読みもの
2020.08.26
8月の特集「吹奏楽!」

「バンドジャーナル」編集部座談会——吹奏楽コンクールがない1年、コロナ禍のモチベーションをどう保つ?

吹奏楽コンクールがない、戦後初めての夏。調子が出ないのは吹奏楽部員の皆さんだけではありません。1959年の創刊以来、夏のコンクールを追いかけてきた「バンドジャーナル」の編集部にお集まりいただき、座談会を開催。コロナ禍での活動が難しい吹奏楽の今、吹奏楽への思いを語り合っていただきました。

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思うようにいかない吹奏楽活動の再開

——本来ならシーズン真っ只中である吹奏楽コンクール。今年は中止となってしまいました。そもそも、コロナ禍での吹奏楽の活動自体が難しい時期になっていますよね。

赤井 国の緊急事態宣言のあと、学校の吹奏楽部は一切の活動ができなくなりました。学校自体が休校なわけですから。北海道から九州・沖縄までの顧問の先生たちとのLINEグループでやりとりしていますが、緊急事態宣言解除されたあとも地域差はあれど、マスクの着用や練習時間などさまざまな制限があります。それでも中学・高校は少しずつ動き始めている印象ですね。

上林 一般の大学の吹奏楽活動はもっと難しい状況にあります。2月末に学校閉鎖されてから、地元に帰省して学校に戻れないという学生さんたちもいるくらいですから。後期の授業をすべてオンラインと決めた学校も多いので。

左から「バンドジャーナル」編集部、副編集長の赤井、上林

赤井 一般バンドも本当に難しい。普段練習に使っている公民館などで、自治体が管理している場所は、吹奏楽・合唱の使用が禁止のところも多いので。

神保 私の所属している一般バンドは練習再開とは言っているんですけど、あまり人が集まらないのが現状です。会社や家族のことがあり、やはりセンシティブになる方が多いようです。

——多くのジャンルで活動が戻ってきているなか、吹奏楽は再開が遅れているのですね。

土井 演奏中はマスクができない、というのが大きいのだと思います。楽器を吹きに集まる、という行為がやはり考えてしまうのでしょうね。でも、楽器用のマスクや、フェイスシールドなんかで工夫して練習している学校もあるようです。

左から「バンドジャーナル」編集部の土井、神保

赤井 練習が始まってはいても、やはりまだ個人練習やパート練習が中心というところも多いと思います。やっぱり早く合奏したいですよね! 今はどこのバンドも堪えどころなのかな。

オンライン合奏でのつながりをモチベーションに

——コンクールや演奏会という目標がないなかで、学生たちや一般バンドはどのような活動をしているのでしょうか。

上林 オンライン合奏は流行って、ニュースに取り上げられていたりもしましたね。自分たちのモチベーションも大切だし、自分たちの地元の病院・施設にむけてのエールとして動画を上げている団体もありました。

プロの奏者さんたちも面白い動画をたくさんアップしていましたしね。普段では珍しい編成での管楽器アンサンブルや、一人で多重録音をしたり。住んでいる地域が違う方たちも気軽に合奏ができるわけですし。

赤井 オンラインについてはいろいろな意見があります。やはり集まっての合奏とは違う、という考え方をする人もいますし。ただ、物理的に合奏が難しいわけですから、オンライン合奏でモチベーションを保つことはよいことだと思いますね。

土井 疑問を抱いていた人でも、やってみたら意外といいな! という意見もありましたよね。何もしないより、音でつながっている実感が湧きますよね。

赤井 そう! 「バンドジャーナル」も、これまでやっていなかったTwitterを始めたしね!(笑)

「バンドジャーナル」2020年8月号では“音楽へのモチベーション"に焦点を当てた特集『部員・団員のモチベーションを保つための処方箋』を掲載。

夏がくれば想い出す......バンジャ編集部の吹奏楽歴

——「バンドジャーナル」編集部の皆さんの吹奏楽歴をお教えいただけますか?

土井 私は中学の吹奏楽部が始まりです。高校はクラリネットで音楽科に入り、1年は部活動が必修だったので、そのまま6年間吹奏楽を続けていました。中学3年間はバス・クラリネットを吹いていたので、今でも低音が大好きです。中学校での合奏で、一瞬ものすごくいい音がしたときがあって、その体験が忘れられなくて、今でも音楽に関わることを続けているのかなぁ。中学校には、ほとんど部活をしに行っていました(笑)。

赤井 自分は、高校は部活のために通っていました(笑)。朝、雨が降っていて、授業はサボっても、午後から晴れれば部活だけは行っていたし(笑)。吹奏楽は中学校から始めました。小学校のときに行った吹奏楽のコンサートで聴いて以来、ずっと憧れていたトランペットじゃなきゃ絶対に嫌だったので、入部前に楽器を買ってもらって部活見学に行きました。大学はオーケストラで、今はコンクールには出ていない一般バンドで演奏しています。

