積みながら、国内外で演奏活動を展開している。

受賞理由:

伸びやかな音色に魅力があり、抜群の安定感を誇る演奏テクニックは突出している。さらなる成長にも期待ができる逸材。

圧倒的な存在感を放つ歌声──宮里直樹(テノール)

オペラ界で着実に評価を高めている宮里直樹は、東京都出身の実力派テノール。東京藝術大学を首席で卒業後、ウィーンで研鑽を積み、国内外の舞台で華々しく活躍してきた。

力強くも繊細な歌声と、優れた演技力で多くのオペラ作品に出演。『蝶々夫人』『ラ・ボエーム』『椿姫』『オテッロ』などの主要役を次々に演じ、その存在感は観客を圧倒する。クラシックの大曲に加え、現代音楽や宗教曲などでも幅広く活躍しており、日本オペラ界を担う逸材として期待が高まっている。

受賞理由:

日本人テノールの中で異彩を放つパワフルな歌声を持ち、演技力にも優れる。日本オペラ界の中心的役割を担う素質を持つ。

将来を嘱望される音楽家たちの今後に注目

それぞれが異なる楽器・分野で活躍しながら、共通するのは高い技術と豊かな表現力、そして未来への可能性。出光音楽賞が見出したこの3人の音楽家たちが、これからどのような音楽の地平を切り拓いていくのか。彼らの次なるステージに、大きな期待が寄せられている。

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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

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