読みもの
2020.12.17
飯田有抄のフォトエッセイ「暮らしのスキマに」 File.39

独特の色気を感じる、昭和の場末感ただよう写真と武満徹の短調のワルツ

飯田有抄
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター

1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...

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夜のウォーキング途中、なんだか不思議な雰囲気の写真が撮れました。

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バラと、その背景にあった比較的おとなしいイルミネーションを捕らえたものですが、写し出してみると、お花の後ろの玉ボケが、わちゃわちゃうるさいくらいに眩しい(笑)。

でもこの一枚、不思議と嫌いになれません。
自分で撮影しておいて言うのもナンですが、なんだか、昭和の場末っぽい色気があるというか。
自然物と、人工物とが争う、ささやかな美のライバル関係というか。
カメラの面白いところって、自分でも予期しない空気感が浮かんでくるところかもしれないです。

昭和の哀愁といえば、短調のワルツを思い起こします。
大好きなこの一曲をご紹介します。
武満徹さんの「3つの映画音楽」より第3曲 映画『他人の顔』より「ワルツ」です。

安部公房が1964年に発表した同名の小説が、1966年に映画化されました(勅使河原宏監督、仲代達矢主演)。その際に音楽を担当したのが武満徹さんで、このワルツはテーマ曲として書かれたもの。のちに弦楽オーケストラのための「3つの映画音楽」の一つにまとめられました。

短いながらも、一瞬で深い印象を与え、残り香のようなものも漂わせる、哀愁のワルツです。

飯田有抄
飯田有抄 クラシック音楽ファシリテーター

1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...

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