トランペット歴は40年となる赤井
クラリネット/バス・クラリネットの土井

神保 私は中学校の吹奏楽部からフルートを演奏しています。最初はトロンボーンがやりたかったんです。スライドがかっこよく見えて! でも楽器選びのときにフルートの先輩に気に入られて。その後、楽器を買ってもらい、高校の部活はオーディションでフルートパートに入って、今も趣味で吹いています。あるときはファゴット吹きたい……なんて浮気心を抱いたこともありましたが(笑)。

上林 私は中学校で吹奏楽部に入部するのが遅くて、クラリネットしか空いてないよと言われて始めたんだけど、全然音が出なくて。やっと音が出た! ってタイミングでフルートパートの同級生が「どうしてもクラリネットがやりたいの」って泣きながら訴えてきて……私が一番クラリネット吹けなかったから、トレードしたんです。先輩たちがピッコロ吹きたくなかったのか、ピッコロから始めたんです。そこから3年間ピッコロ(笑)。すごく楽しかったし、今でもピッコロ好きですよ。

フルートで、マーチングバンド経験もある神保
ピッコロ・フルートの上林

——想い出の課題曲は?

課題曲

全日本吹奏楽コンクールで、毎年発表される4曲ないし5曲の新作。A部門という大編成用の部門でのみ、1曲を選んで、自由曲の前に演奏する。

赤井 『全日本吹奏楽連盟70年史』の本の巻末に、歴代の課題曲一覧が載っているので、それを見てみようか。

課題曲の歴代リストを見て盛り上がる一同。

神保 私はA部門に出ていなかったのですが、入部後、最初に顧問の先生から渡された楽譜で、新入生のデビューコンサートで演奏した「ロックンマーチ」です。なんとも言えないリズムが忘れられないですね。先生に怒られたなぁ。

赤井 中1のときの課題曲「北海の大漁歌」かな! 最初のホルンのメロディがかっこよくて……。1年生だったから、コンクールでは吹いてないんだけど、その後のコンサートで吹く機会があって、途中にあるトランペットソロがドキドキだった。

上林 私も小編成の学校だったので、演奏はしていないんだけど、間宮芳生先生「カタロニアの栄光」が好きでした。コンクールで聴くたびにいい曲だなぁ、吹きたかったなぁって。少し切ない想い出です。

土井 中学3年のときの「童夢」ですかね。冒頭がピッコロとバスクラ(バス・クラリネット)のソロなんですよ! バスクラが大好きだったから、ソロがあるのが嬉しくて。その年は、何年も連続で出場していた支部大会には行けなくて、少し悔しい想い出でもありますね。でも、とにかくバスクラに陽が当たることが嬉しかったんです。

——毎年、いろいろな想い出を作ってくれる課題曲。今年発表されているものはどうなるんですか?

赤井 来年に持ち越しになります。今年卒業の人たちも、高校や大学、または一般団体などで続ければ、演奏できるチャンスはあるのかな。

上林 SNSなどで見ると、吹奏楽の活動も見据えて進路を考えている人たちもいるみたい。

——一番長い期間演奏されて、もしかすると今まで以上に親しまれる課題曲になるのかもしれませんね。

2020年の課題曲Ⅰ 「トイズ・パレード」

今は踏ん張りどき! 大切なものをくれるコンクール再開を目指して

——改めて、皆さんにとって吹奏楽コンクールってどんなものでしょう。

土井 もちろんコンクールがすべてではないですが、それでも、やはりコンクールがないのは大きなことですね。

赤井 コンクールを取材できない夏なんて、我々も調子が狂っちゃう感じですね……。気持ちが全然上がらない。コンクールは自分たちとって、いろいろなものを得られる場でもあるので。

神保 いつもならパンパンのはずの夏のスケジュールが、変な感じですね……。

土井 金曜日から出張で各地域に行って、土日にコンクールを聴いて帰ってきて、月曜から「さぁ記事にするぞ!」っていう流れが、バンドジャーナルでは夏の当たり前の光景だったので。地域ごとのカラーを聴くのも楽しいんです。

上林 いい音楽してるバンドに出会うと嬉しくなるし、来年このバンドはどうなっているだろうと楽しみですよね。

赤井 先生と部員さんたちが一生懸命作ってきた素晴らしい音楽を聴けないのは、我々のモチベーションにも関わってくるのだけど……明けない夜はない。必ず元のように演奏できる日が来ると信じて、「バンドジャーナル」も頑張ります。

「バンドジャーナル」1959年の創刊号。コンクールがないのは、もちろん創刊以来、初めてのこと。

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